長いです。

 

 

1.共謀罪が成立した場合、いままでと、これからの違い

 

・いままで

 いままでの日本は「悪いことをしたら捕まえる」という考え方

 

・これから

 悪いことをしようと計画した(と見なした)ら捕まえる

 

 

2.犯罪実行までの流れ

 

1)犯罪を行うか相談する

2)犯罪の実行を合意する

3)犯罪の準備を始める

4)犯罪の準備を完了する

5)犯罪行為の実行に着手する

6)結果(被害)を発生させる

 

日本の刑法では、

現在では(6)の「犯罪を実行し、結果を発生」させた段階ではじめて処罰するのが原則。 

 

ただ、重大な犯罪では、(5)から(6)への段階の、「犯罪行為の実行に着手したけれども結果が発生しなかった」段階(未遂)で処罰することもあるがこれは例外。 

 

また、ごく例外的に、特に重大な結果の発生する犯罪では、(4)の「犯罪の準備を整えた段階(予備)」で処罰することがあるが、

これは、殺人罪、強盗罪、放火罪、略取誘拐罪など、数えるほどしかないそうだ

 

個人の場合、(2)の「犯罪を決意」しただけの段階で罰せられることはないし、 

 

例外中の例外で、内乱陰謀罪、私戦陰謀罪、爆発物使用共謀罪などの場合は、

複数の人が共同で犯罪を行う場合で、(2)の段階(共謀)で罰せられるが、

それはごくごくわずかな場合である。

 

ところが、

今回、277もの罪について、あらたにつくろうとしている「共謀罪(テロ等準備罪)」は、

 

(2)の「犯罪の実行を合意」したあと、そのうちのだれか一人が犯罪の実行のための準備とみえること(準備行為)をしたら、全員が罰せられる。

 

つまり、相談して一度「犯罪の実行を合意」したこと自体が、罪とされる。

 

 

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さて、ここからが問題なのだ。

 

この法律は、

テロ等や詐欺行為等の事前防止に大いに役立つ素晴らしいものだと仮定しよう。

 

(2)の「犯罪の実行を合意」したあと、そのうちのだれか一人が犯罪の実行のための準備とみえること(準備行為)をしたら、全員が罰せられるわけであるが・・・

”その全員とは、いかなる方法で調べ上げるのだろうか”、考えてみる。

 

最も簡単なのは、ラインからつながりを追っていくことだと思う。

さらには、

SNSについても捜査上必要ということで、徹底調査が簡単にできるようになるでしょう。

 

もう、この時点でプライバシーは曝け出されてしまう。

 

 

そして、「単なる知人関係」なのか、「犯罪合意者」なのか判断するのは、捜査側である。

ここに、冤罪の可能性が出てくる。

 

もしも、幸いに無関係とされて解放されても、それまでの精神的苦痛等から、

その後の人生、思想に多大な影響を与えられることになると思う。

 

つまりは、内心の自由への事実上の拘束を感じたり、

反政府的なデモなどの参加歴があるとヤバいかも知れないと思ったり、

その種のデモに参加するのは今後のためにやめようとか、

政治的なブログを書いたり等のことは、やめておいた方が無難だなとか・・・

要は、目には見えない思想統制につながりかねない。

 

そうなったら、もうこの国は戦前の日本に戻ったようなものだ。

 

この法律がないとテロや悪質犯罪は防げない?

そんなことはないだろう、ヤバそうな人物に対しては、警察・公安はそんなに甘くない。

 

第一思うのだが・・・

 

2)の「犯罪の実行を合意する」・・・

この段階を見極めるには、いったいどうすれば可能なのだろう?

 

膨大な数の警察官が、膨大な対象者に対し、あらゆる方法を使って、

24時間監視し続けねばならないと思う。

 

さらには、合意者の捜査、合意者なのか否かの判断・・・

やってもやってもキリがないように思う。

 

ヤバい人間をつけまわしていることは、現在でもやっているし、

この法律がないがために、そういうことが阻まれているとも思えない。

 

 

じゃあ、共謀罪は、いったい何のために必要なんだ?という振り出しに戻ってしまう。

 

どう考えても、おかしな法案だと思うし、必要性が感じられない。

 

人それぞれの考え方はあると思いますが、僕は以上のように思います。