果てしなく続くテロとの戦い | シバ犬日記

シバ犬日記

ブログの説明を入力します。

















またしてもフランスでテロが起きてしまった。花火の見物客にトラックで突っ込むという悪夢のような手口だ。今回のニュースを見た瞬間、改めて突きつけられたテロへの無力感で絶望的な気分になった。

いうまでもないが、テロを完全に防ぐ事は不可能だ。国家のセキュリティを先進国の中で最大レベルに上げているフランスでも、世界最強の軍隊を持っているアメリカでも、もちろん我が日本でも。
西側諸国でもっとも激しい攻撃にさらされているフランスは、数ヶ月間ですでに200人以上の犠牲者を出している。我々はテロの前には無力だ。

世界は今、イスラム 過激思想という実態を持たない敵との戦争状態にある。この戦いには前線や後方といった概念は存在しないし、強力な軍隊による抑止力も意味をもたないのだ。




無限に続く戦い

近頃のIS名義のテロ事件を見ていると、従来のような軍事作戦的なハイレベルのものではなく、一個人が何の計画性もなく、まるで薬物中毒者のように人々に攻撃を加えるパターンが目立ってきている。もはや、ISの組織本体から指示を受けた訳でもなく個人の独断で行われた犯行なのだろう。
これは心に何らかの闇を抱えた人間がSNSなどによって過激思想に洗脳され、急速にテロリストへと変化する「インスタント・テロリスト」と呼ばれるものである。

”心に闇を抱えた人間”というのはどのような国でも一定数存在しており、日本でも人生に絶望した輩がショッピングモールで刃物を振り回す、といった事件が時々発生する。実際にそんな事件を起こすような連中は一握りだが、潜在的に狂気を隠し持っている人間はさらに相当数いるんだろう。
そんな彼らにとって、もしかしたら“IS”というブランドは非常に魅力的なものに映ってしまうのかもしれない。このブランドをまとう事により、"自暴自棄になった馬鹿の起こした犯罪" レベルから、一気に国際社会を恐怖に陥れるテロ事件へとグレードアップするのだ。
それこそ過激派組織の思うつぼなのである。

そして、過激思想の発信元であるISやアルカイダといった組織を壊滅させたとしても、思想自体が消える事はない。いずれは新しい継承者があらわれるだろうし、それが組織ではなくたった一人の人間だとしても、スマートフォンひとつあればSNSを使って全世界に過激思想をばらまく事ができる。

物理的な戦闘を続けるだけでは、この戦いは無限に続いてしまう。




イスラム教徒による思想戦をサポートすべき

くり返されるテロ事件によって、最も大きな被害を受けているのは99.9%の一般のイスラム教徒の人々であろう。
今、世界中でイスラム教徒に対する偏見や不信感が増大し、特に欧米のマルチエスニック国家において、彼らのコミュニティーは深刻な脅威にさらされている。

そんな状況で、イスラム教の宗教指導者たちもただ手をこまねいているだけではないようだ。
フランスなどでは若者たちへの過激思想の蔓延を防ぐため、予防活動を強化している。地域の若者たちとのコミュニケーションを深め、繰り返し正しい教えを説いて回り、危険な兆候のある人間は個別にケアしていくという活動だ。地道な取り組みだが、これはイスラム教徒たちによる、過激思想に対する思想戦なんだといえる。

地域レベルでの協力や連帯は非常に重要なことだが、これに加えて映像やネットなど様々なメディアを使った情報戦も強化していく必要があるように思う。これはまさに各国の安全保障の問題なのだから、国家レベルでイスラム教の過激派予防活動をサポートをしていくべきではないだろうか。

しかし、最終的に彼らに期待する事は、やはり過激思想の根底を突き止め封じ込めるという事だろう。無神論者の浅はかな考えなので、そんな事が可能なのかすら分からないが。。


差別や偏見の助長を促す恐れがあるために、テロとイスラム教との関係を切り離すという考え方も1つなのだろうが、残念ながらイスラム過激思想はイスラム教から発生してしまったという事は疑いようがない。
内部から生まれた問題の根底は、やはり内部でしか解決できないのだと思う。

気が遠くなるような長い戦いになるだろうが、イスラム教徒たちによる思想戦に期待をかける。