病院の玄関につくと、おふくろとスンハが迎えにきていた
グミママ:“ハニちゃんの荷物はそれだけ?”
スンジョ:“あぁ。”
スンハ:“ぱぱ”
スンジョ:“おいでスンハ”
荷物を車に乗せ、スンハを抱き寄せた
スンハ:“ぱぱぁ。ままは?”
スンジョ:“ママは、”
ハニ:“ごっめーん。みんなに挨拶してたら遅くなっちゃった”
グミママ:“ハニちゃ~ん♡”
スンハ:“まま!!”
ハニに抱きつこうとするスンハ
スンジョ:“そんなの復帰してからでいいだろ。まだ無理するな”
ハニ:“無理なんかしてないわよ”
スンジョ:“ったく、自分がけが人だってわかっ”
グミママ:“ハニちゃ~ん♪元気になって良かったわ~!!心配したのよ~”(スンジョを押しのけて入ってくるグミママ)
ハニ:“ご心配おかけしちゃって、すみません”
グミママ:“ん~ん。謝らないで。ハニちゃんが無事なら、それで十分。それだけでいいの♡”
ハニ:“お義母さん…”
(コソッ)“それに、お兄ちゃんだって、あんなこといいながらハニちゃんが心配で心配で”
スンジョ:“おい!おふくろ!”
グミママ:(スンジョの小言は無視)“さぁさぁ、お兄ちゃんなんてほっといて、うちに帰りましょ♪皆家でハニちゃんが帰ってくるの待ってるわ♡”
俺たちは車に乗り込み、家路についた。
ー事件の日《回想》ー
手術を終え、手術室を出るとおふくろ達が待っていた。
スチャン:“スンジョ!!”
ギドン:“スンジョくん!!”
ウンジョ:“お兄ちゃん!!”
グミママ:“お兄ちゃん!ハニちゃんはどうなの??”
スンジョ:“一命は取り留めたよ。しばらく入院は必要だが、もう大丈夫だ。”
グミママ:“あぁ、良かった~”
スンジョ:“スンハは?”
グミママ:“ずっとハニちゃんのこと探して泣いてたんだけど、泣き疲れて寝ちゃったわ”
スンジョ:“そうか…。”
“少し休んでくるよ。”
スチャン:“あぁそうだな。わしらがついてるから、休めるときに休んどけ。お疲れさん。よくやったな。”
スンジョ:“ありがとう”
ギドン:“スンジョくん、ありがとう!本当にありがとう!(号泣)”
スンジョ:“いえ、当然のことですから”
ウンジョ:“さすがお兄ちゃんだね”
ウンジョの肩をポンと軽く叩くと、俺はその場を後にした。
《自販機前》
カタカタカタカタ…
缶コーヒーを持つ手が震えている
本当は怖くてたまらなかった。
今もこの手にハニの血の感触が残ってる
止まらない血、青ざめていく顔色、失われていく体温…
ハニを失うかもしれないと考えるだけで恐ろしくてたまらなかった。
医師としてまだまだ未熟な俺の手に、ハニの命が委ねられているのかと思うと、不安で、メスを握る手が震えた。
そんな自分をひたすら隠し、 俺しかハニを救えないんだと 必死に自分を奮い立たせていた。
ハニを失いたくなくて…
ただただ…ハニの命をつなぎ止めたくて…
救えて良かった…
おまえを失わずに済んで良かった…
この手で、おまえの命を守れて良かった…
たった1人、先ほどまでの恐怖と助けられた喜びを噛みしめていた
手術は成功したものの、術後の熱が高く、ハニの意識がはっきりしたのは術後2日程経ってからだった
《病室》
ハニ:“…ん……ここ…”
スンジョ:“気がついたか?”
ハニ:“スンジョくん…”
!!
“スンハ!スンハは?”
スンジョ:“大丈夫だ。おふくろがみてくれてる。ケガもしてない。”
ハニ:“そう、良かったぁ。”
ハニはまだ目覚めたばかりだとわかってる。
まだまだ安静が必要な体だ…
それでも聞かずにはいられなかった
スンジョ:“…なんで隣町になんて行ったんだ”
ハニ:“え?!あの~、それは……”
スンジョ:“言えないようなことをしてたのか?”
ハニ:“ち、違うわよ”
スンジョ:“じゃあなんで”
ハニ:“…あのね、…スンジョくんにプレゼントを買いに行ったの”
スンジョ:“プレゼント?”
ハニ:“だって、スンジョくん仕事で忙しいのに、スンハの相手もしてくれて、疲れてるでしょ?”
