炭水化物摂取での新しいデータ
炭水化物が7割超になると死亡リスク上昇が有意に
ランセット誌のオンライン版(2017/8/29)で、
カナダ・マックマスター大学の
5大陸18カ国で全死亡および心血管疾患への食事の影響を
2003年1月1日時点で35~
2013年3月31日まで中央値で7.4年間の追跡調査をしています。
論文の内容を要約
1)炭水化物摂取量の多さは全死亡リスク上昇と関連。
2)
3)総脂質および脂質の種類は、心血管疾患(CVD)、
4)飽和脂質は脳卒中と逆相関している。
炭水化物摂取比率 総死亡率
1群 46.4% 4.1%
2群 54.6% 4.2%
3群 60.8% 4.5%
4群 67.7% 4.9%
5群 77.2% 7.2%
脂肪の摂取比率 総死亡率
1群 10.6% 6.7%
2群 18.0% 5.1%
3群 24.2% 4.6%
4群 29.1% 4.3%
5群 35.3% 4.1%
1) 炭水化物:最高群の死亡リスクは28%増
炭水化物については、
最低群(総エネルギーに占める炭水化物の割合の中央値が46.4%)
と比較した最高群(同77.2%)の総死亡のリスクは28%高く、
摂取量が多いほど死亡リスクは高い傾向が見られました。
最高群では、循環器疾患以外による死亡のリスクも36%高くなっていました。
摂取量の増加とリスク上昇の関係を調べたところ、
総死亡のリスクは、
総エネルギー量に占める炭水化物由来のエネルギーが
60%を超えたあたりで上昇傾向を示しました。
おおよそ炭水化物が70%を超えると、
リスク上昇は統計学的に意味のあるレベルになり、
それ以降も上昇は続くことを示す結果が得られました。
70%を超えると、主要な循環器疾患のリスクも急上昇していました。
2) 脂質:最高群の死亡リスクは23%減
脂質については、炭水化物とは反対に、
最低群(総エネルギーに占める脂質割合の中央値が10.6%)
に比べ最高群(35.3%)の総死亡リスクは23%低くなっていました。
同様に、脳卒中と、循環器疾患以外による
死亡のリスクも低くなっていました。
脂質の総摂取量の増加とリスク低下の関係を調べたところ、
死亡リスクは、総エネルギー量に占める脂質由来のエネルギーが15%を超えたあたりから、統計学的に意味のある低下を示し、
しばらくはその値を維持していました。さらに30%以上になると、摂取量の増加に伴いさらなるリスク低下を示しました。
飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、
多価不飽和脂肪酸の摂取はいずれも、少ない人より多い人のほうが、
総死亡リスクと、循環器疾患以外による
死亡のリスクは低いことが示唆されました。
3) たんぱく質:最高群の死亡リスクは12%減
たんぱく質摂取量についても、
最低群(総エネルギーに占めるたんぱく質割合の中央値が10.8%)
に比べ最高群(19.7%)の総死亡リスクは12%低く、
循環器疾患以外による死亡のリスクも15%低くなっていました。
なお、動物性たんぱく質の摂取は総死亡リスクの低下に関係する一方で、
植物性たんぱく質の摂取は総死亡リスクに影響を及ぼしていませんでした。
これまでに欧米で行われた研究と比べると、
今回の分析対象となった人々の炭水化物の摂取量は多く、
およそ4分の1が総エネルギー量の70%超を炭水化物から摂取していました。
今回の研究は、「総エネルギー量に対する炭水化物由来のエネルギーの割合が高すぎる人は総死亡リスクが高い」こと、
「脂質摂取量は、少ない人より多い人のほうが、総死亡リスクは低い」
ことを示しました。
著者らは、「低所得国の食生活は、
炭水化物の摂取量が非常に多く、
それも精製穀物が中心であるため、
炭水化物を減らして脂肪からエネルギーを摂取したほうがよい」
とし、食生活に関する世界的なガイドラインの
再考が必要との考えを示しています。
炭水化物の摂取比率が多いほど
直線的に右肩上がりで総死亡率が上
そして脂肪の摂取比率が多いほど、
ケインがこの試験を見て思うことは、
動物性タンパクの重要性
脂質の重要性です。
江部先生の糖質制限、アトキンス、MECにおいても
上述の栄養素はふんだんに取られており、
ケインは、彼らを支持する立場です。
特に動物性タンパク、脂質で健康リスクが下がる
ことは、多くの方達に知ってもらいたいことです。