母の日が近づくこの頃の時期、
近くの大手スーパーの催事場エリアは
「母の日用のプレゼント」の陳列エリアとなる。
この生まれ故郷の町に戻ってきてから今年でちょうどまる30年になる。
「母の日用のプレゼント」の陳列エリアの中に、
鉢植えの花がたくさん並ぶコーナーがある。
僕は以前から、母の日には多年草の鉢植えの花をプレゼントしていた。
こちらに越してきた30年前からはいつもここで選んでいた。
今、毎日行くこのスーパーのこの時期、
このエリアを通るときいつもそのことを思い出す。
どの鉢植えにしようかな、今まであげてないのはどれかなあなどと考えながら、
しゃがんで探している自分の後ろ姿が目に浮かんでくる。
母は花が大好きで育てるのが上手だった。
鉢植えの花から、庭に広げていく。
僕のあげた花たちが、庭に広がっていった。
母は、笑顔で「おまえはほんとに可愛いいね、綺麗だね」と言葉をかけながら花の世話をする。優しく声をかけられ丁寧に世話をされると花にも人の心が伝わる、これ本当のこと。
移植や接ぎ木など母がやると必ずうまく行き、何年も綺麗な花を咲かす。
毎年、母の日に鉢植えを持って行くと、母は満面の笑顔で喜んでくれた。
僕は、わがままばかりで親孝行もせず、
親の言うことも聞かず若くして結婚して出て行ってしまい、
仕事への自信はあったのだけど、現実は挫折続きで安定しない生活が長かった。
母はそんな息子のことが心配だっただろうなと今さらながら思う。
母への小さな親孝行、母の日のプレゼントは18年前で終わった。
突然に亡くなってしまったから。
母の日が近づき、母の嬉しそうな笑顔が浮かんでくるとついつい涙が出てしまう。