長崎県諫早市にある母乳育児産後ケア専門の
いさはやたんぽぽ助産院、助産師山口亜矢子です。
今日は母乳産生に大切なもうひとつのホルモン、オキシトシンについて書きたいと思います。
オキシトシンの大きな働きは射乳反射を起こすということです。
射乳反射って何ぞや?ですが、母乳をピューっと押し出す作用のことです。
乳房には母乳を作り出す乳腺組織というものがあります。
乳腺組織をおおまかに説明すると、
乳房の中に、ぶどうの房が7~10個あるのをイメージしてください。
その房にブドウの実が20~40粒ついていて、
実の中に小さな種が10~100個入っています。これを腺房と言います。
この小さな種、腺房の中に母乳は作られます。
腺房の周りには、毛細血管や筋上皮細胞というものが網目状に張り巡らされています。
ものすごく簡単な絵ですみません。
オキシトシンは、この筋上皮細胞を収縮させる作用があり、中に作られた母乳が押し出されて飛び出てくるという仕組みなんですね。
赤ちゃんの吸う刺激で、オキシトシンは脳にある下垂体後葉というところから、パルス状に放出され、射乳反射を起こします。
このオキシトシンは赤ちゃんが授乳を始めると1分以内に血中濃度が上昇し、授乳をやめると6分以内に元に戻ることがわかっています。
そして乳汁分泌が維持できているお母さんの場合、授乳中に何度も射乳反射が起こると言われています。
母乳って赤ちゃんが吸う刺激で、湧いてきてそれを飲み取る。
決して搾りだしているわけではないということですね。
乳汁分泌がある程度軌道にのっているお母さんでは、飲ませ始めて少しするとおっぱいがツーンとする感じのされる方がいらっしゃいます。
いわゆる「さし」と言われるものです。
このツーンとした感じは授乳中の方が全員感じるわけではありませんが、この「さし」が来ているときは射乳反射が起きています。
「さし」を感じなくても射乳反射は起こりますので、心配しなくて大丈夫です(^^)
このオキシトシンのすごいところは、赤ちゃんにおっぱいを吸ってもらうだけではなく、お母さんが赤ちゃんの泣き声を聞いたりにおいをかいだりするだけでも放出され、射乳反射が起こるというところです。
もし赤ちゃんと離れ離れになってお母さんが搾乳をしなければならないときは、赤ちゃんの写真を見たり、泣き声入りの動画を見ながら搾ると射乳反射が起きやすく、搾乳しやすいかと思います。
ホルモンってすごいですね!
このほかにもオキシトシンにはオキシトシンという本があるくらい授乳の時以外にも様々な効果があって
幸福感を生む
ストレスレベルを下げる
痛みを軽減する
人間同士のかかわりを構築するなど
ほかにもたくさんあるようです。
「愛情ホルモン」とも言われていますよね。
授乳による刺激、またふれあい寄り添いによって生まれるということですので育児真っ盛りのお父さんお母さんはもちろん、その後もずっと忘れないでいたいですね。
ではまた!