赤色光療法： 総合的な健康増進に効果があるか？
2020年は、赤色光治療（RLT）や緑色光治療のような医療レーザー治療が60周年を迎え、その利点に関する多くの証拠が示された。
赤色光治療は、皮膚から赤色の低照度波長を照射することで、組織の回復やその他の若返りのプロセスを自然にジャンプスタートさせる可能性がある。血流を増加させ、コラーゲンの生成を刺激するなどの働きがあると考えられています。
赤色光治療は長い道のりを歩んできましたが、本当に効果があるのでしょうか？臨床研究によると、赤色光治療は人間の内分泌系と免疫系に良い影響を与えるため、一定の治癒能力と医療への応用が可能です。
この治療法は現在、慢性関節痛や治りの遅い傷などの症状に対して米国食品医薬品局（FDA）の認可を受けており、近い将来、研究が進むにつれてさらに認可が増えることが予想される。
赤色光療法とは？
赤色光治療は、低出力の赤色光の波長を皮膚から直接照射するものですが、熱を発生させないので痛みを感じることはありません。
赤色光は約8～10ミリの深さまで皮膚に吸収され、その時点で細胞エネルギーや複数の神経系、代謝プロセスに良い影響を与えます。このタイプの光は、他のレーザー治療と比べてエネルギー密度が低いため、「低レベル」と考えられています。
赤色光治療を聞いたことがなくても、光バイオモジュレーション（PBM）、低レベル光治療（LLLT）、バイオスティミュレーション（BIOS）、光刺激、あるいは単にライトボックス治療など、この治療を説明するのに使われる他の用語はすでにご存知かもしれません。
この治療法にはまだ論争があり、より多くの研究が必要ですが、いくつかの報告によると、赤色光治療による副作用はほとんど知られていませんが、多くのアンチエイジングの利点がリストアップされつつあります。
その効果は？Annals in Biomedical Engineeringに掲載された2012年の報告によると、赤色光は主に3つの方法で使用される： 「炎症、浮腫、慢性関節障害の軽減、傷、深部組織、神経の治癒促進、神経障害や痛みの治療。
細胞増殖と遊走を増加させ、サイトカイン、成長因子、炎症メディエーターのレベルを調整することによって、より強力な免疫力と長寿を促進するのに役立つことがわかっている。
エンジニアであり、科学者であり、光の周波数とカラーセラピーのヒーリング効果の専門家であるリアン・ヴェニエは、赤色光は中枢神経系に影響を与えるため、人間の注意を引き、活力を与え、刺激的で、「生存、喜び、情熱の代表」であると説明している。
NASAを含む信頼できる組織による広範な研究とともに、彼女の研究によると、赤色光は交感神経系を誘発し、したがって "闘争または逃走反応 "を活性化させる。
闘争・逃走モードになると、血液循環がよくなり、心臓の鼓動が速くなり、発汗量が増え、集中力が高まるなどの反応が起こる。通常、ストレス反応を活性化させることは悪いことだと考えられていますが、これは細胞に栄養素を運び、炎症反応をコントロールするため、癒しにもなるのです。
効果/用途
赤色光治療は何に使われるのか？研究によると、赤色光の波長が健康全般を改善する働きには、以下のようなものがあります：
細胞のミトコンドリアからATP（アデノシン三リン酸）の放出を促進することにより、エネルギーレベルを増加させる。
DNA/RNA合成を刺激する
老廃物を体外に運び出す免疫システムの重要な部分であるリンパ系を活性化する。
血流・血行を促進し、細胞や組織により多くの酸素や栄養素を運ぶ。
新しい毛細血管（細い血管）を形成する。
コラーゲンと繊維芽細胞の自然な産生を改善し、スキンケアや関節・消化器の健康に重要な役割を果たす。
損傷した軟結合組織の修復と回復
自然治癒力をコントロールするのに役立つ炎症を刺激または減少させる。
酸化ストレスやフリーラジカルによるダメージの軽減。
科学的研究に裏打ちされた赤色光治療の主な効果について、さらに詳しくご紹介します：
1. 免疫力の向上とがん治療の副作用軽減
NASAが行った研究によると、赤色光技術は、放射線や化学療法による痛みを伴う副作用など、がん患者が経験する症状を軽減することに成功している。
遠赤/近赤外発光ダイオード装置（一部の研究ではHEALSと呼ばれる）を使用することで、光子の形で長波長エネルギーを放出し、細胞を刺激して治癒を助けることが示されている。
NASAは、この治療法が、化学療法や放射線療法の副作用として非常に一般的で痛みを伴う口腔粘膜炎の患者に効果があるかどうかをテストした。研究者たちは、HEALS治療の結果、患者の96パーセントが痛みの改善を経験したと結論づけた。
研究者らは、"HEALS装置は、骨髄移植や幹細胞移植の患者に悪影響を及ぼすことなく、良好な忍容性を示した。"と述べている。"HEALS装置は、装置自体が1日病院に通うよりも安価であるため、費用対効果の高い治療が可能である。"
同様のHEALS技術は、現在、小児脳腫瘍、治癒の遅い創傷や感染症、糖尿病性皮膚潰瘍、重症熱傷の治療にも利用されている。
