西尾勝・元東大教授による「これからの地方分権と地方議会のあり方」講演。
西尾先生は国の地方制度調査会会長でもあり、いまの地方議会のあり方をまさに決定している方です。
また私が東大の学生時代に教鞭をとられており、私も受講したことがあります。
大変楽しみに、参加しました。
以下、要約。乱文やミス、容赦を。
ーーーー
地方制度調査会で踏み込んだ提言をしたが、各省庁はゼロ回答だった。それでも内閣に出した。これは異例のこと。
これからの分権改革は、政治主導でしか進まない。各省庁の協力はない中で進めなければならない。
自公政権のままなら、いま出している改革の一割、二割しかできなかっただろう。
しかし政権交代し、民主党鳩山内閣は、地域主権改革は一丁目一番地として、各省庁を説得にはいった。
結局、委員会の勧告をそのまま受け容れたのは五割。一部実施は二割。絶対反対は三割。
メディアはこれを非難した。全て実現できないのは、政治主導がウソではないか!と言った。
しかし自分の評価は違う。五割も受容されたのは大きな前進だ。
この結果の違いは、地方分権に自公が不熱心で、民主が熱心だから、ではない。
自民は、党内のプロセスが厚い。政調会各部会には、ベテラン議員族議員がたくさんいて、各省庁が反対することは部会でもっと反対される。つまり各省庁の反対するものは内閣まであがってこない。
一方、民主党は新人議員が圧倒的多数。素人集団の党。ゆえに国会議員から反対の声があがらず、委員会案が党で了承された。
民主党がよいのではなく、たまたま政権交代が起こったから、ここまで改革が前進できた。しばらく経てば、民主党も自民党のようになり、そう簡単には進まなくなるだろう。
国庫補助負担金の一括交付金化。これは非常に中途半端な改革。
元々民主党は、財源の地方移譲は簡単ではないので、交付金のひも付けを薄めることを目指した。
これは、使途を限らない交付金。
理想的案ではないが、できるならどうぞ、というスタンスでいた。いま、なかなか前進せず、苦労している。
都道府県への一括交付金化はだいたい進んだ。次は政令市向けを検討する。一般市はまだ未検討。
ただ、一般市に一括化は、効果に疑問もある。まとまった額にならないので。
出先機関の原則廃止。主にハローワークの扱いで、これは意見が割れた。大混乱したあと、全て原則廃止、移管となった。
そして関西広域連合が誕生し、受け皿になりつつある。また九州も。
この二地域だけがあるが、それで全ての出先機関を移すわけにはいかないので、一部を移す試みを始めた。
さあ移そう、となったが、各省庁が嫌がる。こんな不安定な組織じゃダメだ、専任の連合長が必要、など揉めている。
どちらが悪いかといえば、地方六団体側がいけなかったと自分は考える。地方分権を求めるなら、国と地方の役割分担ラインを明確に定義するべきだった。
それを六団体は、分化を定義せず、まず全部よこせ、そのあと仕分けして、地方でできないものは国に返す、というスタンスだった。
そんな曖昧なものではいけないと考える。
自分が会長を務める、第30次地方制度調査会への諮問事項は、以下。
1.地方自治法一部改正の再審議
2.大都市制度のあり方
3.地方議会のあり方
4.震災後の基礎自治体の役割
まず1をこれまで集中審議した。
任期は二年。来年八月まで。一つ一つ議論するか、まとめて議論するか、で大きく違うが、総会でこれからの進め方を自由討議したら、2,4から同時並行で議論開始となった。今週から議論する。これが現状。
次に、住民自治の拡充と地方議会について。
地方分権推進委員会では、六団体が望まないことは決定しないとしていた。
そしたら六団体からは、議員のあり方や、首長と議会の関係など、団体自治の拡充については要望にあったが、住民自治の拡充については、全くなかった。
つまり、住民自治拡充について、六団体は消極的と、推進委員会は受け止めた。
これについて、国会では、社民共産が、批判した。団体自治に偏り過ぎ、住民自治を検討すべき!と言った。
この委員会の最終報告でも、残っている課題を並べた。
その中の五番目に、住民自治の拡充が残っていると書いた。
また首長と議会の関係も。コミュニティレベルの自治の問題もある。行政委員会も住民と隔絶している。
六番目に書いたのは、憲法条文に、地方自治の本旨を書くべき。いまは自由になり過ぎている。
何にせよ、住民投票で決まる、ということを、首長も議長会も歓迎していない。
議長会は、議会の権能を高めて欲しいと要望はじめた。
これに関連する動向。
片山総務相は、大規模施設の建設には住民投票にかける、という制度を新設したかった。
これは投票が義務ではない。しかし議長会はみんな、それはいい制度ではないとして、反対した。
片山さんは、拘束力のある住民投票制度を作りたかった。
