【ストーリー内容】
学校の休み時間、まる子とたまちゃんは紙芝居屋の話で盛り上がっていました。紙芝居屋とは近所の公園でおじさんが紙芝居を披露してくれるサービスで、紙芝居の後には水あめやミルクせんべいなどの駄菓子やくじも楽しめるのでした。まる子は、将来は紙芝居屋になりたいと思うぐらいに紙芝居屋の虜。その日はちょうど紙芝居屋が来る日でした。家に帰るなり、お母さんからいつものお小遣いをもらいます。紙芝居屋に行くからもっと欲しいとねだっても、「無駄遣いに協力するつもりはない」とあっさり拒否されてしまいました。まる子は仕方なく、貯金箱のお金を使う事にします。貯金箱をあけてみると、思っていたよりもたくさんお金が入っていたため、「今日は贅沢できる」と大喜びのまる子。全財産を持って紙芝居屋に向かいます。
たまちゃんと合流してしばらくすると、紙芝居屋がやって来ました。
紙芝居は建前では日替わりではあるものの、実際には2種類ほどを使いまわすという何とも手抜きなもの。何度も見た内容に子供たちがうんざりする中、やっと駄菓子の販売が始まりました。
まる子とたまちゃんは、まず水あめを買います。水あめは2人とも大好き。割り箸で練っていくうちにだんだん白くなっていく光景を楽しんだ後、そろそろ食べる事にします。食べてしまうと呆気なく、また買うことにしました。こうしてまる子はどんどん水あめにお金をつぎ込むのでした。
結局全財産を使い果たしてしまったまる子は、お母さんから大目玉を食らいます。罰としてお小遣いを止めるというお母さんにまる子は大袈裟に恐がり、次々と反省の言葉を並べます。初めは芝居だと疑っていたお母さんも次々と出てくるまる子の意外な言葉に、怒るのをやめます。まる子は、お母さんの反応に追い討ちをかけるようにさらに反省しているフリを続行。お母さんはついにまる子を許す事にし、これからもお小遣いはあげると言うのでした。
ところがそこにお姉ちゃんが登場。「まる子のずるさに騙されちゃダメ」「お小遣いはしばらくあげない方がいい」と言い出します。お姉ちゃんの言葉にお母さんは、やはりまる子への1週間のお小遣い停止を決めるのでした。
まる子は、お小遣いがもらえなくなった事で紙芝居屋へ行けなくなる悲しさでいっぱいのまま部屋に戻ります。部屋に戻ると、お姉ちゃんの漫画雑誌「りぼん」の今月号が置かれていました。まる子は冬田さんがまだ今月号を買っていないと言っていた事を思い出し、自分の作戦を阻害したお姉ちゃんへの恨みもあり、この「りぼん」を冬田さんに150円で売ることにします。
次の日、「りぼん」と引き換えに150円を手に入れたまる子は、もうお金がないというたまちゃんを「奢ってあげるから」と紙芝居屋に誘います。
その頃、お姉ちゃんは「りぼん」を探していました。お姉ちゃんは、ファンの漫画家宛てに悩み相談の投書をするつもりで、悩み事を書いたペンネーム入りのハガキを「りぼん」に挟んだままにしていたのです。ハガキを誰にも見られたくないお姉ちゃんは、かなり焦っていました。そして、まる子が学校に持って行ってしまったのではないかと心配になります。まる子の友人たちが自分のハガキをネタにバカにして大笑いしている姿を想像し、気が気じゃないお姉ちゃん。
まる子が帰ってくるなりすぐに問い詰めるも、まる子はひたすらシラを切ります。その時、冬田さんが訪ねてきます。「さくらさんに150円で売ってもらった『りぼん』に、お姉さんの悩み事が書いてあるハガキが入っていた」と言いながらハガキを差し出された瞬間、お姉ちゃんとまる子は、「ハガキを他人に見られた事」「『りぼん』を売ったのがバレた事」とそれぞれ違う理由で同時に崩れ落ちるのでした。

