息苦しや、憤りや

哀しみや、やるせなさ

色んな感情がごちゃ混ぜになって

メイクが全落ちするくらい泣いた。

 

なにが救いようがないって、この話が

実話に基づいていること。

 

そしてこの事件のみならず

こういう現実が

少なくないケースであるだろうと想像出来てしまうこと。

 

 

映画「MOTHER マザー」を観た。

 

こんにちは。砂羽美佳(さわみか)です。

 


※写真は「Yahoo!映画」からお借りしました
 

 

あらすじは公式サイトで見ていただくとして。

 

以下、ネタバレでいきます。

 

 

でも、この映画、あらかじめ内容知ってたとしても

多分、観た後受ける衝撃は、なんら変わりないと思う。

 

それくらい、頭で内容を分かっていても

映像で見せられる「事実」に

心が追いついていかないから。

 

 

 

どうして、母親(長澤まさみ)に命じられただけで、祖父母を殺害してしまうのか?

 

 

映画では、息子周平の心情や、バックグラウンドが分かるように

周平の小学生の頃から

17歳で事件を起こすまでが丹念に描かれている。

 

 

また子役の子がうまくてね。

 

母親に命じられて

祖父母のところに金の無心に行くんだけど

目になんとも言えない色を湛えてるんだ。

 

 

子どもながらに、申し訳なさを感じている目。

 

イヤイヤやらされているのに

母を責めるでもない。

 

きっとこの頃から、彼は

このどうしょうもなくクズで、だらしなく

でも自分にとっては世界の全てであるこの母は

 

 

自分が守るんだと決めてたのかもしれない。

 

 

ラブホテルで、隣で寝てるのに

男とおっ始める母に気付いて

すーっとバスタブに移動して

背中を丸めて縮こまって寝る姿なんて

 

もう、、、

胸が痛くて痛くて見てられない・・・

 

 

学校にも通わせてもらっていない。

 

住まいは、金を盗んだり

問題を起こすたびに転々。

 

母以外、誰とも接点を持つことが許されず

母に従うことが生きる術だった周平にとって

どうして母を拒むことが出来るだろう?

 

 

実父のところに行く機会もあった。

 

手を差し伸べてくれる

支援者の手を握る機会もあった。

 

 

「なんで母を捨てなかったの?」

 

 

そう思う人もいるでしょうね。

 

 

でも、捨てられないよ。

 

だって周平にとって、母は

 

自分のアイデンディディそのものだ。

 

 

母を捨てる。

母を憎む。

 

それは、これまで母だけをひたすら見て

彼女を生きる意味にしてきた

 

自分自身を否定すること。

 

 

それは、他に代わりとなる

生きる意味を見つけていなければ

難しいことなんじゃないだろうか。

 

 

長澤まさみ演じる母親・秋子には

1ミリも共感出来ないし

実際こんな母親が目の前にいたら

怒りで我を忘れるけど

 

でも、彼女だって

生まれた時からこうだったわけじゃない。

 

人は、一人で勝手に

育つわけじゃない。

 

彼女がこんな人間になってしまったのだって

なるだけの理由があるはずだ。

 

 

たぶん秋子は、初めから

「子どもを育てる」気なんて

ないんだよね。

 

彼女がよく

 

「私が生んだ子なんだから

どう育てようが親の勝手だ」

 

「子どもは私の分身」

 

って言うんだけど

そうなんだよ。

 

秋子にとって

子どもは自分の所有物。

 

だから、自分がどう子どもを扱おうが

親なんだから当たり前の権利だと思ってる。

 

 

彼女は、子どもを育てたかったんじゃなく

自分の分身が欲しかっただけ。

 

自分の寂しさ、孤独、満たされない空白を

埋めてくれる分身が欲しかっただけなんだ。

 

 

だから、その分身が

自分以外のものに興味関心持つなんて

絶対に許せない。

 

完全に支配して

自分の管理下に置く。

 

 

秋子がどうしてこうなってしまったのか?

 

それもやっぱり

キーは、母親だと思う。

 

 

秋子の母。

周平が殺した祖母。

 

劇中、秋子の激昂ぶりと

祖母のヒステリーっぷりは

とてもよく似てた。

 

 

秋子の母からしたら

働かず金の無心ばかりして

人としてどうしようもない秋子が目の前にいると

 

「あんたの子育ては間違っていた」

「そもそもあんたが人としてどうなの?」って

 

突きつけられている気がしたんだろう。

 

 

だから拒絶した。

 

家族の縁を切って

秋子を断ち切った。

 

 

秋子自身もまた

愛されなかった

もしくは

愛されなかったと思い込んでいる

子どもなんだと思う。


 

「あのババア」

 

秋子がよく悪態をつくのだけれど

確か記憶にある限りは

「ジジイ」とは出てこなかった気がするの。

 

それだけ、秋子も、潜在的に

母の愛を求めていた。

 

でも得られないから、男に依存したり

子どもを支配したりしたんじゃないかな・・・。

 

 

一番最初に生活保護で繋がった時に

職員が虐待通告をしていれば・・・とか

 

夏帆演じる児童相談所の職員が
もっと介入していたらとか

 

観終わった後も

どうすればこの母子を救えただろうと考えてる。

 

 

そして思ったのは

 

教育と

色んな人と繋がることの、大切さ。

 

 

なぜなら教育も

人との出会いも

選択肢と未来を広げてくれるから。

 

 

もし、周平が小さな頃から

もっと色んな大人がかかわって

色んな世界や

色んな考え方があることを

彼に教えてあげていたら。

 

もし、周平が

誰かから必要とされたり

誰かの役に立てたり

誰かを喜ばずことが出来るってことを

母以外と分かち合えていたら。

 

 

もし、子どもは親とは

違う個性の人間なんだと

秋子に教えてくれる人がいたら。

 

だからあなたも

親の価値観で判断されなくて良いんだと

秋子を包んであげられる人がいたら。

 

 

 

先日、学校の意義について考える

Zoomお話会を開催したけれど

公の学校の意義って、ここなんじゃないかな。

 

最低限の教育を受けられて

いろんな人と繋がれる。

 

それが出来る場所が、学校。

 

 

 

 

 

家族以外の人と繋がることによって

はじめて家族を

客観的な視点で観ることが出来るようになる。

 

でも、家族しか知らなかったら・・・

 

 

そりゃ、考え方も価値観も人格形成も偏るだろうし

コミュニケーションも歪むだろう。

 

でも、その世界しか知らなかったら

それに気づく、術すらない。

 

 

 

フー、熱がこもって

めちゃ長くなっちゃった💦

 

「感動の衝撃作」

 

なんて宣伝文句に書いてあるけれど

感動物語なんかでは、まったくない。

 

身勝手で

その場しのぎでしか物事を考えられない

愚かな母の呪縛の物語。

 

少なくとも私はそう感じる。

 

 

でも、それなのに

なんで涙が出るのかな・・・

 

 

考えて分かった。

 

子ども周平の

母秋子に対する愛の深さに

泣けるんだ。

 

 

歪んでいるけれどもまっすぐで

そして

どうしようもなく報われないのが

ただただ切なく、苦しい。

 

 

私は観て良かったし

この作品を観ることで

虐待や愛着などの社会問題に

興味関心持つ人が増えれば良いなと思うけど

 

とっても観る人を選ぶので

観たいと思って、狙って観に行く人以外には薦めません。

 

 

哀しく、やるせ無く

深い爪痕残す映画でした。
 

 

 

 

事件の詳細を記した本がこちら↑

これ↓もまたあわせて読みたい。

 

 

 

 



 

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