ソニーの小型ワールドバンドラジカセ:ICF-SW1000T | じんけいの修理日記

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趣味とボケ防止を兼ねて古いラジオの修理を楽しんでおります。https://jinkei.sakura.ne.jp/

少し前に届いていたソニーの小型ラジカセです。

 

ご指摘、ご要望は下記のようなものです。

1.音がビビる 電池切れ間近の様な音ですが、

 新品電池でもイマイチ

2.LIGHTを点けようとすると電源が落ちる

3.感度悪い?

4.LEDを明るいものに交換希望

5.ベルト交換

 

 

FMとカセットテープはステレオ対応(ヘッドホン使用時)、同期検波やSSBにも対応(中波・短波受信時)している優れものです。

 

 

 

 

リア側にはカセットテープの窓があります。

 

 

 

 

ご指摘事項2のライトボタンを押すと電源が落ちるというのがちょっとけったいな症状ですね。電源が落ちてもLOCKされていなければライトは点灯するはずなんですが。。。。。何がおきてるんやろう。

 

 

厄介な問題は後回しにして、先ずは音のビビりから。

 

 

ヘッドホンで聞くとビビりはなさそうなので開腹してスピーカの状態を確認します。

開腹するにはリアキャビを外す必要があるのですが、ネジを外してもプラスチックの爪が何か所かあり、これがなかなか外れんのです。

 

 

 

やっとリアキャビが外れました。

 

 

 

これが外れればあとは簡単です。

最初にカセットメカのブロックを外します。カセットメカは信号基板と2本のフレキでつながっているのでこれを外します。

 

 

 

 

カセットブロックをとり外したところです。見えている基板は信号基板です。

 

 

 

 

 

次にフロントパネルを外します。

 

 

 

フロント側についている基板がマイコン基板、その下に信号基板が付いています。

 

 

 

 

 

 

スピーカを取り外し、単体で動作させたところ、スピーカーからの音が歪んでいることがわかりました。おそらくボイスコイルが擦っているのではないかと思われます。

 

このスピーカはフロントパネル側にボンドで固定されています。周囲をぐるりと固定されているために簡単には外れません。また、非常に薄型のスピーカなので交換用が入手しづらいように思います。スピーカのビビりに関しては残念ですが現状のままといたします。

 

 

気を取り直して、ライトボタンを押したら電源が落ちる件を調べましょう。ライト点灯回路を下記に示します。

ライトの点灯回路を見てみると、ライトボタンを押すとR702(1kΩ)を通してケミコンC701が電源電圧(3V、充電池であれば2.4V程度)に充電され、その電圧が放電抵抗R701で一定の電圧に下がるまでトランジスタQ702と701がONし、LEDが点灯するようになっています。

 

黄色で囲った部分は定電圧回路でLEDのアノード側に約2.4Vの電圧が出るようになっています。LEDには電流制限抵抗R706(22Ω)を通して電流が流れます。R706に約10mA程度電流が流れているのでLED1本あたり5mAの電流が流れることになります。また、このLEDのVf(順方向電圧降下)は約2.2Vです、つまり2.2V前後あたりからこのLEDは発光しだすのです。最近の緑や白、青色の高輝度LEDのVfは2.5V~3V程度あるので、これらのLEDを持ってきても発光しません。当時のLEDは発行能率は低い(明るく点灯しない)ですが、低い電圧でも点灯したようですね。なので、より明るく点灯させるためには高い電圧をかける必要があるわけです。赤色やアンバーは2Vよりも低い電圧で発光するので3V電源のセットにも安心して使用できます。

 

 

今回、ライトボタンを押してもLEDが点灯しない原因を調べて行ったところ、一定時間点灯させるために電荷をチャージするケミコンが劣化していることがわかりました。どうも漏れ電流が大きいようなのです。漏れ電流がほとんどないセラミックコンデンサに交換ました。下の写真。

 

 

 

 

これで問題なくLEDが点灯するようになり、ラジオの電源も落ちなくなりました。

 

 

 

 

で、LED交換の件ですが、現状、暗い部屋だと十分現状で認識できるレベルだと思います(下記写真)。

 

 

 

ICF-SW1や2001Dの暗さに比べると明るいので、より低い電圧でより明るく光るLEDを取り付けたということなのでしょう。

アンバーに変えることも可能ですが、変更するとかなり明るく点灯するため、明るい部屋でも十分点灯していることがわかりますが、夜中に寝ぼけ眼で点灯させるとまぶしすぎるのです。現状でもよいように思いますが、いかがでしょうか。あとでご連絡ください。

 

 

カセットが動作しないので(ゴムベルトが溶けてなくなっているので)新たなゴムベルトを装填します。下の写真は取り外したカセットブロックです。

 

 

 

 

 

基板を外したところです。

 

 

 

 

 

溶けたゴムベルトがあちこちにへばりついているのでこれらを除去、クリーニングしたあと、新たなベルトを装填しました。

 

 

 

これでカセットテープもOKとなりました。

ラジオの感度に関してはICF-SW1あたりと比較してもそれほど大差ないように思います。

 

今回の修理に関してご要望にお応えできていない点は

1.スピーカからのバリバリ音

2.明るいバックライトへの交換

です。あとで相談させてください。メールします。

 

今日はここまで。