平成24年第1回定例会 一般質問を3月12日に行いました。
議会質問の原稿を、掲載します。
例によって、原稿ですので、実際の質疑とは異なります。ご容赦下さい。

3月15日くらいには、議会のHPから動画が見れるようになると思われますので、こちらもご覧下さい。
http://gikaimovie.city.chiba.jp/rokuga_menu.html





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無所属の 田沼隆志です。

昨日は東日本大震災から一年でした。
被災された方やご遺族の皆様に心からお見舞い申し上げ、必ず日本を蘇らせる思いを新たにしたいと思います。

私自身も陸前高田などにボランティアに行きましたが、最も心を打たれたのは、福島第1原発事故で放水活動を行った東京消防庁ハイパーレスキュー隊の活動でした。石原知事が「まさに命懸けの国運を左右する戦い。生命を賭して頑張っていただいたおかげで、大惨事になる可能性が軽減された」と言葉を詰まらせつつ感謝を述べていましたが、私も涙をおさえられませんでした。

本市でも、消防局の皆様をはじめ、多くの職員の皆さんが、復興にご尽力頂いたと思います。そういう皆さんの、目に見えない貢献で、この国、この町が保てていることに、深く感謝の意を表したいと思います。

私は議会活動で、直接命の危険にさらされるわけではありませんが、私も負けないよう、命がけで仕事に取り組んでいきたいと思います。


それでは、一般質問に入ります。通告の2番と3番の順序は変更します。
 


1.市長の財政的な認識と市民への説明のあり方について

既に本定例会でも指摘されていますが、今年の初めごろ、熊谷市長は各地で「大胆な事業の見直しや人件費削減など、財政健全化に向けた取組みを強力に推進した。その結果、財政再建への道筋を切り開くことができた」などと述べており、私は強い違和感を持ちました。また、私の周囲から「千葉市は財政がよくなったの?」と尋ねられ、答えに苦慮した。

これは率直に言って、言い過ぎです。「道筋を切り開くことが、できた」とは、何かしらのポイントを乗り越えたり、達成がある、と思うのが自然。しかし今回予算の特筆事項と言えば、禁じ手だった市債管理基金からの借り入れを回避したとか、将来負担比率が健全化プラン見通しより早まったなど、超最悪から最悪になった程度。依然財務体質は政令市ワースト1位。これで市民に「道筋開けた」と言えますか? わかりやすく説明できますか? 私には全くそう思えません。

そういう誤解を招きやすい、達成したと受け取られかねない表現は、せめてワースト1位を抜けだした時や、脱・財政危機宣言を収束させた時に使うべきではないでしょうか?中身がないのに言うと、やっぱり人気取りか、とすら思えてしまう。

先日の自民党の代表質疑で「市民に誤解を生じさせたのは本意ではない」と答弁している。市長も発言が不適切だったのを認めたのでしょう。しかし「本意ではない」と後で言って済んでしまうなら、どんな発言でも許されてしまう。もし本当にそう思うなら、誤解を正すべく、訂正の発信をすべきではないでしょうか?

【Q】見解をお尋ねします。
【答弁】 改善を表現した 訂正より改善基調を発信 決算後目標出す


「徐々に改善してる」のを「道筋を開くことができた」と言いますか? 言語感覚がおかしくないでしょうか? あれは明らかに言い過ぎです。素直に認め、直して頂きたい。冒頭の発言は、ウソとすら思える。

それから、訂正すべきと言ったら、逆に「改善基調だ」とのことですが、全く賛同できません。ゴールを描くことやスケジュール設定はよい。しかし今は改善基調ではありません!ストックベースの将来負担比率は低減しますが、フローベースの実質公債比率は今後確実に増加し、まだまだ予断を許さないではないですか。ごみ袋の有料化など、これからも更に市民に負担をお願いしなければならない。なぜこんな中途半端な時期にわざわざ「改善基調です」などと発信するのか、私にはさっぱりわからない。断固反対です!

