9月20日~9月26日は、動物愛護週間です。
関連して先日、千葉県動物愛護センターの視察に、富里まで行って参りました。
http://www.pref.chiba.jp/syozoku/c_eisi/aigo/index.html
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ここは、千葉市・船橋市・県南部や西部などを除く、広範な地域を管轄しているセンターです。
主な業務は、
①動物愛護を知ってもらうこと
②動物を収容、管理、引渡し
③動物の処分
たとえば、現在やっている、動物愛護週間の行事などが、①にあたります。
(政府) http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/anim_week/h19.html
(千葉) http://www.pref.chiba.jp/syozoku/c_eisi/aigo/osirase.html#festa
また、②、野良犬などを捕獲して収容し、場合によっては譲渡や返還をしています。
たとえば、以下に、収容犬を画像つきで紹介しています。
http://www.pref.chiba.jp/syozoku/c_eisi/aigo/shuyoudoubutu/honsho-inu.html
ここの一番右に、「収容期限」とあります。
これが何の意味か、おわかりでしょうか?
これは、その日を過ぎると、犬を処分するという意味です。それまでに返還や譲渡がされなければ、その動物はそこまでの命ということです。
③の業務として、毎日多くの動物たちが、殺処分されています。
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我が家にも、チワワのようなパピヨン、ミルクがいます。それゆえ、他人事ではいけないと感じていました。
動物愛護の実態を、数字や資料だけでなく、ぜひしっかり現場を見てこようと思った次第です。
以下、施設のルポです。
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場所および外観は、なんだか人気(ひとけ)も活気のない、しずかで目立たない感じ。
やはり、ここが、動物愛護といいながらも、処分の施設でもある、後ろめたさからでしょうか、、、
静か過ぎる、目立たない、少し奥まったところにあります。これではなかなか人は来ないでしょうね。。。
看板です。
入り口。きれいですが、やはり人間の活気がありません。親しみも全然ありません。。。事務所、という感じです。
正面にモニュメントがあったので、記念撮影。ただし、人気がないので、あまり見られていないようです。
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現在の愛護センターは、愛護の普及啓発よりは、動物の管理や処分が、施設の大半を占めます。
それゆえでしょうか、広い平屋の建物が、敷地にひろがっています。
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入り口を入ったところも、普通にきれいですが、やはり人気がなく、親しみもありません。
普及啓発のためのコーナーでわかりやすく楽しくペットの飼い方などが展示されているかと思いきや、そういったものもほとんどありません。
動物の普及啓発の施設、というより、動物の管理の施設、という印象が強いです。
ちなみに、写っている小さな白い犬は、飼い主が飼育を放棄し、センターが引き取った犬です。
飼い主が返ってくるのを信じてでしょうか、ずっと外を見ていました。。。
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動物愛護・管理の実態を、職員の方に講義いただいたあと、
いよいよ白衣を着て、動物管理の現場へ。
本当に中の施設も薄暗いんです。
廊下には、他の方の白衣、作業着、洗濯物が、、、 作業施設という感がいよいよ強いです。
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まず、千葉県は、動物収容数があまりに多い、という現状があります。
この施設、動物愛護センターでは、スペースが圧倒的に不足しています。
かといって、すぐ増築できるわけではないため(予算申請はしているとのこと)、結局各地に収容動物たちが置かれてしまっています。
手術室。本来なら避妊手術などをやるところなのですが、スペース不足のため、室内にも収容されています。
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そして、犬の収容スペースへ。
ここは、衝撃でした。
多くの方にも、知ってもらいたい、現実があります。
強烈に鼻を突く、動物臭、そして糞尿の匂い。
そして犬たちは、極めて劣悪な環境に閉じ込められ、その後5日間で命を奪われています。
工場のような、入ってすぐの風景。左側に、収容された日ずつ、犬たちが部屋に入っています。
実際、工場での処理のように、犬たちは処分されていきます。
中も汚れがひどく、名実共に、殺犬工場という感じです。
収容日ごとに、すべての犬がまとめて部屋にいれられています。部屋の施設も、単なる区画なだけなので、トイレがありません。糞尿がそのまま部屋に残されており、感染症にかかってしまう犬が多いそうです。
毎朝清掃し、消毒も定期的に実施しているそうですが、一方で毎日たくさんの犬が収容されるため、どうしてもすぐ汚れていってしまうそうです。
現在の状況、つまり自分の命があと5日だということを、はじめは犬たちはわかっていないようで、多くの犬は元気です。
しかし感染症にかかってしまうこともあるのでしょうが、だんだん5日目に近づくほど、元気を失う犬が多いとか。
みな、元気です。しかしほとんどの犬は、今はもう地上にいないでしょう。。。 切なくなります。
その部屋は、何曜日に収容されたのかを、忘れないためのお札。この部屋は木曜に収容された犬たち。次の日は、右隣の部屋に犬たちは移されます。