【詳細ネタ】
・まる子は、紙芝居屋をやるための費用を考える。紙芝居と自転車のほか、販売するお菓子代の事も考えると2万円はかかると結論づく。
・まる子の将来の夢が2万円で叶うと知った花輪くんはつい「ずいぶん安上がり」と言葉を漏らす。まる子は自分の夢なんて花輪くんの夢と比べれば「アリのオナラ」と例える。
・まる子のお小遣いは、1日30円。
・貯金箱には150円ほどしかないと思っていたが実際には230円も入っていた。
・たまちゃんは100円だけ持ってきており、全財産の260円を紙芝居屋に使おうとしているまる子に思わず引いてしまった。
・紙芝居屋が披露する紙芝居は、「野口英世」か「桃太郎」のどちらか。
・紙芝居屋は紙芝居の後、物語に関連するクイズを「当たった人は水あめをプレゼント」と言って出題。しかし、紙芝居屋はわざと答えられなさそうな子供を指名する。
・指名された子供は、「桃太郎と一緒に鬼が島に行った動物」を、「犬、サル、ネコ」と答えた。
・たまちゃんは気前が良い上に金まわりの良いまる子を見て、何か悪い事でもしているのではないかと心配になる。
・まる子は冬田さんに「りぼん」は付録なしだから150円で良いと持ちかける。冬田さんは「得ね」と快く買い取ってくれた。
・お姉ちゃんが相談しようとした漫画家は、一条ゆかり先生。悩み事は「要領が悪い事」で、そのせいで好きな男の子に告白もできないと綴っていた。ペンネームは、「さっちん」。

 

【コメント】

●たぬき「この回も、『姉のものを勝手に売った』というところでまる子の性格の悪さが問われるエピソードのひとつなわけだけど」

 

○さぬき「でもさ、まぁーお母さんの気持ちも分からなくはないけど、お小遣いって何に使おうと本人の自由なんじゃないの?貯金してたのだってもともとは自分のお金でしょ。あれだけ怒るなら、じゃあ何に使えば満足なんだ?って思うよ。使い道に口出しするだけならともかく、自分の気に入らない使い方をされたからってお小遣い停止なんかにするなら、そもそもお小遣いの意味がないじゃないか」

 

●たぬき「僕もそう思うよ。確かにね、大人だったりそういう駄菓子なんかに興味がない人にとっては、まる子のお金の使い方はとんでもない無駄遣いに写るかもしれない。でも、まる子にとって水あめはお金を出してでも欲しいものだったんだ。今はそういう物にお金を使っていても時がたてば飽きてくるだろうし、趣味や嗜好にも変化が出てくる。大人になったって趣味があれば、お金をつぎ込む人はつぎ込む。たとえ誰かに理解してもらえなくても、決められた金額内で買ってるなら何の問題もないと思うがな」

 

○さぬき「お母さんの罰が、『お姉ちゃんの物を勝手に売る』という最悪な行為を招いてしまったわけだね。そんなのに比べたら、お小遣いを水あめにつぎ込むなんてかわいいもんだったのに」

 

●たぬき「お母さんの罰というより、お姉さんが余計な口出しをするからw」

 

○さぬき「あー、お姉ちゃんの口出しって結局は僻みから来ているものだもんね。まる子がお母さんに許してもらおうと別にお姉ちゃんには関係ないでしょ?普段から自分が要領悪くてまる子よりも損している不満からの『逆恨み』というか」

 

●たぬき「お姉さんもな……自分は自分、人は人って割り切れないそういう所も要領が悪いんだろうな。真面目に生きるという強い意思を持つのはいいんだけど、そればかりでは報われるとは限らないという事に気付かないと。時には、プライドを捨ててまる子のやり方を見習うのも必要なんだよな」

 

○さぬき「今回も、要領の良いまる子にコテンパンにやられたね。ハガキの件は意図的じゃないにしても、それでも雑誌を勝手に売るのはね……」

 

●たぬき「まる子の水あめの恨みはそれだけ恐ろしかったって事さ。まぁ、お姉さんへの恨みというよりは、何が何でも水あめが食いたいという気持ちでの行為だった事には間違いないけどな」