夕暮れ時の山々をみて、ドイツの詩人 カール・ブッセの『山のあなた』を思い出しました。
山のあなた カール・ブッセ (上田敏訳)
山のあなたの空遠く
「幸（さいわい）」住むと人のいう。
ああ、われひとと尋（と）めゆきて、
涙さしぐみ、かへりきぬ。
山のあなたになほ遠く
「幸（さいわい）」住むと人のいう。
山の彼方に幸せがあるというので探しに行ってみたけれど、見つけることができずに涙ぐみつつ帰ってきた。すると人々は、山のもっとずっとずっと向こうに幸せはあるんだよ、という。
この詩に出逢ったこどもの頃は、あなた＝彼方の訳で理解していましたが、ある時、ここでいう「あなた」とは、この詩を読んでいる、まさに「自分＝あなた」であることに気が付き衝撃を受けました。と同時に自分が少し大人になったことを感じました。
そして、山の向こうにある幸せとは「未だ出会っていない将来の自分自身」のことを指し、
今の自分自身を越えて、別の成長した自分自身と出会うことができてはじめて、幸せを見つけることができる、と人々は言っているのです。
この曲を聴きながら、この詩を思い、調和してください↙️
ドヴォルザーク 交響曲第９番 第2楽章「新世界より」(家路)
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