右隣の部屋との壁を、上げ下げする、ボタンです。これで右へ右へと、犬たちは移されます。一番右に行ったときが、最期のときです。
本当に、わずか5日間の命。それまでに、返還や譲渡先が見つからなければ、どんな犬でも、悲劇が待っています。
通路の右側、部屋の向かい側に、犬を運び入れる入り口が。ここに毎日、各地で捕獲された犬たちが運ばれてきて、部屋に入れられます。
マイクロチップを首に入れている犬もいます。それを検知する機械です。マイクロチップがあれば、飼い主や素性などがわかるため、返還ができます。
しかし実際は、ほとんどマイクロチップは検知されないそうです。そこまで良心的な飼い主は、まだまだ少ないのが現状とのこと。
最後の5番目の部屋の右には、このような通路があります。この通路の奥に、炭酸ガスによる致死処分をするための、ガス室があります。いうなればこれは、「最期の道」。
ここ以降は撮影禁止ですので、写真はありません。
しかし視察はできますので、言葉のみで説明しますと、犬たちがガス室で命を失った後、遺体はベルトコンベア式に、すぐ隣の焼却場に運ばれます。
そこで骨も残らないほど高温焼却され、灰となって廃棄されています。
私たちがいったときはもちろん稼動していませんでしたので、暗く広い中、大きな焼却炉だけが置いてありました。
それまで犬たちがいて騒がしかったのに、最後の焼却場は恐ろしい静けさです。まさに死の場所、という感じでした。
外観のみ、写真を。奥の、平屋より高い部分が、焼却場です。あそこから、荼毘に付された犬たちの灰が、毎日捨てられています。
焼却炉は2基ありますが、老朽化しており燃費も悪いそうです。しかし県は予算削減の一点張りで、仕方なく現状維持しているとのことでした。
焼却場のすぐ脇に、犬たちの慰霊碑が。少しだけ慰められます。しかしこの慰霊碑が、何万、何十万という犬たちの碑であることを考えると、やはり切ないです。
最後まで見てわかる、この施設の静けさの意味。。。
この静けさは、火葬場の静けさだったんですね。
なんともやりきれない気分になります。。。
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上記が、処分される現場の実態ですが、もちろん譲渡や返還される犬も、一部はいます。
譲渡が決まっている犬たちの家。若く小さなオス犬が人気だそうです。
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旧飼い主への返還や新飼い主への譲渡は、少しずつ増えていますが、しかしそれでもまだわずか。犬で1割から2割。猫では1割未満に留まります。
実際には、動物たちの大半は、致死処分されているのが、実態です。
http://www.pref.chiba.jp/syozoku/c_eisi/aigo/toukei/toukeizenken.html (平成17年の全体像)
http://www.pref.chiba.jp/syozoku/c_eisi/aigo/toukei/toukeijisseki.html (過去からの推移)
この数値は、全国でも有数の多さとのこと。茨城とならび、千葉はワースト3だそうです。
千葉の誇り、イメージにも関わる、残念な事実です。
この現状を変えるため、センターとしては、飼い主のマナー向上、命の大切さ再認を、呼びかけています。
しかし、なかなかその声は届かないのが現状とのこと。
日々の奮闘ぶりも、よくわかりました。制約のある中で、本当に頑張られています。頭が下がります。
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田沼は、野良犬などを捕獲し処分することは、動物による危害防止のために、ある程度はやむを得ないと考えます。
しかしそれ以前に、現在は安易に処分がされすぎている。その元は、安易に動物を飼ってしまうからです。
問題の本質はここです。ここを変えていかねばなりません。
「最期まで面倒を見るつもりで飼うこと。放し飼いはしない、去勢不妊手術をするなど、動物と人間が共存できるマナーをちゃんと踏まえること。できるならば、マイクロチップを入れること。。。」
こういった飼育の基本を、飼い主側、つまり私たち側がしっかりやっていけるか。
私たちの、動物への視線や、命の大切さ・倫理観が、問われています。
そのためにも、どんな打ち手が、今後必要か。いろいろ議論をしました。いくつかのアイデアが出ていましたので、備忘録として書いておきます。
・行政としての広報活動が極めて不十分。あと5日で命を失う犬が毎日たくさんいることすら、知られていない。現状を伝えるとともに、里親募集をもっとかけるべきでは
・愛護センター自体が暗いので、愛護啓発も十分できないのでは。明るい施設にすべき。長野県はすごい
・動物販売業者が売るときの、売り方の指導がない。飼育の基本を伝えさせるべき。いまは売り手にとって都合のいい情報で売っているため、買い手である飼い主があとで飼育を放棄してしまいがち。東京都は指導している
・特に伝えるべきこととして、「捨てる人が悪い」ということを、徹底すべき。まだまだ知られていない
・捨てることへの罰則強化。海外ではアニマルポリスがいて、逮捕できる
・飼い主の登録制を強化すべきでは。「犬子手帳」や、マイクロチップの義務化など
・センターで行う譲渡会の情報を、販売店でも掲示するよう義務化し、動物を買いにきた人に買う選択肢を増やすのはどうか
・命を大切にする教育を強化すべき。特に子供のころ。最近は人でも動物でも、命を粗末にし過ぎている
・愛護に関わるのはボランティア団体が中心のため、どうしても運営に限界がある。NPOがもっと増えるとよいのでは
・千葉市・船橋市は、動物は少ない割りに、愛護に関わる役人は多い。千葉県は逆。県全体で見た人手バランスが悪い
今後はこれらの実効性などを検証し、政治決断していかねばならないと思います。
皆さんの感想や、お知恵を、お寄せ頂ければ幸いです。
以上、動物愛護週間に寄せての、ルポでした。
※参考;船橋市での、動物愛護センターによる指導の記事です。
http://www.chibanippo.co.jp/_inc/backnumber/news/chiiki/070821.php