2. 創傷治癒と組織修復
600～1,300ナノメートルのスペクトル範囲の光は、創傷治癒、組織修復、皮膚の若返りを促進するのに有用であることが判明しているが、他の多くのレーザーリサーフェシング治療とは作用機序が異なる。
皮膚科で使用されるほとんどのレーザー治療は、二次的な組織修復を誘導することによって皮膚の若返りを促進するために、強力なパルス光を使用します。つまり、皮膚の表皮または真皮に意図的にダメージを与え、炎症を誘発し、その後治癒させるのです。
RLTは、この最初の破壊的ステップを回避し、代わりに細胞増殖、移動、接着の増加を通じて、皮膚の再生プロセスを直接刺激する。
また、線維芽細胞、ケラチノサイトの再生や、皮膚組織内に存在する免疫細胞（肥満細胞、好中球、マクロファージなど）の調節を通じて、皮膚疾患の治療にも役立つ可能性がある。
3. 皮膚と脱毛に対するアンチエイジング効果
人気が高まっている赤色光レーザー治療の1つの用途は、皮膚状態の治療と皮膚の老化の兆候（すなわち、しわや小じわ）の回復である。
Photomedicine and Laser Surgeryに掲載された2014年の研究結果では、対照群と比較した場合、赤色光治療がアンチエイジング皮膚の若返りと皮内コラーゲンの増加を促進する有効性と安全性の両方が実証された。研究者らは、赤色赤外光治療は "安全で、非切除、非熱、無外傷の皮膚組織光生物学的調節治療を提供し、患者の満足度が高い "と結論づけた。
RLTで治療された被験者は、超音波検査で測定されたように、有意に改善された肌色、改善された肌トーン、改善されたキメ／感触、減少した肌荒れ、減少したしわや小じわの兆候、増加したコラーゲン密度を経験した。酒さや赤ら顔の患者も、PBMをスキンケアに使用することで、高熱のレーザー治療に耐えられない患者でも、緩和されたことを実感している。
赤色光治療のもう一つのアンチエイジング効果は、脱毛を回復させ、毛包の発毛を促進する可能性があることである。発毛に関する結果は研究によってまちまちですが、PBMを使用した場合、少なくとも男女両方の患者の中程度の部分は、ハゲ/脱毛を回復させるという肯定的な結果を得ています。
4. 関節と筋骨格系の健康改善
RLTは、コラーゲンの産生を促進し、軟骨を再構築する働きがあるため、関節炎の治療にも使用されている。
2009年の関節リウマチに対する赤色光治療のコクラン・レビューでは、"LLLTは、特に副作用が少ないので、RA患者の痛みや朝のこわばりを緩和するための短期治療として考慮できる "と結論づけている。
関節炎に罹患していなくても、加齢による組織の損傷や変性の兆候がある場合でも、LLLTは有益である。Lancet誌に掲載された2009年の研究によると、"LLLTは、急性頚部痛では治療直後から、慢性頚部痛では治療終了後22週間後まで痛みを軽減する"。
他の研究では、筋骨格系障害の患者が赤色光治療の治療によって痛みが軽減されない場合でも、可動域の改善など「機能的転帰が有意に改善される」可能性が高いことが分かっています。
赤色光治療による細胞の若返りと血流の増加は、関節と組織の健康を改善する2つの重要な側面である。関節を変性させる酸化ダメージを減少させ、炎症を調整することは、LLLTが軟部/結合組織に利益をもたらす他の方法である。
5. 睡眠の質の向上
人間の体は、さまざまな生体システムを調整するために、屋外にしかない自然光を浴びる必要がある。一日中屋内で過ごし、ほとんど「日の光」を浴びないと、細胞のエネルギーシステムと概日リズムが悪化し、睡眠不足、疲労、気分関連の問題、体重増加などの問題につながる。
外に出るのが難しい場合は、RLTで自然光を浴びるのが効果的だ。これにより、「概日時計」をリセットし、健康的な睡眠に必要なメラトニンの分泌を助けることができる。
6. 気分の改善
赤色光の効用を説明するもう一つの方法は、東洋医学のレンズを通してみることだ。漢方医に、光がどのように健康、免疫力、疲労回復に役立つかを尋ねると、おそらく鍼治療の作用機序になぞらえるだろう：
光はエネルギーの一形態であり、私たちの身体は大きなエネルギーシステムに過ぎない。
光はエネルギーの一種であり、私たちの身体は大きなエネルギーシステムにすぎません。光には、人体の特定の経絡ポイントやチャクラゾーンを刺激する力があります。
赤は第一チャクラを刺激すると言われていますが、それは赤が私たちの生存本能と最も強く相関しているからです（それゆえ、私たちにエネルギーを与え、素早く行動させるのは、お金、食べ物、セックス、権力などといったものを追い求める気にさせるためです）。
赤色光セラピーの研究によると、この種の光は自然に活力を与え、自信、積極性、情熱、喜び、笑い、社会性、会話力、感覚刺激などを高めることで、気分の改善につながることが示唆されています。
証明されていない主張
