今日は、
「第13回1級キャリアコンサルティング技能検定実技(面接)試験ケース内容1」
について、タンタンのオリジナルの事例記録を用いて事例指導の進め方を考えます。
事例指導者の自己紹介、キャリアコンサルタントの紹介が終わり、面談記録が渡った後から進めます。
最初に、キャリアコンサルタントの相談したいことである
「頑張ってきたことの成果として、今回の打診があったということに気づいてもらいたいと支援的にかかわった。」
「育児・介護休業法などの情報提供も行い、前向きに検討できるよう進めたが、どこか納得のいかない様子のまま面談に来なくなってしまった。」
この対応指導の問題(面談の結果)と育成指導の問題(面談に来なくなってしまった問題)に焦点をあて、
事例指導者が、
『Aさんは、面談の対応に納得がいかなかったのですね。』
『Aさんは、面談に来なくなったのですね。』
などと応答してしまうと、事例指導の核心に焦点をあてることになります。
このように進めると、事例相談者が考えていた面談経過のシナリオを振り返ることが無くなってしまいます。
それで、面談経過に書いてあるAさんの見方、感じ方や考え方が含まれる出来事について時系列に振り返ることから始めます。
【過去の経験については、Aさんの感情や表情に焦点をあてる】
『Aさんは、四年制大学を卒業後、正社員を目指すが、就職氷河期世代で正社員に採用されず、派遣社員として仕事を続けたのですね。』
『Aさんは正社員になれず苦しかったでしょうね。Aさんはその時の気持ちについて何か話されましたか。』
『Aさんは派遣元のキャリアコンサルタントに相談し、経理関係の仕事を提案されるが、経験や年齢の問題で正社員採用に繋がらなかったということで、派遣先を何度も変え、自信を失い、やる気をなくしたということですね。』
『Aさんは派遣先を何度も変え、自信を失い、やる気をなくしたということですが、そのことを話しているAさんの表情や様子はいかがでしたか。』
【現在の状況については、Aさんの感情や表情から、事例相談者がどのように感じたり、理解したのかに焦点をあてる】
『Aさんは40歳頃に現在の会社に派遣され、総務部で経理の知識を活かし、正社員に登用されて、結婚し、子供が1歳になるということですね。』
『Aさんは、正社員になり、家族と共に喜ぶとともに、今の生活に満足されていることですね。』
『事例相談者は、そのことに関してどのように感じましたか。』
『Aさんは母親が認知症を発症し、介護が必要になり、仕事と育児の両立に介護が加わり、どんなことに困っている様子でしたか。』
『事例相談者は、Aさんの仕事と育児、介護の3つの両立について、どのようにしたらいいとお考えになりますか。』
『Aさんは上司から係長への就任の打診を受けたことについて、どのような考えを言われましたか。』
『Aさんは家族と共に喜びつつも、責任の増加や不安を感じていると言っていました。』
『事例相談者は、それに対してどのように感じましたか。』
『係長への就任に対する決断を迫られており、責任や不安から、焦りやプレッシャーを感じている様子でした。』
上記のように過去の出来事、現在の状況などから、相談者がどのような不安、喜び、焦り、感謝の気持ちを感じているのか明確にしていきます。
そして、それを事例相談者がどのように受け止めたのか確認することで、関係構築のストロークを使って信頼関係を築いていくのです。
このように基本的なかかわり技法を用いて、相談者の気持ちの整理をすることで、事例相談者に相談者の不安、喜び、焦り、感謝の気持ちを理解させます。
それで、相談者の心理ステップを理解させることができたら、次は、事例相談者が相談者をどのように理解して、どのように対応したのかという、問題把握ストロークに進むのです。