前記事 2018年度の最低賃金(時給)の引き上げ額の話(1) の続きです。
安倍政権は16年6月に閣議決定した「1億総活躍プラン」で、
賃上げによる消費活性化やデフレ脱却を目指すため、
最低賃金を毎年3%程度上げていき、
1千円にする目標を掲げ16、17年度は25円ずつ引き上げられ、
それぞれ引き上げ率3%を確保してきた。
今回2018年も、2017年の最低賃金全国平均848円の3%を増加させ、
874円にする予定となった。
ここで、勘違いしないよう注意すべきことは、
最低賃金を毎年3%UPさせることは、机上の論理でできることだが、
その3%UPと、みんなの平均年収UPとは比例関係にはまったくないいうことです。
最低賃金UPは、何段階もの手続きを踏まえて決まるのですが、
極論すれば、不景気でもUP出来ちゃう数字だと思います(僕の考えですが)。
千円を目指すという最低賃金、支払う企業にとっては増える支払い以上の収益がなければ、
従業員全体の平均収入は下がることになり、
「賃上げによる消費活性化やデフレ脱却」につながるわけがないと僕は思う。
儲かっている大企業なら、うまくやっていけるだろうが、
ところが、日本では中小企業が大多数であり、かつ中小企業で働く人が大多数です。
また、2017年の最低賃金は東京都は958円だが、700円台の県は多く、
最高の東京都と最低の地方との差は221円もあり、この差は少しづつ広がっている。
なぜ、地方差があるかと言えば、地方は都会に比べ人口が少ないため消費力が少ないうえに、ほとんどの企業が中小企業だからだ。
地方の最低賃金を東京と同じにしたら、地方の中小企業はやっていけなくなる。
それはなぜかといえば、一般的に中小企業は儲けが少ないから。
なぜ、中小企業の儲けが少ないかと言えば、多くは大企業の下請だからです。
大企業と下請企業、企業間の力関係からみて、親企業のほうが優位に立ち、諸々の面で
支配、従属の関係が成立しており、また下請企業にも経営規模の大小、経営力の強弱などの相違によって1次下請け、2次下請けなどの区別が生れ、ここでも同じ関係が生まれている。
ここに、「下請けいじめ」が発生する。
一般に大企業である発注側が優位に立っている立場を利用して、
受注側で弱い立場にある中小企業などに無理な取引条件の押し付け、
たとえば極端な値引きを行う、代金支払いを渋る、合理的な理由のない返品をする、
無理な納期を求めるなどがあり、
この状況は日本において大昔から各業界で広く存在しています。
(僕は、バブルの時代、ある業界の大企業の個人下請をしていたから実体験として分かるが、自分らは大儲けをしていようが、その恩恵を下請までまわすような企業はないと言ってよいと思う。
それどころか、さらなる儲けのために下請けに厳しい条件を出してくる、これ日本の常識)
厚生労働省の調査では、
民間企業で最低賃金水準で働く人は約5%、中小企業に限れば1割いる。
最低賃金の引き上げはこうした働き手を助けるとともに、
低所得層の賃上げへの波及効果もあるけれども、
一方、中小企業の負担増を指摘する声も根強いとのこと。
公正取引委員会が「下請けいじめ」などで指導した件数は17年度、
過去最多の6752件になったという。
6752件・・・この数値は、表に出た件数であるから、泣き寝入りをしている中小企業はこの何倍もあると思う。
要するに、この記事で言いたいことは・・・
最低賃金全国平均値が上がろうと、それが千円になろうと、平均収入増とは次元が違うものであるということ、
地方格差は広がる一方であること、
したがって、最低賃金UPは、「賃上げによる消費活性化やデフレ脱却」には役に立たないということ、
それよりも、やるべきことは、
少数しかない大企業から、大多数の中小企業への下請の下ろし方の改善が先だろって
ことです。
つまり、儲かっている大企業に泣いてもらって、
大企業と中小下請企業との関係の改善をすることが先でしょ、ってことです。
日本の悪常識を変えろってことです。
それが、全国の最低賃金格差の減少にも役立つとともに、
全国民の「賃上げによる消費活性化やデフレ脱却」にもつながるんじゃないでしょうか・・・
ということでした。
長い文章、読んで頂きありがとうございました。m(__)m