とにかく「改善基調の発信」は認められない。そのことをよくご理解頂けますよう、要望します。今後もチェックさせて頂きます。


 

2.職員の待遇・実態について

まず職員の評価制度についてです。大阪では「職員基本条例」が話題になっていますが、スライドのように、相対評価が導入されています。%で強制的に割り振るものですね。
 

一方、千葉市ですが、現行の人事考課制度で、平成22年度にランク2以下の評価を受けた職員は、制度が適用される7043名のうち、たったの47名。約0.7パーセントです。そのうち、何名かが精神疾患や休職中などのため、実質の人数はさらに減ります。

加えて、非管理職だとランク5は5パーセント、4は20パーセントと、その部分だけ相対評価となっているため、結局74.3パーセントの職員がランク3になっています。1と2の評価がほとんどいないのであれば、5段階評価ではなく、実質的に3段階評価で、看板に偽りありです。

せめてランク2の人をもう少し増やさないと、この評価制度の存在意義自体が薄れてしまうと感じます。

【質問】1、2の評価が47人、0.7%というのは、あまりに少なくないでしょう
か。
【答弁】 低評価目的ではない


私は前職で同種の人事改革もやった経験がありますが、みーんなそう言うんです。でもじゃあお尋ねしたいのは、現行制度で本当に「一人ひとりの能力を開発できるのか?」です。

人事評価の真髄は、厳しさ、真剣さに現れます。評価者は誰でも、ランク2はつけたくない。でもだからこそ、勇気をもってランク2を付け、それをきちんと公平に伝えることで、被評価者へのメッセージになるのです。被評価者も、これはマズイと自覚し、発奮する。それが組織の活性化です。いい意味での、プレッシャーがあってこそなのです。いまの、誰でもランク3になれる仕組みで、本当にプレッシャーになってますか? 真に能力開発、組織活性化を目指すなら、大半の人がランク3で済んでしまう現状を直すべきではないでしょうか?

市長はツイッターで「最低評価を職員の5%にという例の条例も、民間企業ではあまり無いことを考えると正直疑問」と書いていましたが、私はそういう会社に居ました。確かに厳しい環境でした。私自身も低評価を受けたこともあります。でもみんな猛烈に意欲があり、業界でもアクセンチュアは最も成長する、優秀な人材が集う会社と言われています。やればできるのです。

私も相対評価がいつも正しいとは言わない。人事は繊細なものです。しかし今の制度はあまりに緩い。ランク4に近い人とランク2に近い人がみんな同じランク3になってしまう現状は、やる気ある人の意欲を殺いでいませんか? ランク3が標準という考え方を捨てて、ランク2や1にも、一定割合を割くべきです。それが緊張感になる。

改めてお聞きします。
【質問】ランク1が5%、ランク2が10%とは言わずとも、それぞれに一定割合の相対評価を導入すべきではないか?
【答弁】 定着みつつ見直す


必要な見直し、お願いしますね。
私は、頑張る人が正当に評価される市役所、皆がやる気に満ち溢れている市役所、働くことで誇りの持てる市役所を作りたい。そのためには敢えて、厳しい制度も導入し、不公平も是正しなければなりません。逆に頑張っている人を評価する幅も広げたい。

とにかく当たり障りのない「標準」というものの幅を減らしたいと思っています。それは何も改革をしていない、と同義です。
ご検討願います。

 


次に技能労務職員の、給与についてです。橋下・大阪市長は就任してすぐに、技能労務職給与を民間と同水準へ引き下げると発表しました。このスピード感がすごいですね。

本市においても平成20年3月、『技能労務職員の給与等の見直しに向けた取組方針』が策定され、その取り組み方針では「給与水準について見直しに取り組む」とあります。約4年経った現在はどうでしょうか。

スライドをご覧ください。



見ての通りで、技能労務職の給与水準は、民間比で、非常に高くなっています。

更に職種別にみると…

    運転手の場合は、民間比1.83倍。800万円を超える人も6人いる。

    用務員も1.6倍。

    清掃員も、800万円以上の人が15人で、中には900万円を超える人もいるそうです。


もちろん高額な人は、時間外勤務などでのことと思いますし、はしっこをつかまえて論じるのは本質を見誤りますので避けますが、
しかし平均給与が民間より80%も60%も高いというのでは、やはり納税者の納得は得られないと思います。

で、このことについて、先日みんなの党の代表質疑で「現業賃金検討委員会で協議することとしており、現在も継続して協議している」との答弁でしたが、そこでお尋ねします、

【質問】そこではどのような協議を行ってきたのか。また、この協議には期限を設けているのか。
【答弁】他市比較中  他テーマもあり期限なし 整い次第


正直いって、とても弱気な答弁ですね。これは明らかな! 改革テーマですよ。
労使関係に配慮し過ぎているように思えてなりません。労使より、国民目線に配慮すべきです。

この見直しは行政改革推進プランでも、取組項目に入れているではないですか。数値目標はありませんし、平成22年度のレビューでは進捗もないようですが。
スライドをご覧頂きたいのですが、



仮に技能労務職の給与水準が、民間並みなら、総額で3割減、8.6億円の削減効果となります。逆に言えばそれだけ、いまは過払いしている可能性がある。


次のスライドにあるように、

 

元々総務省から、平成19年に、見直しの通知が来ている。これは国家的にやらねばならないテーマなのではないでしょうか?