また片山さんは、夕張のようなことが起こらないよう、地方債発行に住民投票が必要、とおもった。これは他国でもやっている制度。起債限度を超えるときに住民投票にかけ、賛成多数とする。
しかしこれも省内では反対された。片山さんはせめて、大規模施設に限定し、なんとしても入れたがった。しかしこれも異論噴出し、反対となった。
また、地方税の直接請求が、いまは対象外。しかしこれはおかしい、というのが、片山大臣の信念。
しかしこれも六団体の一斉反対。一斉に減税要求が来たら、どうするんだ、と言う。否決すればいいのでは?といったら、否決はイヤだ、とのことで、先送りされた。
首長も議会も、住民自治の拡充には、乗り気ではない。
次に、3議長会から寄せられた要望。
これまで地方議会の権能は少しずつ強化されてきた。
定数自由化、議員の議案提案自由化、政務調査費制度創設、委員会創設自由化、議会招集回数も自由化。議会の招集請求権、首長の専決処分要件明確化、議員の委員会複数所属許可、委員会の議案提出権許可、議員を非常勤職員と別枠にして報酬体系も分けた。
一方、ずっと残っていた問題もある。六団体と総務相とが平行線だった案件。
その一つが、会期の自由化。
あと、議長の招集権付与。議長会は付与を求める。しかし総務省は、執行機関代表の首長ではなく、自治体全体の代表者たる首長が招集している。
議員を公選職に位置づけよ、との要望もある。議員が期末手当をもらう根拠が欲しい、とのこと。
しかし私は、わざわざ寝た子を起こす必要ないのでは?と答えた。
こういう要望より、議会の立法権を拡充すべきでは、と思う。
たとえば、いま、首長が規則で決めてるものが、多い。この規則制定権を、首長から奪えば?
根幹の立法は議会がやれば、と思う。
議会基本条例も、栗山町のは良くできている。しかし日本全体ではまだ広がりがない。議会規則を見直すべきでは、と思う。
地方議会の中長期的課題。
地方議会も、基礎自治体と、広域行政体は、同じである必要ない。
もっと言えば、政令市も、規模に差があり過ぎて、一律に扱えない。
みな、国会をマネし過ぎ。
国会や県会議員は専業職であるべきだろう。しかし市町村議会はもっと身近なあり方をできるようになるべきでは、と考える。兼職もよいのでは。
政令市議と県議を、兼任できるようにする、という制度はよいのでは?とも思っている。
なにしろ、地方議会と一律に扱わないで考えるべき時代だ。
西尾先生は国の地方制度調査会会長でもあり、いまの地方議会のあり方をまさに決定している方です。
また私が東大の学生時代に教鞭をとられており、私も受講したことがあります。
大変楽しみに、参加しました。
以下、要約。乱文やミス、容赦を。
ーーーー
地方制度調査会で踏み込んだ提言をしたが、各省庁はゼロ回答だった。それでも内閣に出した。これは異例のこと。
これからの分権改革は、政治主導でしか進まない。各省庁の協力はない中で進めなければならない。
自公政権のままなら、いま出している改革の一割、二割しかできなかっただろう。
しかし政権交代し、民主党鳩山内閣は、地域主権改革は一丁目一番地として、各省庁を説得にはいった。
結局、委員会の勧告をそのまま受け容れたのは五割。一部実施は二割。絶対反対は三割。
メディアはこれを非難した。全て実現できないのは、政治主導がウソではないか!と言った。
しかし自分の評価は違う。五割も受容されたのは大きな前進だ。
この結果の違いは、地方分権に自公が不熱心で、民主が熱心だから、ではない。
自民は、党内のプロセスが厚い。政調会各部会には、ベテラン議員族議員がたくさんいて、各省庁が反対することは部会でもっと反対される。つまり各省庁の反対するものは内閣まであがってこない。
一方、民主党は新人議員が圧倒的多数。素人集団の党。ゆえに国会議員から反対の声があがらず、委員会案が党で了承された。
民主党がよいのではなく、たまたま政権交代が起こったから、ここまで改革が前進できた。しばらく経てば、民主党も自民党のようになり、そう簡単には進まなくなるだろう。
国庫補助負担金の一括交付金化。これは非常に中途半端な改革。
元々民主党は、財源の地方移譲は簡単ではないので、交付金のひも付けを薄めることを目指した。
これは、使途を限らない交付金。
理想的案ではないが、できるならどうぞ、というスタンスでいた。いま、なかなか前進せず、苦労している。
都道府県への一括交付金化はだいたい進んだ。次は政令市向けを検討する。一般市はまだ未検討。
ただ、一般市に一括化は、効果に疑問もある。まとまった額にならないので。
出先機関の原則廃止。主にハローワークの扱いで、これは意見が割れた。大混乱したあと、全て原則廃止、移管となった。
そして関西広域連合が誕生し、受け皿になりつつある。また九州も。
