今日が上原輝男没後28年の命日、ということも意識しての特集です。

普通は個人個人のこととして考えられている「人格」も古来から日本人は「家系」からとらえていたという内容。
国立民族博物館、子ども文化の共同研究最終時の討論会で先生自身が発言したことについて 折口先生の言葉を紹介しながら講義で語っています。
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「日本人の人格・・・個人は人格たりえない」って言っているんですね。「家系が人格」・・・存続するものが人格なんですね。私が言う方が確かでしょ。

滅ぶモノが人格だったりするわけないじゃないですか。そうでしょ。死んだらおしまい、なんてものが人格だなんて、そんなもん人格じゃない。そんな事を言ったりしているんですけど。あれは玉川大学の上原教授の発言ってことになっている。出るんでしょうから。そうするとその教えを経て皆さんが活躍する・・・

いや、私も「私が言ったんじゃない。私に何か乗り移っているのかもしれない」・・・こう思うと気が楽ですよ。

     国文学講義(1)  昭和59年10月1日 
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「受け継ぐ」「伝承」ということを「家系」という視点からとらえているわけです。同じ血の流れでいう一族でなくてもいいわけですよね。

師弟関係での「同門」も広い意味での家系です。

具体的な思想・・・知識としての考え方・・・を受け継ぐということだけが、伝承ではない。
「生き様そのもの」を受け継ぐことがより重要であるということにもなるのではないでしょうか。

つまり、例えば上原輝男の説いた古来日本人の心、ということに納得がいかないという場合です。
考えている内容に納得していなくても、その探求への姿勢そのものを受け継いでいたら、それもやはり伝承していることになるのであろうということです。


*上原輝男記念会公式ブログの方では、今日の命日にちなんで生き様についてふれています。
人間の生き様 かぶき者&現代人
http://jigentai.blog.shinobi.jp

 

*上原輝男記念会 資料集サイトでは、上原先生の命日にちなんで寄稿された4つの資料を今日(4月11日)の午前中には更新する予定です。是非そちらもご覧ください
http://jigentai.edo-jidai.com/
→4つの資料の中で、この「生き様を受け継ぐ」ということに特に関りが深いのが、座談会の記録です。

 


*国立民族学博物館での共同研究については出版されています。
子ども文化の原像 文化人類学的視点から
岩田慶治編著 (国立民族学博物館教授)  
1985年 日本放送出版協会

P772 「子どもの人格」に関しての上原発言