今朝は、政経倶楽部で、永田町。
前神奈川県知事の、松沢成文さんの講演を聞いてきました。
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随所に松沢さんの政治哲学が表れ、また豊かで明るい発想力に、大変刺激をもらいました。





以下、備忘録メモです。


【国政への所見】
・野田さんは松下政経塾では目立たなかった。地味だった。でもよく考えて話す。人の嫌がることもやる。総理に相応しい人。
・総理は日本で最大の重責。その中で自分を失わずにいられる人は、これまでほとんどいなかった。野田さんには期待したい
・難題山積。経済再生と財政再建を同時にやるのは至難の技。対処療法は必須だが、同時に野田内閣はこれをやる!という独自の長期政策を訴え、国民の支持のもとにやるべき。でないと、政局に疲れ切って倒れる
・野田政権ならできるのは、安全保障改革。自衛隊整備、集団的自衛権認定、領土問題。これは税金要らない。かつ保守政党は反対しない


【知事として】
・マニフェストとは、政策中心の政治のためのツール。検証可能な政策を提示するもの。しかしいまは選挙に勝つためのものになってる。有権者に信じてもらうもの
・マニフェストは地方政治の方が向いている
・マニフェストはPDCAサイクルを作る。行財政のマネジメント。肥大化する行政を防ぎ、小さな政府つくる。かつ効率のよい政府。
・まず1つ目。職員削減。12000→7900に。4000のうち1/3は病院で切り離した。あと第三セクター31を16まで減らした。県の出先機関も。
・器を減らすだけでなく、仕事を減らす。国から県が地方分権ではなく、国から基礎自治体が、本筋。
・政令市を作った。周りで合体し、市を強くして、県から自立させた。私は最後の神奈川県知事になっても構わない、と言った。
・でも広域行政は必要。ゆえに首都圏連合。
・コストカットのみならず、職員の意識改革。まず外部登用。土地開発公社や住宅供給公社。大きいのは人事。上から命令されるだけの人事だとモチベーションあがらないので、ポストチャレンジ制度。庁内公募で、課長職を公募、面接、試験。管理職試験も導入し、専門職を設けて、人事の伏線化。
・政策の職員提案、県民提案。知事に見せて、毎年1000万の予算つけた。
・こういう県庁内部の改革を同時にやる。切り詰めだけではダメ。
・2つ目。歳入改革。神奈川県の水源はみな県内。森林再生には、安定財源が必要。そこで森林再生税を県民税としてマニフェストで言った。増税した。40億の財源を作り、神奈川の水を綺麗にした。
・歳入改革2。企業の流出が多かったのを防ぐべく、インベスト神奈川を提唱。生産拠点、研究開発拠点、販売拠点をセット。
本社機能は取りにくい。また生産拠点も難しい。神奈川が勝てるのは、研究開発。知事になった頃でも日本一だった。戸数は東京と同じだが、職員がダントツ。大企業の研究所と、中小企業の技術見本市、大学、との連携ネットワークを作った。
・130社の新しい企業が集まった。日産、味の素、ソニー、キャノン、富士フィルム、武田薬品、など、日本の名だたる企業を呼べた
・グローバル企業は、生産工場はすぐ動くが、本社と研究開発はあまり動かない。そして住民にもなるので、コミュニティーもできる。税収効果も大。
・3つ目。神奈川を日本一空気の綺麗な町に。受動喫煙防止条例。たばこ規制。条約に入ってるのに、日本だけが進めていない。
理由1、タバコと健康の意識が低い。養老孟司にはタバコは文化と言われた。2、霞が関の縦割り。厚労省は進めたい。財務省は防ぎたい。JTは国策会社。タバコ以外までやってる。
タバコ農家だけ、農水省でなく財務省。タバコ流通も経産省ではなく財務省。ヘビースモーカーの野田さんなら、既得権益に挑戦すると人気でる
・タバコ反対ではない。公共施設ではやめて欲しいだけ。でも民間はすごい危機感だった。脅された。でも小泉流の、反対派排除はしなかった。やり返されるから。徹底的に対話した。すると最後は、反対だが、知事の言うとおり対応は必要だ、となった。命懸けで、家族にも護衛がついた。
・最後は県議会を通すとき。大枠を出し、選択肢も用意した。
アンケートでは県民の支持高い、が、ノイジーマイノリティーはすごい反対。
そこで議会からは、罰則なしにしろ、小さな店は努力義務にしろ、の妥協点が来た。
罰則は譲れない。しかし小さな店は三年間待ちます、とした。
・これが政治。政治とは、交渉の芸術。とアメリカの代議士が言っていた。社会の進歩のため、コンセンサスを作ること。
反対だが、皆で作った条約だから守ろう、としていく。
・今度は兵庫県でやる。東京都でもやりたい。地方からやれば、国はついてくる。東京オリンピックをするなら、タバコ検討すべしと言って、検討委員会ができた。
・根無し草だと、特色なくなる。トヨタは愛知でローカルアイデンティティを堅持してる。日産を神奈川シフトしてくれたら応援する。と言ったら、本社も動かしてくれた。
・日産の環境車対策を聞いたら、いろいろな対応を考えているとのこと。私は追いつく側だから、戦力集中すべきと言った。そこで電気自動車の研究開発をやってもらった。電池、電極、モーター、工場。いまのリーフは全て、メイドイン神奈川。
・電気自動車とガソリン車との差額が300万円。国に加えて、県で補助し、利用を有利にしてあげた。3000台か、五年間の期限付きで補助。開発から普及のお手伝いをした。おかげで今は神奈川県が電気自動車日本一。
・バスも作った。タクシーもコラボした。
・マニフェストの大きなテーマ、教育改革。高校生は、歴史を勉強してない。若者の3,4割は、日本史を勉強してない。
知事になってすぐ2人の文科相に会ったら、中教審の説得できないし任期短い。本当は学習指導要領を変えればいいんだが、国が動かないので、神奈川県からやる。
そこで教育委員を懇談して、進めた。
・反対派は、労組。それからお母さんたちが反対する。受験に差し障りあるから、と。
歴史が重要なのは、先輩たちの努力を知らないと、後輩が頑張らない。
神奈川県の歴史を知れば日本の歴史全部フォローできる。
必ず高校で必修にした。
・シチズンシップ教育。政治参加教育。20代の投票率をあげれば、底上げになる。コスタリカは95%。なぜなら模擬投票をやってる。家庭で議論する。投票日も、親は本当の投票箱、子供は模擬投票箱。
学校にイデオロギーを持ち込むのはよくないが、政治参加教育は必要。
・司法参加教育も。裁判員制度や、検察審査会も、いきなりにならないように。社会貢献教育。老人ホーム慰問でも。高校生はもう大人だから、行動の中で公民教育をやる。
・私は歴史が好き。神奈川の歴史で、箱根の秘史はすごい。その本を出した。全部民間人が開発した。
・二宮尊徳はある意味マニフェストを作った人。計画農法を作った。金融を作った。協同組合を作った。補助金はダメ、融資だ、返すために自立心が生まれる。
・上杉鷹山は、藩の改革、支配階級の改革。対して尊徳は農村改革、民衆の改革。
これは道徳経済融合論。渋沢栄一は尊徳の信奉者。安田善次郎や豊田佐吉も。
日本式資本主義のルーツは、尊徳にある。
・政治家の要諦。強い組織への一つは、リーダーシップ。二つは、チームワーク。
リーダーシップを取りつつ、チームワークを作れること。
四つのP。これがリーダーの条件。パーソナリティ人格、ポリシー信念、パッション情熱、プロパガンダ宣伝説明。