市長には、もっと積極的な推進を、求めます。なんだか「十分やってる」と各地で言っている印象がありますが、橋下市長と比べたらまだまだですよ。お願いします。



 

最後に職員実態のうち、学校用務員についてお聞きします。
3.11に関連すると、震災当日夜、私は回れる限りの避難所を、バイクで回りました。学校では先生方が夜通し、帰宅難民者の受け容れをしたり、泊まって待機していたりして、大変感動しました。用務員さんも居たかもしれません。私は普段は教育委員会さんには厳しい質問が多いですが、それは仕組みを直したいからであって、現場の先生方のご尽力には、深く敬意を表したいと思います。


さて用務員についてです。先に民間との給与格差に触れましたが、私は人員数にも問題があると感じています。学校用務員数は247名で、全校に1名以上正規職員が配置されていますが、これほどの人数が必要なのでしょうか?

スライドのように、他市では、民間委託や非正規化を導入し、効果をあげています。



先日の福永議員への答弁では、本市では班長制の導入を始めたばかりとのことですので、とりあえず今回は質問しませんが、ぜひ人員配置についても効率的な見直しを図って頂きたく、要望します。


続いて用務員の人事考課についてです。
用務員の勤務状況は、学校ごとでかなり異なると聞きます。そのような中では、仕事に対しての適切な評価の仕組みが必要です。能力に応じた評価をされている実感があることで、活き活きとした仕事ができると考えます。また、そのためには用務員の勤務実態を市が適切に把握していることが必要です。そこでお尋ねします。

【質問】用務員の評価はどのように行っているのか。また市は勤務実態をどのように把握しているのか。
【答弁】校長 把握はいろいろ


現在、用務員の勤務評価は校長先生がつけているとのことですが、その結果はスライドのようになっています。



ご覧の通り、大半がランク4で、実質、機能しているとは言い難いです。先ほどの行政職と同様、緊張感に欠けてしまっているようです。


確かに用務員は少数職場であり、相対評価はやりにくいとは思います。しかし、とにかくこの状況は改善しなければならないと考えます。

【質問】より緊張感のある評価制度とすべきでは?
【答弁】協議する


前向きな答弁、ありがとうございます。そうですね、評価者がきちんと評価できるよう研修するのが第一でしょうね。お願いします。


とにかく、私は頑張っている職員の皆さんの味方です。ぜひ応援したい。モチベーションも高まるような政策を応援したい。
ただしダメなものはダメです。筋を通す。
緊張感と使命感のある、頑張る人が報われる、そういう職場に、市役所を変えていけるよう、期待しますし、私もできることをやらせてもらいたいと思います。

3.こども未来行政について
(1)保育所の民営化について
 私も先月、子供が生まれまして、議員団の皆様からもお祝いを頂きました。ありがとうございます。この場を借りて御礼申し上げます。市長も6月にお嬢さんがお生まれになったとのことで、同じ学年になります。よろしくお願いします一年前の同じ日に結婚式だったのに、市長はずいぶんお生まれが早いことについては、お尋ねしないことにします。


ということで最近は急激に、子供政策、家庭政策に関心が高まってまして、実は本市実施の父親学級にも参加したり、イクメンハンドブック(この名前はあまり好きではありませんが)も熟読したりしております。また児童相談所や保育所、民間幼稚園などもあちこち視察しております。



「田沼は教育とか行革ばかりだからなあ」と言われないよう、この分野でも提案して参りたいと思います。



さて現在、千葉市には109の保育所があり、そのうち60が公立保育所です。割合にすると55%。逆にいえば民間比率は45%で、政令市最低です。



この民間比率の低さは大きな問題です。先のみんなの党の代表質疑でも示されたいましたが、新園舎建て替えの場合、公設と民設とでは市の負担額に12倍の開きがあります。また運営費も、公立ですと民間の倍以上の負担となります。これらを考慮し、今後民営化を強力にすすめるべきと考えます。



