民主党代表選で、野田佳彦さんが、新代表に選ばれました。



これで海江田派=小沢鳩山派が離党するとは、考えにくいので、野田さんが総理になると思います。

早速今日から役員人事、そして明日には総理に指名されるようです。




わずか2日と時間がなく、政策論争も十分なされていないこと、

菅政権の継承かどうかや、反省なども曖昧なこと、など、

他党のこととはいえ、残念かつ不満ですが、

野田さんの勝利は、ダメな民主党の中では、不幸中の幸いの観があります。




まず代表選の勝因は、私の見方ですが、以下3点によります。

1.前原さんが想定外に、献金問題で伸び悩んだ(国会議員だけだったのも、伸びを阻みました)

2.増税やマニフェスト修正(3党合意)など、一番現実的で安定的な主張を、はっきり訴えた(それが中間派を動かした)

3.(決戦投票で)反小沢票をまとめられた




選出自体は、同じ千葉県の方であり、また個人的に面識もある方なので、うれしくはあります。



しかし先日書いた通り、総理が野田だろうが誰だろうが、難しい舵取りでしょう。

http://ameblo.jp/tanuma/entry-10984790397.html





改めて、その理由を端的に書くと、


1.党内基盤がぜい弱(自民党もですが…)

 小沢派を常に考慮しなくてはなりません。また左翼、組合系もいます。全く政策が違うグループが党内にいては、当然政策も歯切れ悪くなります


2.ねじれ国会がくせ者

 小泉政権では3分の2で再可決ができましたが、今はできないので、常に野党の意見を汲まねばならず、主張の分かれるテーマで押し切れない


3.時代環境の厳しさ

 震災、原発、外交不安、財政危機、景気低迷、社会保障破たん… 民主党の曖昧政策により、国民の依存心は高まっており、時代に対応するだけでも一苦労





しかしそういう中でも、小泉さんや橋下さんなど、支持率の高い人はいました。

なぜそうできるのかを考えると、

私の見方では、一言で言って、「面白い」からです。


ケンカや浪花節が日本人は好き。というかメディアが好き。だから好意的報道になる。よって人気が保てる。

良くも悪くも、政局に強い人、劇場型政治を展開できる人、ワンフレーズポリティクスの人しか、支持率を維持できないのが、今の日本の構造です。

無論これは、アテネでの民主主義発祥以来警戒されてきた、扇動的政治(デマゴーグ)であり、良いことではありません。

しかし、日本の民主主義はここまで来てしまった現実は直視しておくべきと思います。




※ついでながら言うと、私は菅さんは、結構したたかで、実を取ったと思っています。

ねじれ国会で最大の難関である、特例公債法案を、自分のクビと引き換えに通しました。加えて、人気を下げるだけ下げて置いたので、後任者は必ず支持率があがり、仕事もしやすくしておきました。

野党としては、本当は最後の最後まで公債法案を飲まずにいれば、菅さんも弱って解散総選挙しかなかったわけで、それが日本のために良いかどうかは別として、結局は民主党にとって有利な展開になっている。

なかなかです(もちろん私は菅さんを全く支持できませんが)




さて話を戻して、野田さんですが、「民主党が大好き」などと口で言っても、

やはり政策的に「増税」「マニフェスト修正」「連立指向」だと、

民主党内をまとめるのが大変だと思います。


2大政党制である以上、これは自民党も通ってきた道であり、ある程度は避け難いと思いますが、

私が再三言っているように、自民党以上に民主党は政策の幅が広過ぎて、団結を続けるのはより困難だからです。


野田さんの強みは、保守派であり現実派、そしてオウンゴールが少ない、安定派と言えますが、

同時に、以前指摘のとおり、自民党との違いが見えない面が強まるでしょう。

早速、みんなの党は「増税連合だ」などと言っているようです。


野田さんが民主党内を、「野田色」に染め切れるかが、分岐点かと思います。

小沢グループはチルドレンが多く、次の選挙では大幅に減らすと思います。今回小沢さんは三連敗してますし、うまく民主党内のグループ構成を、解散総選挙を利用して、野田・前原系の現実保守派拡大につなげるべきでしょう。

…自民党時代の派閥間争いそのものですが(-_-;)





ふたたび放談しますが、

やはり民主党を割るのがベストだと思います。

脱左翼、脱組合、脱小沢です。

古い勢力とたもとを分かち、前原グループ、樽床グループなど、

現実保守派を結集させるのがよいと主ます。

松下政経塾出身者で結集する「政経塾新党」です。


これができるかどうかは、自民党からの合流が見込めるかどうかでしょう。

自民党内では、野田さんを好意的に見る割合が、今後かなり高まると思います。

そうして、自民、民主の違いがなくなると、当然、「民主原点派」は不満でしょうが、

同時に自民の守旧派に不満を持つ「自民改革派」は、政経塾新党なら乗れる、となりやすいと思います。


もちろん過酷な小選挙区制下ですから、簡単には動けないですが、

野田さんは自民党内の分裂を、水面下でうまく導くのが得策でしょう。
そうでないと、自民がメイン、政経塾新党がサブの、連立しかできないため、

埋没して小選挙区で完敗してしまうリスクがあり、立党できません。

この辺が腕の見せ所です。

悪くすれば、渡辺よしみさんが言うように「菅政権の継続」という、非常に小さな役割で終わるでしょう。ちまちましていてはいけない。

大胆な手を打って、国難に対処できる政界へと再編することが、いまは最も国家国民に対する奉仕だと、私は思っています。



ちょうど、前横浜市長の中田宏さんが、以下のように言っていました。同感です。

 わずか2日間の顔見世で国のトップが決まる日本は、今や世界からは失笑の対象以外の何物でもない。米国では、「回転木馬」と言われている。


 野田氏は我々と国家観を共有する政治家だが、今の民主党や国会の勢力図では、野田氏とてその手腕を発揮するのは厳しい。「腐った皮袋に新しい酒を入れる」ごとく、誰がやっても同じことになる。


 だからこそ、野田氏には、ただひたすら国のためだけに行動して欲しい。それは、皮袋を変えることだ。今それを主導できるのは首相だけなのだ。


 日本でただ一人、その可能性を持つ野田氏に期待する。




以上、私自身の立ち位置とは全く関係ない、一分析です。

私自身は、真正保守、かつ抜本改革派でなければ、組めないのは、再三お伝えしてきた通りです。




何にせよ、難しいかじ取りです。

良くも悪くも腰の重い方だと思うので、常に政治生命を賭けて、大胆な打ち手をやることが必要でしょう。

政界再編に期待です。

それこそが真に日本を国難から救うとき、ということが、いつか判明すると思います。