いよいよトレ-ニングです。
成田空港近くのホテルを会社が
準備して下さったのですが、
なんと・・
相部屋でした。
私がホテルチェックインした時には、
私のル-ムシェアの Aさんは既に
お部屋に入っていました。
どんな方かしら?
緊張しながらドアを開けたのを
20年近く前なのに、
今でも鮮明に覚えています。
「初めまして・・」 と
自己紹介して知り合った
ばかりの二人が、
この先5週間の研修中、
一緒に生活を共に
しなければいけなかったのでした。
これだけでも、かなりの試練でした。
研修中に、機内のアナウンス、
機体の構造について、ル-トインフォ、
アメリカの空港について、
緊急訓練、サ-ビスなどなど・・
いくつも研修項目があるのです。
そして、毎回試験があり、
合格ラインがあります。
これらの試験に
2回落ちてしまうと、
折角一次試験、
2次試験と合格したのに、
研修を受けられないのです。
皆研修に参加するために、
前職を退職してきています。
研修を無事に終了しなければ、
外資系の会社は、
厳しいなっと感じました。
何というプレッシャ-!!
制服を頂いて、
気分も高揚するのですが、
毎朝、グル-ミング、
髪型のシニョン、
メ-クして研修を受けるのです。
勿論、インストラクタ-の方が、
私たちの装いをチェックしています。
「機内は、薄暗いので、
もっとチ-クを濃くいれたほうがいいわ。」
など、指摘されます。
そして、授業を受けている後方では、
インストラクタ-達が、
私達の授業態度を
チェックしているのです。
足を組んだり、
たまには背筋が丸まったりするものです。
たまには、
毎日厳しいトレ-ニングで
疲れがたまり、
うとうと・・ したくもなります。
そんなことをしたら、大変!
私は、研修内容よりも、
後ろから見られている
厳しい視線の方が気になり、
なんだか
毎日気疲れしていました。
緊張した一日を過ごした後は、
一人でふっと
した時間を過ごし、
次の日に向けた試験勉強も
自分のペ-スでしたいところです。
人それぞれ
自分のペ-スを
保ちたいですが、
そうもいきません。
1週間くらい過ぎると、
ル-ムシェア同志で
相性が合わず、
自然と、
ル-ムシェア以外の同期と
日中は過ごす人がでてきたり、
相手の悪口が聞こえてきたり・・
幸い、私は小学校時代を
ニュ-ヨ-クで
過ごした帰国子女、
そしてホテルでのサ-
一歳年上のAさん。
とてもやわらかい性格で、
好むタイプの性格でした。
自信満々の帰国子女
というイメ-ジより、
「もう、無理だわ!」
「試験、落ちたかも・・・」
毎回、大丈夫! 大丈夫よ-!
と励ましながら一緒に頑張りました。
私たちは、機内通訳という
タイトルでアメリカ路線に乗務することになり、
客室乗務員、
緊急避難の際に、
自分の担当のドアはなく、
セイフティ、セキュリティの
担当ではないのです。
皆さんがイメ-ジするような、両手の拳を
ぎゅっと握って、
肘を伸ばして、
前にだして、
そんな実技の試験はありませんでした。
それでも、機内に乗務するということで、
避難する際の対応、
火事に備えての消化訓練、
心肺蘇生法(心臓マッサ-ジ、人口呼吸)
教わたっりもしました。
機内でのメインの仕事、アナウンスも
かなり苦労しました。
実際の機長の英語のアナウンスを
何パタ-ンも聞いて、メモして、
綺麗な日本語アナウンスにする練
機内の巡航高度をフィ-トからメ-トル
出発時の機体の重さは何トンをキロに。
出発時のスピ-ド時速キロに。
気温を華氏から摂氏。
瞬時に数字を聞き取り、
それぞれ計算しなおすのです。
私達4クラス18人の同期は、
新卒で入社した22歳から
経験豊富の35歳の同期の顔ぶれです。
ほとんどが帰国子女、
短期留学、長期留学経験者です。
分厚いマニュアル、全て英語で書かれた
ものを頂き、緊急訓練は全て英語で行われます。
全く留学経験もなく、
法学部を卒業して証券会社での
職歴がある一人だけが、少し
辛そうでしたが、皆で助け合い
何とか乗り切りました!
4クラス同期は、
全員航空会社で飛んだ経験がなく、
外資系金融、証券会社、ホテル、
私のように会社員のメンバ-です。
ル-ムシェアで少し気が合わない同期も
いましたが、未経験者ということで、
和気あいあいとした雰囲気もありました。
研修半ばで、香港まで日帰りのフライト、
オブザべーションフライトがありました。
機内のサービス、
機内見学をして、
気づいたこと、感じたことをリポート
発表しなければなりませんでした。
兎に角、
積極的に発言することを求められました。
クラスごとに、チームとして
見られるので、
「4クラスは、大丈夫かしら?」
と思われないよう皆必死でした。
そして長い、長~い、
明け方まで勉強の日々、
寝不足の日々、
5週間の訓練を終えるのです。
他のクラスでは、
不合格者も出たようでした。
幸いにも、
私たち全員が、
無事に訓練終了記念セレモニーに
参加することができました。
寝不足、疲れ…
大変な日々を思い出し、
また、1月23日解雇通達された日から、
三ヶ月後には、
こんな晴れやかな
セレモニーに参加できるとは…
人生何があるかわからない!
そんな思いと、無事に終えた嬉しさ、
ホットした思いで、頬には涙がこぼれていました…
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