現在、保育所の民営化や改築について、「千葉市社会福祉審議会 児童福祉 専門分科会」において議論されているということですが、



【問】そこでは、どのような意見が出ていますか?お尋ねします。



A】・・・



いろいろあるようですが、主な意見は民営化推進ですね。ぜひその方向でまとまることを期待します。



次に、民営化を推進するときによく言われるのが「保育の質が下がる」ということです。しかし私は全くそう思えない。そこで市の見解をお聞きしたい。



【問】民営化すると保育の質が下がると考えるか。



ANO



安心しました。よろしくお願い致します。



次に、そもそもですが、政令市の平均値は70%なのに、なぜ本市はこんなに民間比率が低いのか。それについて、市としてはどう考えるか。



Q】見解をお尋ねします。



A】人口増対応 でも課題



了解しました。では、



【問】最後に、現在民営化を推進する考えはあるか、お答え下さい。



A】改築推進



市の負担のことを考えても、改築には、民営化推進は不可避と思います。分科会でのとりまとめに期待します。



 (2)親学の推進について



最後に、親学の推進について、お尋ねします。



昨今は学級崩壊や不登校、児童虐待など、子供をめぐるさまざまな問題が悪化しています。それら全てに共通するのは、子供ではなく、実は親に問題がある、ということです。親が子供に対してどのように働きかければいいかわからない。その結果、家庭における愛着形成が不足し、共感力が弱まったり、社会的適応能力が低下したりといったことが、子供に起きています。地域・家庭の絆が薄れ、かつては親を支えてきた祖父母や地域社会の支援力が低下したため、親の負担が増大して孤立化し、親心を喪失、親力が低下しています。



スライド★ご覧頂きたいのですが、日本の母親は子育てを負担に思う割合が高い。そして育児不安を感じている人が多い。子供に相談もしない、無関心。ゆえに子供も、孤独を感じる。尊敬もできない。この悪循環になっています。



またある調査では公立小中学校教員の84%が「保護者の過度な要求への対応」が負担と答えており、また保育士アンケートでも「10年前と比べて保護者の要求が強くなった」と感じる人は約9割とのことです。親の責任感や自覚が不足した、未熟で自分勝手な親が増加の一途をたどっています。私自身もそうならないよう、気をつけねばなりません。



これらの状況を受け、国では教育基本法が改正され、また県の教育振興計画においても「『親学』の導入など、家庭教育を支援する」と定められました。本市では「次世代育成支援行動計画」で家庭の育児力の向上を目標としており、また第4次生涯学習推進計画では「家庭教育を支援する学習機会を提供する」として、様々な施策が行われてはいるようです。



しかし、親自身が成長する、という「親育ち支援」の観点は、見当たらないようです。そこで、



【問】親育ち支援について、本市としてはどう考えるか、伺います。



A】重要



ありがとうございます。



そこで私が提案したいのが、県の計画にもある「親学」です。



これまでの子育て支援策は、保育サービスの量的拡充や、働く親への経済的支援に主眼が置かれてきましたが、これからは親の人間的成長を促す「親育ち」支援が何より重要です。



これまでの子育て論は、子供にかかわる方法論に重きが置かれてきましたが、親学では、親自身が変われば子供も変わる、ということを理念としています。教育の責任を自分以外の何かに転嫁せず、親自身が自分の子供観や幸福感などを見直し、成長すること、これが核心です。



 



親学の特徴の第一は、親が教育の第一義的責任を負うことを深く自覚することです。教育の原点は家庭にあり、親は人生の最初の教師です。学校に全ては任せられないのです。



第二に、発達段階に応じて、配慮すべきことが変わる点です。胎児期・乳児期・幼児期・児童期・思春期という子供の発達段階に応じ、家庭教育で配慮すべき重点はことなります。



第三に、父性と母性の役割の明確化です。子供を無条件に受容する母性的な関わりと、ダメなことはダメときちんと教える父性的な関わり、両方が、子供の発達には必要です。



この親学の有効性は、たとえば発達障害の予防など、深い内容があるのですが、時間がないのでまたにします。



 



現在、本市でも子育て中の保護者に対して、いくつかの施策が行われていますが、健診のような必須のものと、悩み相談のような問題対応的なものが中心です。それらももちろん必要ですが、親の成長を目指しているものとは異なります。



埼玉県など他の自治体でも、親学を積極的に取り入れているところもあることを考えると、
【問】本市でも、親学を導入すべきと考えますが、ご見解を伺います。

A】研究する



 「親学」という単語を入れて下さり、ありがとうございます。

私は名実ともに、千葉市は真に子供の未来が開ける、豊かな子育てができる町にしたいと願っています。

子育てにおけるさまざまな問題を防止するためにも、親学の導入について、ぜひとも積極的な検討をお願いします。

以上で一般質問を終わります。