別の日ー
人と会う約束をしていた俺は、待ち合わせ場所のカフェにつくと、外が見える窓際の席に案内された。
コーヒーを注文し、外を眺めていると、通りを歩く人の中に、スンジョを見かけた。
相変わらずどこにいても目立つ奴だと思っていたら、よく見ると女連れだ。
奥さんと仲良く買い物か?と思っていたが…
いや、違う!奥さんじゃない!
遠目でもわかる美人が、スンジョにぴったりと寄り添い歩いている。
おいおいマジかよ?あいつ、そんな男だったのか?
目の前の光景が信じられず、あまりにも変わってしまった親友の行動に、俺は携帯を手に取りスンジョを店に呼び出した。
“よぉ、スンジョ。俺だ。テスだ。”
“おまえ今○○にいないか?”
“近くの××って店にいるんだが、来られないか?”
“いいから。緊急の用件があるんだ!”
“連れはダメだ!独りで来てくれ!男同士の大事な話なんだ。時間はとらせないから。”
数分後ー
店に着いたスンジョは少しイライラしているようだった
スンジョ:“それで?緊急の用件って?”
テス:“スンジョ。俺達友達だろ?だからおまえの気持ちはわからないでもない。だが、それはダメだろー。”
スンジョ:“は?”
テス:“今、そこを女と歩いてたじゃないか”
スンジョ:“何か問題が?”
テス:“問題って…お前妻帯者だろう。娘だっているのに”
スンジョ:“???”
“あぁ…。あれはハニだ。”
怪訝な顔をしたかと思えば、急激に何か理解したようで、呆れながらあの女が奥さんだと俺に告げる
テス:“おいおい、そんな苦しい言い訳通るわけないだろ?どう見たって別人じゃないか”
スンジョ:“化粧をしてるだけだ”
テス:“は?化粧?”
IQ200の天才ともあろうものがそんな言い訳しか思い浮かばなかったのだろうか。
テス:“スンジョ、どうしちまったんだ?せめて男らしく認めてくれれば、俺だって”
スンジョ:“はぁー(ため息)、”
“ちょっと待ってろ”
大きなため息をついた後、スンジョは仕方ないとばかりに携帯を取り出し、電話をかけ始めた
スンジョ:“たいした用じゃ無かった。××って店にいるから、おまえも来い。”
しばらくすると、さっきの女が店に入ってきた。
どう見たってやっぱり別人だ
だが彼女が口を開いた瞬間、俺は自分の目を疑った。
ハニ:“こんにちはユン先生。偶然ですね♪先生もお買い物ですか?”
テス:“!!!!!!!”
確かにその声もしゃべり方も奥さんのもので…、
テス“え、えぇ。”
《あの日》とあまりにも違う外見に、呆気にとられ、そう答えるのが精一杯だった
たしかに、女は化けると言うが、化粧ひとつでこんなに変わるものなのか?
それに、スタイルだって抜群じゃないか。
どうしてあの日気づかなかったんだ?
目の前の現実が信じられず、彼女から目を逸らすことができない。
スンジョ:“用件は済んだだろ。”
どれほど彼女に釘付けだったのだろうか、
スンジョが視界に入り込み、ようやく我にかえった。
テス:“…え?”
“あ、あぁ。”
スンジョ:“ほら、帰るぞ”
ハニ:“え?もう?今きたとこなのに。”
スンジョ:“用は済んだって言ったろ。”
ハニ:“ユン先生、また遊びにいらして下さいね。”
テス:“はい…”
スンジョ:“じゃあな。テス”
テス:“あぁ。”
寄り添い帰って行く2人…
店中の視線が2人に向けられる
女どもは全員スンジョに見惚れ、
男達は全員彼女に見惚れていた。
“ハッ…ハハハ!(笑) 凄いな…”
他に言葉が出てこなかった。
目撃者は大勢いる。これは現実。だが、いまだにあれが彼女なんだとは信じられず、まるで狐につままれた気分だ。
まだ心臓がドキドキしている。
俺は、今までいろんな人間を見てきて、人を見る目はある方だと思っていたが、彼女に対してはそうではなかったようだ。
さすがスンジョが選んだ女…
ちっとも平凡じゃなかった。
あのスンジョを落とした女、スンジョを変えた女。
俺が見抜けなかっただけで、きっともっと俺の知らない魅力があるに違いない。
彼女の思いがけない変貌は俺の探求心をくすぐり、一気にオ・ハニという人間に興味がわいた。
もっと彼女のことを知りたい!彼女の何がスンジョを変えたのか、どんな魅力を隠しているのか。
まるで新しいおもちゃを手に入れたこどものように、俺の胸は高鳴っていた
女:“テス君ごめんね~。待った?”
約束していた相手の遅い到着。
テス:“いや…”
正直に言えば、さっきの衝撃で約束していたことすら忘れていた
女:“あれ?テス君何かいいことあった?”
テス:“え?”
女:“なんだか嬉しそうだよ?”
テス:“そう?”
女:“この間はごめんね~。急に予定が入っちゃって”
テス:“あぁ、あのことならもういい。”
“おかげで君と過ごすより面白そうなものを見つけることが出来たから。”
女:“え?”
テス:“…そうだな。君はもういいや。”
女:“え?”
テス:“お互い楽しんだし、十分だよな?”
女:“え?テス君?”
テス:“もう会うことはないけど、元気で。”
そう言って俺はその場を後にした。
後ろで何か言ってたようだが、もうどうでも良かった。
あんな女、所詮ただの暇つぶし。
代わりはいくらでもいる。
そんな事よりも、俺の頭の中はもうオ・ハニという人物への興味でいっぱいだった。
俺は携帯を取り出すと、もう一度スンジョに電話をかけた
“あ、スンジョか?さっきは悪かったな。”
“おまえ、次の休みはいつだ?”
“またお前ん家行ってもいいかな?”
“お前とゆっくり話したいんだ”
“今度はちゃんと〔胃薬〕と〔着替え〕用意していくからさ。”
end.