HFダイポールアンテナを張る為に・・・・・・

50Ωラインでコモンモード成分をキャンセルさせる為の1:1バランを手持ちの部材を使って製作します。
フェライトコアを使うバランとしては「強制バラン」と「フロートバラン」が一般的かな。
フロートバランは製作が容易な割りに効果は高いので好都合です。
フロートバランの巻き方には何種類かあるが、今回はいちばん手間のかからない「バイファイラー巻きした平行線を単純に数回巻く」方法で作ることにします。
まずは通過電力からコアのサイズ(断面積)を決めなければなりませんね。
利用する周波数の一番低い周波数がバランにとって一番厳しい条件になりますので今回は7MHzです。
7MHzで給電点インピーダンスが50Ω,10回巻きと仮決めします。
手持ちでバランに使えそうなトロイダルコアは以前スイッチング電源のチョークコイル用にまとめ買いしたT-50-#26で断面積は0.121cm^2。
下記により計算するとコア1つで通過可能電力はたったの9Watt。
ならば、このT-50-#26を5個重ねて断面積を0.605cm^2にすると227Wattになります。
という事で今回はT-50-#26コアを5個重ねて10回巻でフロートバランを巻くことにします。
また、50Ωと低めのインピーダンスなのでポリウレタン銅線等の被膜の薄い単線がインピーダンスが近くなり適しているがあまり神経質になる必要はありません。
今回は理論上120Ω位になってしまいますが製作後の扱いやすさからUL1007-AWS26の電線をツイストして利用することにします。

具多的な計算は・・・・
トロイダルコアのバランにおける通過電力の計算をEXCELで行います。
以前、いろんな資料を基に必要な計算式を書いたEXCEL表計算を下記に書きます。
似たような計算をされている方のWebページも参考にさせてもらったので多分計算は合っていると思います。
下記の文字をコピペし「TroidPower.csv」として保存してください。
これをExcelで開き表の幅等を調整し「TroidPower.xlsx」として保存して利用して下さい。
B1に周波数(MHz)を,B2に同軸のインピーダンス,B4に巻き数を
そしてB3には利用するトロイダルコアの断面積(cm^2)を入力してください。
この断面積は下記から選べば良いです。

コアサイズ:断面積(cm^2)
   T-12:0.01
   T-25:0.042
   T-37:0.07
   T-50:0.121
   T-68:0.196
   T-80:0.242
   T-94:0.385
   T-106:0.69
   T-130:0.73
   T-200:1.33


--------- ここから -----------
周波数,'?,MHz,,,,,,,,
インピーダンス,'?,Ω,,,,,,,,
選定コア断面積,'?,cm^2,,,,,,,,
巻き数,'?,回,,,,,,,,
B(max_gauss)=,=150/SQRT(B1),,,,,,,,,
E(Volt)=,=B3*B4*B5*4.44*B1/100,,,,,,,,,
P(W)=,=B6*B6/B2,,,,,,,,,
--------- ここまで -----------


実際に製作したバランです。
重ねたトロイダルコア(セロテープで仮固定)の穴を見たら約7mmと10回巻くにはかなり狭い。
電線の「切れっ端箱」を見たら被膜外形0.98mmと細くMax3AのUL1061-26AWG線が1.5mくらいあったのでこいつをツイストして利用しました。
高周波電流は銅線の表皮を流れるためMax3Aは無理だとしても1Aは十分流せるはず。
50Ω1Aなら計算上50W,1.41Aで100Wとギリ実用範囲なので今回はこれで製作します。
適当なケースを探して防水しバラン完成させます。