RLTが上記のような効果をもたらすことは研究で示唆されているが、がん、臨床うつ病、免疫機能の著しい低下など、他の症状の治療に役立つかどうかを判断するのに十分な証拠はまだない。
また、効果をもたらす波長はRLTだけではありません。以下で詳しく説明するように、皮膚や筋肉の状態に対処している場合は、青色の波長、さらにはサウナの方が良い結果が得られるかもしれない。
類似の治療法
赤色光治療と青色光治療の比較
ブルーライト療法とレッドライト療法は、光線療法（サンランプも含む）の2つの形態で、作用の仕方は異なりますが、似たような効果と使い方があります。
両者の作用機序はまだ完全には解明されていないが、PBM装置は青色光レーザーに似た波長の光を、より広い出力ピークで発生させると考えられている。(単色性は低く、熱や摩擦は生じない）。
青色光は、特にニキビ治療のために、家庭用発光装置からより一般的に使用されている。青い光は皮膚の皮脂腺に届き、アクネ菌の中にある化合物であるポルフィリンを殺すのに役立つことが分かっている。
赤色光は皮膚の奥深くまで浸透し、炎症を抑えて治癒を改善することで、ニキビやその他の皮膚疾患にも効果があると考えられている。
青色光と赤色光は、卓上型の光治療器（家庭で使用されるもので、通常は弱く、1日2回、合計30分から1時間程度の治療時間が必要）から照射されることもあれば、医師の診察室で使用されるより強力な機器から照射されることもあり、より短時間（数分以内ということもある）で効果が出ることもある。
マサチューセッツ総合病院のWellman Center for Photomedicineは、これらの光治療、特にLLLTの分子レベル、細胞レベル、組織レベルでの作用機序をめぐる不確実性と混乱がまだ広く存在していると説明している。また、個々の患者を治療する前に医師が考慮すべきパラメータ（波長、フルエンス、放射照度、治療のタイミングと繰り返し、パルス化、偏光）が数多くあり、これが混乱と患者の結果のばらつきに拍車をかけている。
PBM（光バイオモジュレーション）と赤外線サウナ治療の比較
サウナは熱を利用して生物学的効果をもたらしますが、赤色光治療器は熱だけでは効果を得られません。
赤外線サウナは、従来のサウナのように空気そのものを加熱するのではなく、サウナ室内の物体を加熱することで効果を発揮します。赤外線サウナは、炭やカーボンファイバーなどの赤外線を放射する面を使って、赤外線の熱をサウナ室内に送り込みます。
熱はストレスの一種であり、心臓血管の健康、解毒作用、身体能力の向上など、一定の健康効果が期待できる。しかし、PBMの目的は、熱を使うのではなく、皮膚に直接光を照射して細胞にポジティブな影響を与えることである。この2つの治療法は、それぞれ独自の効果があるため、組み合わせることができます。
赤色光治療はどのくらいの頻度で行うべきですか？
RLTに対する反応は、個人によって多少異なります。一般的には、約8～12週間、一貫してこのセラピーを試してみることをお勧めします。
最初は短時間のセッションから始め、反応を見ながら回数を増やすこともできます。最良の結果を得るためには、最初の1～4週間は週に3～5回のセッションを行うことを目標にしてください。
リスクと副作用
赤色光治療は危険か？低レベルレーザー光治療は非常に忍容性が高く、副作用を引き起こす可能性は低いと思われますが、すべての患者を助けることができるかどうかはまだ議論の余地があります。
研究者が赤色光治療の研究結果を集めるのに苦労しているのは、異なる健康状態や異なる患者の治療に最適な光の範囲を特定することです。
発表された研究結果の中には、不適切な光源の選択や不適切な量を使用した場合、RLTが否定的な反応を引き起こす可能性があることが判明したものもある。どのような特定の用途にも最適な光量があり、赤色光治療の事例では、高用量よりも低用量の方がより効果的であることがよく分かっています。
赤色光治療の副作用は何ですか？火照り、腫れ、めまい、筋力低下、吐き気などがあります。
赤色光治療の結果を見るには忍耐が必要で、反応には個人差があることを覚えておいてください。治療を受ける際は、必ず資格を持ったPBM施術者とともに行い、副作用があれば報告するようにしてください。
最後に
赤色光治療（近赤外光、PBM、フォトバイオモジュレーション、LLLT、低レベルレーザー治療と呼ばれることもあります）とは何ですか？赤色と近赤外線の波長を皮膚から照射します。
赤色光治療はどのように作用するのですか？細胞の若返り、血流の増加、コラーゲンの活性化、フリーラジカルによるダメージとの戦いなどに効果があります。
PBMの健康効果には、がん治療の副作用、酒さや傷などの皮膚症状、しわや小じわ、脱毛、関節炎の症状、筋骨格系障害、神経障害などの症状の補助が含まれます。
赤色光治療の副作用はまれで、ほとんどの人がよく耐えられますが、結果はさまざまです。
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