《3ヶ月後》
夕方。往診を終えた俺は診療所の二階にある自分の部屋で調べものをしていた。差し込む赤い光。窓の向こうには、夕陽で赤く染まる美しい海が見える。
この島には大きなショッピングセンターも、コンビニも、娯楽施設もないが、余計なものがない分美しい自然が残ってる。
都会ではこんな景色見られない。この景色もここに来てよかったと思えることの1つだ。
海を見ながら、つい考えてしまうのは、海の向こうにいるハニのこと。
この美しい景色をお前にも見せてやりたい。
感動屋のお前のことだ。きっと喜ぶに違いない。
目を閉じると、パタパタとお前の足音が聞こえる気がする。
ヤバいな。とうとう幻聴か?
そう思ったがその音がどんどん近づいてくる。
そして、扉が開くと、
ハニ:“スンジョくん♡!!”
聞き慣れた俺を呼ぶ声。
スンジョ:“ハニ?!”
そこには、間違いなくハニがいた。
そしてハニは勢いよく俺の胸に飛び込んできた。
ハニ:“スンジョくん♡”
スンジョ:“なんでここに?!”
ハニ:“逢いたかったの♡”
スンジョ:“お前、仕事は?”
ハニ:“大丈夫。ちゃんと休みもらってきたから。3連休!”
嬉しそうに指を3本立て、アピールしてくる。
ひさしぶりに見るハニの顔。少しやつれたか?
懐かしい甘い香りが鼻をくすぐる。
スンジョ:“お前1人でよくここまで来られたもんだ。”
お前を見るとからかいたくなる
ハニ:“もぉ!バカにして!チッ(舌打ち)”
頬を膨らまして拗ねてる。いつものハニだ。
その姿に自然と口元が緩む。
スンジョ:“悪かった。嬉しいよ。”
そう言って抱きしめてやると、空いていた俺の懐に、すっぽり収まるハニ。
まるでパズルの最後のピースのように、ぴたりとはまる。
スンジョ:“そうだ!お前に見せたい物があるんだ。”
ハニ:“なになに?”
スンジョ:“こっちに来い。”
窓の向こうに広がる美しい景色を見せた。
ハニ:“うわぁ。きれい………グスッ”
スンジョ:“どうした?”
ハニ:“なんか、感動しちゃって。こんなにきれいな景色。生まれて初めて見たよ。ありがとう。スンジョくん♡”
スンジョ:“バカだな。礼を言うほどのことじゃないだろ。”
夕日に染まるハニの顔が綺麗で、俺は景色よりも、綺麗なハニを眺めていた。
夜になると、この島の空には満天の星が輝く。
この3ヶ月、遠く離れたお前を想い、何度眠れぬ夜を過ごしたかわからない。
だが今日は違う。
手を伸ばせば触れられる距離にお前がいる。
微かに感じる息遣いと、お前から漂う香りが、これが夢ではないことを認識させ、俺の心を震わせる。
いったいどれだけこの時を待っていたのだろう。
お前に触れられなくなって、たった3ヶ月なのに、俺には永遠にも感じる程長かった。
普段は聞こえない心臓の音が頭の中に響いてる。
何度も触れあったはずなのに、今、初めてお前に触れるかのように緊張してる自分に驚く。
逢えなかった時間を埋めるように、ゆっくり時間をかけて、確かめるようにお前に触れていく。
触れあったところから、お前が染み込んでくるようで、死にかけていた俺の細胞が喜んでいるのがわかる。
より深く求めるほどに、血が沸き立ち、全身を駆け巡っていく。
悦びに溢れ、まるで、俺という人間が、生まれ変わっていくようにさえ感じた。
to be continue…