先日FM音声が歪むということで修理したICF-SW77なのですが、1時間ほど聞いていると徐々に音が小さくなり聞こえなくなるということで戻ってきました。
スピーカーからは音が出なくなるがヘッドホンからは左側からだけは音が出るというのです。
受取って状態を確認してみたところ、受け取った当日は数時間動作させても症状が再現できませんでした。
ところが翌日、スイッチを入れるとすぐに音が小さくなりだし、ご指摘の症状が出ました。ヘッドホンを挿すと左からだけは音が出ました。
ただ、この時、ラインアウト端子からは左右ともまともに信号が出ていました。
ということは、メインアンプの右チャンネルに問題があるということになります。
本機はヘッドホンをつながないときにはMPX回路(ステレオ復調機能)をOFFにして、MPX出力からはL,Rとも同じモノラル信号をメインアンプICに出力します。そして、Rチャンネル側のメインアンプの出力でスピーカを駆動しています(LとRの信号をうまく使ってBTL駆動しているわけではありません)。
回路図と基板を見比べてICの各端子電圧を見て行くと怪しそうな箇所が見つかりました。
回路図で示すと下の着色した部分です。
このセラミックコンデンサ及びICのピン周りを半田ごてで温めたところ、電圧が正常になり、音声も出るようになりました。ウィスカーが発生していた可能性があります。
一応念のためセラコンは交換することにしました。
下の写真は取り外したセラコンです。
今回の不具合はFM受信時の音ひずみとは全く無関係な個所の不具合で単発的な不良であり、傾向不良ではないと思います。
これで問題が解決したので裏蓋を閉めて修理完了、、、となるはずが、、、、、
電源スイッチ近くのネジが馬鹿になっていてうまく裏蓋が閉まらんのです。
そこでネジを受けるボスがどうなっているのか見てみると、、、、
何度もネジ馬鹿になったようで、その都度ボンドを充填して何とかしのいでいたようです。
ボンドを充填するたびにボスの高さが少しづつ高くなり裏蓋が浮いてしまう原因にもなっています。
ここまでひどくなってしまうと手の施しようがないので、ボスを根元から取り換えることにしました。
で、こんな感じでまずは更地にしました。
この後、ジャンクの機器から切り取ったボスをプラリペアで接着、はみ出た接着剤はエンドミルで取り除きスイッチを取り付けました。
これで裏蓋もしっかり留まるようになりました。ネジの頭の部分にワッシャーをかましているので分解時にはなくさないようにしてください。
今回の修理はこれで完了です。明日チェックして問題ないようであれば発送いたします。