この二地域だけがあるが、それで全ての出先機関を移すわけにはいかないので、一部を移す試みを始めた。
さあ移そう、となったが、各省庁が嫌がる。こんな不安定な組織じゃダメだ、専任の連合長が必要、など揉めている。
どちらが悪いかといえば、地方六団体側がいけなかったと自分は考える。地方分権を求めるなら、国と地方の役割分担ラインを明確に定義するべきだった。
それを六団体は、分化を定義せず、まず全部よこせ、そのあと仕分けして、地方でできないものは国に返す、というスタンスだった。
そんな曖昧なものではいけないと考える。
自分が会長を務める、第30次地方制度調査会への諮問事項は、以下。
1.地方自治法一部改正の再審議
2.大都市制度のあり方
3.地方議会のあり方
4.震災後の基礎自治体の役割
まず1をこれまで集中審議した。
任期は二年。来年八月まで。一つ一つ議論するか、まとめて議論するか、で大きく違うが、総会でこれからの進め方を自由討議したら、2,4から同時並行で議論開始となった。今週から議論する。これが現状。
次に、住民自治の拡充と地方議会について。
地方分権推進委員会では、六団体が望まないことは決定しないとしていた。
そしたら六団体からは、議員のあり方や、首長と議会の関係など、団体自治の拡充については要望にあったが、住民自治の拡充については、全くなかった。
つまり、住民自治拡充について、六団体は消極的と、推進委員会は受け止めた。
これについて、国会では、社民共産が、批判した。団体自治に偏り過ぎ、住民自治を検討すべき!と言った。
この委員会の最終報告でも、残っている課題を並べた。
その中の五番目に、住民自治の拡充が残っていると書いた。
また首長と議会の関係も。コミュニティレベルの自治の問題もある。行政委員会も住民と隔絶している。
六番目に書いたのは、憲法条文に、地方自治の本旨を書くべき。いまは自由になり過ぎている。
何にせよ、住民投票で決まる、ということを、首長も議長会も歓迎していない。
議長会は、議会の権能を高めて欲しいと要望はじめた。
これに関連する動向。
片山総務相は、大規模施設の建設には住民投票にかける、という制度を新設したかった。
これは投票が義務ではない。しかし議長会はみんな、それはいい制度ではないとして、反対した。
片山さんは、拘束力のある住民投票制度を作りたかった。
また片山さんは、夕張のようなことが起こらないよう、地方債発行に住民投票が必要、とおもった。これは他国でもやっている制度。起債限度を超えるときに住民投票にかけ、賛成多数とする。
しかしこれも省内では反対された。片山さんはせめて、大規模施設に限定し、なんとしても入れたがった。しかしこれも異論噴出し、反対となった。
また、地方税の直接請求が、いまは対象外。しかしこれはおかしい、というのが、片山大臣の信念。
しかしこれも六団体の一斉反対。一斉に減税要求が来たら、どうするんだ、と言う。否決すればいいのでは?といったら、否決はイヤだ、とのことで、先送りされた。
首長も議会も、住民自治の拡充には、乗り気ではない。
次に、3議長会から寄せられた要望。
これまで地方議会の権能は少しずつ強化されてきた。
定数自由化、議員の議案提案自由化、政務調査費制度創設、委員会創設自由化、議会招集回数も自由化。議会の招集請求権、首長の専決処分要件明確化、議員の委員会複数所属許可、委員会の議案提出権許可、議員を非常勤職員と別枠にして報酬体系も分けた。
一方、ずっと残っていた問題もある。六団体と総務相とが平行線だった案件。
その一つが、会期の自由化。
あと、議長の招集権付与。議長会は付与を求める。しかし総務省は、執行機関代表の首長ではなく、自治体全体の代表者たる首長が招集している。
議員を公選職に位置づけよ、との要望もある。議員が期末手当をもらう根拠が欲しい、とのこと。
しかし私は、わざわざ寝た子を起こす必要ないのでは?と答えた。
こういう要望より、議会の立法権を拡充すべきでは、と思う。
たとえば、いま、首長が規則で決めてるものが、多い。この規則制定権を、首長から奪えば?
根幹の立法は議会がやれば、と思う。
議会基本条例も、栗山町のは良くできている。しかし日本全体ではまだ広がりがない。議会規則を見直すべきでは、と思う。
地方議会の中長期的課題。
地方議会も、基礎自治体と、広域行政体は、同じである必要ない。
もっと言えば、政令市も、規模に差があり過ぎて、一律に扱えない。
みな、国会をマネし過ぎ。
国会や県会議員は専業職であるべきだろう。しかし市町村議会はもっと身近なあり方をできるようになるべきでは、と考える。兼職もよいのでは。
政令市議と県議を、兼任できるようにする、という制度はよいのでは?とも思っている。
なにしろ、地方議会と一律に扱わないで考えるべき時代だ。