“だから…”
スンジョ:“バカなやつだ。”
そんなもののために俺はおまえを失いかけたのか?
ハニ:“だってビックリさせたかったんだも…”
言葉を言い終わらないうちに、寝ているハニを抱きしめていた。
目の前にいる女性が愛おし過ぎて、
生きていてくれることがありがたくて、
力の限り抱きしめた。
ハニ:“…スンジョくん、苦しいよ”
スンジョ:“プレゼントなんて必要ない…おまえさえ…おまえさえいればそれでいい…”
ハニ:“スンジョくん…。ごめんね。”
いつも俺の側にいて、全身全霊で俺を愛してくれるオ・ハニ
おまえの存在にどれほど救われてきたかわからない。
おまえの愛が俺に自信をくれる。
おまえの笑顔が俺に優しさをくれる。
おまえの存在こそが、今の俺の存在理由。
だから、プレゼントなんていらない。
おまえが生きていてくれるだけで、側にいてくれるだけで、それだけで十分なんだ。
ハニが俺へのプレゼントだと用意していた箱を開けてみると、中に入っていたのは、ツボ押し器兼用ボールペンだった。
「仕事中でも使えて便利でしょ♪」なんて、相変わらずあいつの選ぶ物はどこかおかしい。
こんな物のためにあんな恐ろしい思いをしたのかと思うと、まったくもって笑えない
ー5年後・現在ー
《二人の部屋》
ハニ:“イタタッ”
スンジョ:“どうした?傷が痛むのか?”
ハニ:“んーん、少しひきつるだけ。大丈夫。”
スンジョ:“みせて見ろ”
ハニ:“大丈夫だよ”
スンジョ:“いいから”
今も残る傷痕…
この傷を見る度にあの日の出来事が現実に起こった事だと思い知らされる。
スンジョ:“傷口自体には問題はないようだな。”
ハニ:“当たり前でしょ!天下のペク先生に手術してもらったんだから♡”
スンジョ:“バカな事言ってないで早く支度しろ。”
ハニ:“は~い。”
パタパタパタ(階段を上る音)
スンハ:“ま~だ~?もう!パパもママも早くしないとおいてっちゃうよ?”
ハニ:“待って!もう少しだから。えっとあれとあれは入れたしコレも”
スンジョ:“一泊しかしないのに荷物が多すぎなんだ(呆)”
ハニ:“だって~”
スンハ:“ん?(床に落ちてた物を拾うスンハ)
ママ、これ”
ハニ:“あ!あたしの水着!あれ?なんで?”
スンハ:“もう!仕方ないなぁ。スンハも手伝ったげる。”
ハニ:“ありがとスンハ♡”
スンハは小さすぎてあの時のことは覚えていない。
俺たちも話すつもりはない。
退院後しばらくは、母親を失いかけた恐怖からか、ハニにひっついて離れなかったスンハだが、時がたつにつれ、それも落ち着いていった。
今でもハニと俺を取り合ったり、ハニをからかったりはするが、母親思いのいい子に育ってくれた。
本人は忘れていても、心のどこかであの日の出来事が離れず、母親を大事にしなければならないという意識があるのかもしれない。
ハニ:“よし!できた♪じゃあ行こっか?”
スンハ:“じぃじ、グミオンマお待たせ~♡”
グミママ:“みんな揃ったわね。じゃあ出発~♡”
ハニ:“出発~♡”
スンハ:“出発~♪”
俺達はキャンピングカーに乗り込み、家族総出(ウンジョは強制)で旅行に出かけた。
1人が楽で、家族旅行なんて煩わしくて仕方なかった昔の俺。
だけど、今は皆でいることを煩わしいなんて思わない。
ハニと出会って、大切な物が出来て、気付かされたから。
1人でなんて生きていけないって事。
そして、失いかけて改めて気づかされる、大切な人の存在の大きさと命の儚さ。
今日の幸せが、明日も必ずあるとは限らない。
もちろん俺の大切な家族をそう易々と死なせたりはしない。
だけど、〔それ(別れ)〕がいつやってくるかなんて誰にもわからない。
大切な人達と過ごせる時間、
それはきっと奇跡の積み重ね。
思いは、いま、その時に伝えなければ、伝えられなくなるかもしれない。
後悔なんてしたくないから、皆でいられる時間を大切にしたい。
大切な人達がそばにいてくれることのありがたさ、共に生きられる喜びに感謝しながら、毎日を、この瞬間を精一杯生きていく。
それが、今の俺の生き方なんだ。
end.