校則を話題にはしていますが、学校の問題に限定しているわけではありません。
現代社会全体について考えたいというのが本心です。

昨日紹介したような事細かな校則・・・どういった事情であのようになったのかは分かりません。
地域の事情とか、複雑な要因が重なってということがあるのでしょうね。

すべての校則が細かい学校に当てはまるわけではないですが、時折耳にするのが、地域の方々・・・特に地元の有力者からの注文やクレームです。こうした方々の中には教育長などににらみがきく方々もいらっしゃいます。

こうした方々が直接間接をとわず学校に伝えてきたことに対しては、学校はまず逆らえないといっていいかもです。
特に公務員に関して法でも定められているような、職務上の上からの命令には従わなければならない、というのがあるというのも、「学校(担任)は何故変われない!」とお叱りをしている世間の方々には分かって頂きたいところだと思います。
そしてまた「守秘義務」というのも公務員にはあります。だから具体的な理由に関しても言えない。

現代社会でもよくみられることですが、とにかく帰宅後に何か生徒が問題を起こしても、真っ先に責任を追及されるのは学校です・マスコミの前で「指導がいきたりませんでした」と頭をさげるのも学校長たちですよね。
「学校はきちんと指導していたのか!!!!」
「すみませんでしが・・・今後二度と起こさないように指導を徹底します」
と約束させられる。

でも学校って何百人もの様々な生徒をお預かりしている。一人の先生が何十人も相手をして、学習指導から保護者の対応から事務的な作業から出張から・・・分刻みの膨大なことをこなしています。
よく昔から「先生はヒマでいいよね、夏休みとか子どもがこないからヒマなんでしょ」と言われますが、きちんと仕事をされている先生方は夏休み中だろうと何だろうと超多忙なんですよね。

その中で「二度と問題を起こさないように指導を徹底します」と約束させられたら、一体どうすればいいのか。
全員で守らなければならない校則を厳しくするしかなかなか手立てがないわけです。

そうすると今度は「生徒をしめつけて自主性をつぶしている」「ブラック校則」と責められる。
「一人一人の生徒の心に寄り添っての教育ができていない」と。

でもこれも冷静に考えて頂きたいんですよね。
各家庭でも躾けられない、親のいうことをきかない、反社会的な行動にはしる・・・そういう子ども達も分け隔てなく受け入れているのが公立学校です。
詳しくは明かせませんが、昔ある知り合いが、いわゆる荒れた中学校に赴任しましたが、帰宅しても夜中でも外出できるようスタンバイしていなければならない・・・それは警察からの引き取り要請が毎晩のようにあるからだと。
過程的にも問題のある生徒が多いので、問題を起こした生徒の親に連絡しても迎えに来ない、さらにはより問題が悪化してしまう。
だから学校の先生に引き取りにきてほしいとの連絡をするのだと。(もちろん先生は無料奉仕です)

本当にそういった状況になっている学校がどれほどあるかは分かりませんが、表に出せない様々な事情に板挟みになっているのが今の学校。

そしてさらにやっかいなのが、最初に書いたような方々からの注文等々です。
これはあくまでも想像ですが、例えば昨日話題にしたような地元でも優秀な学校という定評のある地域の場合、「生徒が問題を起こした」ではなく、その方々にとっての「生徒はこうあるべき」という理想像からちょっとでもずれているだけで「学校は何を指導している!」とお叱りをしてくることがある。(そんな事例を耳にしたことはありますが、実際にどの程度の地域で起きているかは分かりません。でもどこでも起こりうることだと思います)

その学校は地域の誇りでもあるわけですから、周辺の市町村の良きお手本でなければならない・・・だから生徒たちにはあらゆる点でチェックがはいるわけです。
「なんだあの服装は!中学生としてふさわしくない!!」
というような批判が寄せられたら、学校としては一番無難である「制服着用」を外では義務化するしかないですよね。
私服だとあまりにも「普通」「中学生らしい」という基準が人によって違いますから。


学校が改革に乗り出した場合、今までの姿からしたら自由になった分「乱れた」という印象を周囲が受けるというのは普通にあることです。でもそういうことが起きると「お前の学校の生徒が乱れているじゃないか!厳しい指導に戻せ!」と圧力がくる・・・

もちろん学校長や校内の上に立つ先生方の方針として校則が厳しい学校もあるでしょう。
でも、本音では学校長を含めて心ある先生方が生徒の自主性を重んじた方向に転換しようとしても、それを許してくれない様々な圧がある場合だって少なくないとおもうんですよね・・・・

学校現場を去って数十年なので、今の裏事業は分かりませんけど、ネット社会であの頃よりももっと多様な方々からの注文や批判が学校に殺到しているのですから、裏事情はもっと深刻かもしれません。

そして重ねて言いますが、守秘義務等々もあるので、先生方は言いたくても言えないことだっていっぱいあるんです。
どうかそういう事情も察してあげてほしいものです。


・・・・と学校のことを中心に書きましたが、冒頭にも書きましたように、今はこうした様々な層からの様々な注文や批判が殺到する時代です。学校以外の場でも「規則だらけ」「融通がきかない」と批判されていますが、そんな攻撃をすればするほど、実際には「モラル」に期待ではなく「規則を厳しくして縛るしかない」という方向に突き進んでいくと思うんですよね。

(続く)・・・明日は「東日本大震災」関連の予定なので、続きは12日以降になります