ちょっと興味深いアンテナを見つけました。
オープン・スリーブ・アンテナ(open-sleeve antenna)です。
このアンテナに付いて我が家のHFアンテナとして採用出来るか検討してみます。
何が興味深いのかと言うと直接給電していない追加エレメントで他の周波数のマルチバンドアンテナが出来上がるという点です。
追加エレメントを直接給電している元のアンテナに近づける事で共振誘導させてアンテナとして利用できてしまう様です。
成立条件は追加したい周波数が元のアンテナの周波数より高い事。
下記が説明の絵です。



こんなに簡単にマルチバンドアンテナが作れるなら、何故流行っていないのか。
SWRのマッチング調整方法が追加するエレメントの長さとエレメントの間隔(上図距離D)の為、構造的な強度が保てないとすぐにSWRが悪化してしまうからではないかと思われます。
ワイヤーで作ったダイポールアンテナを利用してオープン・スリーブ・アンテナで2バンド化した場合、雨風の影響や経年変化によりスリーブ・アンテナ側が使えなくなる不安が出ます。
オープン・スリーブ・アンテナの場合、いくつか注意点がありました。
オープン・スリーブ・アンテナのインピーダンス調整は2本のエレメント間隔を狭くすると小さく、広くすると大きくなるのでこの特性を利用します。
MMANA-GAL_BASICにてシミュレーションしてみた所、アンテナエレメントの太さで最適なエレメント間隔が変わります。
あくまでシミュレーションの結果ですが
すべてのアンテナエレメントの線の太さを Φ1.0 にした場合の最適距離は 60mm。
Φ2.0 の時の最適距離は 100mm。
Φ3.0 の時の最適距離は 130mm。
でした。
また、エレメント間隔が狭い時ほどオープン・スリーブ・アンテナのエレメント長は若干ですが長くなります。

実際に作ってみてからカット・アンド・トライが必要ですね。


次にSWRの最適幅ですが、トラップコイルを利用したマルチバンド化よりは広くとれる様です。
シミュレーションしてみた感じでは専用に張ったフルサイズのダイポールアンテナと同等かほんの少し悪い程度の様で良好です。
指向性はダイポールとほぼ同等な8の字を示しますが特例がありました。
それは給電しているアンテナの3倍・5倍等 奇数倍周波数のオープン・スリーブ・アンテナの場合です。
例えば7MHzのダイポールアンテナに21MHzのオープン・スリーブ・アンテナの場合。
SWRは下げられるんですが強い指向性が出て、細長い8の字になり指向性ゲインもでます。(実際は「米」の字)
無指向性アンテナとして期待すると何方向か飛ばない方向ができますので3倍(や5倍)は避けた方が良いでしょう。

最後に我が家のアンテナに適応させられるかの考察です。
近日中に7MHzのアンテナをダブルバズーカアンテナに張り替えるつもりです。
その時にこの7MHzアンテナに添わせる18MHzのオープン・スリーブ・アンテナを試してみようかと思います。
オープン・スリーブ・アンテナのエレメントはΦ2.0のアルミワイヤーを準備します。
給電部との接続等必要なく一定の間隔でこのアルミワイヤーを添わせるだけ。
上手く調整出来なかったらアルミワイヤーを撤去するだけなので7MHzアンテナにダメージを残すリスクはありません。
上手く行ったら風の影響や雨の影響の程度を観察してみて継続使用できるかどうか考えます。


MMANA-BASICのデータを下記に書きます。
エレメントの太さはΦ1.0のデータで7MHzと18MHzの水平アンテナ75Ωです。
コピペして「DP40_Sleeve17.MAA」として保存してからMMANA-BASICに読み込めば動作できるはずです。

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Dipole 40m, Sleeve20
*
18.08
***Wires***
2
0.0,    10.19,    0.0,    0.0,    -10.19,    0.0,    0.001,    -1
0.0,    4.06,    -0.06,    0.0,    -4.06,    -0.06,    0.001,    -1
***Source***
1,    0
w1c,    0.0,    1.0
***Load***
0,    0
***Segmentation***
400,    40,    2.0,    2
***G/H/M/R/AzEl/X***
2,    12.0,    0,    75.0,    0,    0,    0.0
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Mod by 1, 1 2024/06/09 13:50:13
Mod by a, a 2024/06/06 8:56:58

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