週刊で教育に関する情報を発信している新聞、「日本教育新聞」に田沼の平成23年9月議会での議会質問が掲載されました。

$千葉から、日本再建! ~千葉市議会議員・田沼隆志の挑戦


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 ――校長の権限についても尋ねる。校長に予算裁量権、予算要求権を与えるべきではないか。


 教育次長 教育委員会事務局で、各学校長から要望を聴取した上で、各教育施策などに反映できるよう予算要求を行っていることから、校長に予算要求権を付与することは考えていない。


 ――今の校長は、先生、学校の教諭に対する人事査定権もない。せめて、校長に査定の一部でもいいし、任命の一部でもいいが、人事権を与えるべきではないか。


 教育次長 校長の職務権限は、学校教育法に校長は校務をつかさどり、所属職員を監督するとあり、公立義務教育学校においては、すべての人事権について与えられるものではないと理解している。


 ――市長に改めて問う。例えば、レイマンコントロールが機能していないとか、校長の責任と権限が一致していないとか、教育委員会の改善すべき構造的問題があると思わないか。


 市長 現行の教育委員会組織は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律において、政治的中立性の確保、継続性、安定性の確保、地域住民の意向が反映された組織として定められているものと認識している。一方で、教育行政の責任の明確化について、議論があることは承知しており、今後さまざまな観点から、国において議論されることが大変意義のあることだと感じている。

(議事録を要約)




「最大の課題は、責任の所在」

 教育委員会制度をめぐっては、多くの人が課題を指摘してきた。最近では、大阪維新の会が条例づくりを通して提起し、また、今回の滋賀県大津市のいじめ問題でも教育委員会の在り方が問われている。


 私が最大の課題と考えるのは、教育委員が責任者となっておらず、責任の所在が曖昧であることだ。ゆえにどうしても穏便な事なかれ主義、ひいては治外法権となる。結局、教育委員会事務局のトップである教育長の、実質的な独裁状態となりがちだ。


 まず就任プロセスがおかしい。部下である教委事務局が候補者を選んでいるのがそもそも矛盾している。実際は前例踏襲で、名誉職を選ぶだけになっている自治体が大半だ。大津でも今回、これだけの騒動にも関わらず、全く教育委員が会見しないのは、その証拠である。これは議会側も、その人事に同意した責任があるだろう。


 そして教委には目標がないため、PDSサイクルもなく、振返りや改善のプロセスもない。ゆえに教育委員会会議は極めて非生産的会議となっている。


 この背景には、首長が教育行政に関与しにくい点がある。これは法制度上の課題だが、大阪の取り組みのように、やり方如何では工夫の余地もある。こういった面に首長が意を尽くすかどうかが、現状の硬直した教育委員会制度・組織を改め得る、数少ない機会となっている。


 また校長には十分に権限がないにもかかわらず、責任は負わされる点も問題である。権限がないのに責任を果たせというのは無理がある。例えば、学級崩壊に対処できない校長が出てきてもおかしくない。


 逆にその曖昧さを逆手に、いじめも学級崩壊も、隠ぺいできてしまう組織となっている点も問題だ。大津でも警察が強制捜査に乗り出さなければ、保護者の訴えは届かず、真相は闇の中に消えていた。


 以上のように、教育委員会制度はさまざまな点で重大な課題があり、抜本改革が必要だ。そういった点で大阪の教育関連条例は極めて画期的だ。教育行政に民意を反映し、責任主体も明確にしている。国も教育委員会の在り方を検討しているが、本市でも改革に向けて訴えかけていきたい。


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