総選挙で、民主党が圧勝しました。

300議席を超える、大勝利。

小泉旋風の真逆が起りました。

「明治維新以来初の、政権交代がおこった、歴史的選挙」などとメディアは言っています。



私は元来、「政権交代は賛成だが、民主党は必ずしも応援できない」立場でした。

民主党の政策には、もちろん賛同できる部分もあるものの(政官業癒着の打破など)、いま一番危機にある「日本の誇りや美徳」を破壊しかねないものがあるからです。

だから、無所属で頑張ってきました。



その意味で今回の結果は、私自身としては、一長一短というか、ある意味複雑な受けとめ方をしています。




しかしこの選挙が画期的なのは、紛れも無い事実。

後学のために、しっかり分析し、未来につなげなくてはいけません。






原因は何か。



麻生首相や菅さんも言っているように、長年の自民党への不平不満が蓄積していたこと、自民党という党の体質自体が、消費期限切れしていたこと、などにあると思います。



私は、安倍元首相が候補者の差し換えをしたかったのに、青木参院会長の承諾がもらえず差し換えられなかった、2007年の参議院選挙のとき、自民党はもう致命的なところまで来た、と思いました。

(そして、わたし自身、敢えて無所属を選んだ決断が正しかったと再認しました)

やはり小泉さんは、強権によって延命をしただけだったと思いました。


選挙の全責任を負う総裁、かつ日本国の総理が、選挙の候補者1つ変えられない党は、もう終末期ではないでしょうか。

しかもその理由が、先輩議員の意向に沿わないから…

これでは勝てない。責任と権限が一致していないし、年功序列が行き過ぎている。単なる前例踏襲主義に陥っています。



本当に本気で、党の勝利を考えるなら、ときには年功序列も打破しなくてはいけません。総裁による強権発動も必要かもしれません。

その非情なまでの強さが安倍さんになかったとも言えますが、逆に言えばそれだけ総裁の権力が弱く、地盤が脆弱な党ということ。それでは、勝てないだろうと思ったものです。



「自民党は自分党」と言われます。党のことより、自分のことが先にくる。

象徴的なのは、民主党の国会議員に対して民主党の市議県議さんは全員で応援しますが(逆に地方選に対しては、国会議員は深く関わる)、自民党ではそうでもないことです。皆さんの周りでもそうではないでしょうか?

党として戦うなら当然のことですが、「政権を交代する」などの共通理念を持たない自民党は、党としての団結が弱かった。

しかしそれでは、この厳しい小選挙区制の時代では、勝てないでしょう。



私は、問題の本質は、ここにあると考えます。

そしてそれは、自民党が数増やしに無節操になるあまり、結党の精神をさて置いて「自分のことが先に来る」候補ばかりを集めてしまったという、歴史の帰結だと思います。



だからこそ自民党は、問題の本質を踏まえて、今度こそ「自分のことより党のこと」を考える人だけで再構成し、抜本的な体質改善をしなければならないと思います。

これまでの旧弊や慣習、また古い考えや体質は全て捨てた、解党的出直しが必要です。



もっと言えば、「党のことより日本のこと」を考える人が必要です。

千葉7区の斉藤健さんなどは、それに該当する、素晴らしい国士だと私は思っています。

自民党には立派な人材が多いことは、多くの皆さんも感じていることと思います。

党の体質が問題なのです。長年の歴史、蓄積した慣習が、問題なのです。



そういう志の高い人や、若手・新人を中心として、ゼロから再生するのが、唯一の道と思います。

もちろん、若くても、「党より自分」主義者では、再生できないどころか、邪魔になると思います。

野心だけで、出世願望だけで、手を上げる人を、適切にふるい落とせるかどうかが、まず第一の再生への試金石となるでしょう。



やはりぐるっと戻って、ここは原点に回帰すべきと思います。

自民党の結党の理念。それは、憲法改正、道義国家の確立、外交的独立体制の整備、政官界の刷新、福祉社会の建設などであったはずです。

http://www.jimin.jp/jimin/jimin/rittou/index.html



どれも中途半端のまま、50年来てしまった。だから「うそつきの党」というイメージが根底に残ってしまった。

いまこそ真に原点回帰をし、「約束を守る政党」になることが、大切だと感じます。

(私見では今回の選挙でも、外に民主党を攻撃するのではなく、まず内に自らの改善を訴え信頼回復に努めるべきだったと思います。

「日本を守る、責任力」ではなく、「約束を守る、信頼力」でした)



原点の精神にしっかり全員が戻り、自民党が理念の下に戦う集団となったとき、つまり自民党が「自分よりも理念」というあり方を国民にちゃんと見せられるようになったとき、再び自民党の底力が見えてくるのではないでしょうか。



理念、原点への思い切った回帰。

自民党の再生は、そういう道しかないと、私は見ています。






なぜ自民党員でもない私が、これだけ熱心に書くかというと、私はやはり自民党に期待しているからです。



政権交代可能な日本になるためには、今度は自民党が頑張ってもらわねばならないですし、

日本を愛し「日本の心を取り戻す」が政治信条の私としても、しっかりとした真の保守政党が必要だと考えているからです。



民主党は初めて政権与党となるわけですが、批判するのと実際にやるのとでは、いかに違うものかは、私たちも普段から日常で感じている通りです。
もともと「政権交代=反・自民」で結束していた党ですから、その目標を果たしてしまったいま、結束を維持することにも相当の苦労をすると思います。



更に、拙劣ながらも予見すると、いつか必ず、この大勝利の振り子が返ってくるときが来る。小泉チルドレンがほぼ全滅したのと同様、小沢チルドレンも安泰ではありません。それだけ不安定な選挙制度を採用してしまっています。



それに、これまでの自民党の歴史を振り返ると、予期せぬ出来事が次々と起り、それに必死に対処する歴史でもあったと思います。リーマンショックや、教育の荒廃、不良債権問題、シーレーンの海賊、テロとの戦い、拉致、北朝鮮の核実験、貿易摩擦など…

「歴史は繰り返す」ならば、民主党政権でも必ずや、予期せぬ様々な問題が起こる。政権が苦境に陥ることも十分あり得ると思います。



また特にメディアは、為政者を引き摺り下ろすことばかりをやる傾向があります。本来は政策で真摯に評価をして欲しいのですが、ワイドショー化したメディアによって、いつか叩かれる時期も来ると思います。

献金問題など、その火種がいろいろ民主党にもあるのは、間違いないです。



そのとき、ふたたび出番が回ってくるような、しっかりした存在に自民党がなることこそ、日本のため、政治を変えるために、大切なことだと思っています。





もしそういう再生が自民党にできないなら、自民党に代わる別の保守勢力が誕生しなければならないと思っています(こういう発言は、私が無所属だからこそできるのでしょう)。


私自身、そういう流れをつくっていけるよう、自ら行動していきたい。

依然として一切ぶれず、大政党にも媚びず、「日本の心、誇り、美徳を取り戻す」ために「改革保守」であり続けたい、


そう改めて思った、今回の選挙でした。