CRF-320 やっと症状再現! | じんけいの修理日記

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趣味とボケ防止を兼ねて古いラジオの修理を楽しんでおります。https://jinkei.sakura.ne.jp/

昨年末にAMを受信すると音が出ないという不具合で戻ってきたソニーのラジオCRF-320です。

 

さっそく動作確認をしてみましたが、ご指摘の症状が再現できず、AMの各バンド(LW, MW, SW)とも問題なく受信し、メーターも振れています。

 

症状が再現できないと修理できないので終夜通電し、様子を見ることにしました。

通電を開始したのが12月29日でした。

正月三が日をまたいでも音声が途切れることなく正常に受信しています。放送はAM594KHz(NHK1)を受信。

 

数日経過後、朝起きてみると音声が出出ていません!症状再現です。

症状が確認できたのは1月6日の夜でした。

 

 

 

翌朝も症状が続いていたので早速解析開始です。

前回も似たような症状が出ていたので内部を見ようとバラしたところ、症状が出なくなり、想定できる原因の対策を施して返却した過程があったので、今回は症状が出ている状態で、どこに問題があるのかを突き止めたく、慎重に事を進めました。

 

 

まず、現状でわかったことです。

・AUX IN端子から信号を入れるとスピーカから音が出たので低周波部分は動作している。

・近くにラジオを持ってくると局発から漏れ出た信号がキャッチできたので局発は動作している。

といったところです。

 

 

フロントパネルを開くとハーネスが動いてしまって、接触不良が解消されると原因がわからなくなるため、背面のカバーを外して確認可能なところをチェックします。

 

下の写真は背面カバーを外して内部を見たところです。この状態で、まだ症状は再現しています。よしよし。

 

 

 

 

 

幸いなことに、この状態でMWの局発周りやIF回路、検波回路の信号が当たれるのです。

症状が出ていればどこまで信号が来ているのかチェックして行くことにより原因は判明します。

 

 

回路図とパターン図を見ながら、信号を追って行くと、どうもAMのIF回路の最終段が働いていないようです。トランジスタのベースにバイアスがかかっていません。

バイアス電圧がかからないのはこの電圧を作り出すAGC回路に原因がありそう。

 

ということでAGC回路の電源ラインをチェックすると、やはり既定の電圧より低い電圧(本来4.5Vのところ1.5Vしかない)でした。これは別回路からの流入によるものです。

 

 

どこまで電圧が来ているのかを調べて行くと、1個のスルーホールにたどり着きました。このスルーホールを経由してAGC回路に電源を供給しています。

 

 

 

このスルーホールを指で少し押すと、クラックにより断線していたスルーホールが繋がり、音声が出ることがわかりました。メーターも振れました。

 

 

 

スルーホールを経由せずに電源を供給できるようにジャンパー線を半田付けしてバイパスしました。

 

 

 

 

 

これで、その後振動を与えても症状が変化することなく、昨夜から終夜通電、今朝はタイマーが正常に作動することも確認しました。

 

 

 

 

様子を見て、問題ないようであれば本日発送いたします。

 

修理完了まで長い間お待たせいたしました。