節約志向の彼女、優待投資を始める
関東在住の32歳、フルタイムで金融系企業に勤める奈緒美(仮名)は、節約上手な女性です。都内のアパートで同い年の彼氏と同棲し、日々の生活費をやりくりする中で「もっとお得に生活できないかしら?」と考えることが増えました。ある日、投資好きの彼氏から株主優待の話を聞きます。株を持っていると自社製品や食事券などがもらえる制度があると知り、「それなら日頃好きなスイーツやコスメをお得に楽しめるかも!」と興味を持ったのです。
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スイーツ優待との甘い出会い
最初に奈緒美が注目したのは、大好きなスイーツの優待です。彼氏に勧められたのは、北海道の有名洋菓子店「ルタオ(LeTAO)」を傘下に持つ菓子メーカー、寿スピリッツ(2222)でした。寿スピリッツはチーズケーキで有名なルタオなどをグループに抱える菓子販売大手でdiamond.jp、100株の保有で自社グループ製品の詰め合わせ(約3,000円相当)が年1回もらえますameblo.jpdiamond.jp。ルタオの看板商品である奇跡の口どけチーズケーキ「ドゥーブルフロマージュ」こそ優待品には含まれませんが、代わりに焼き菓子セットが届くとのこと。甘党の奈緒美は「届いたお菓子でティータイムなんて素敵!」と胸を躍らせ、寿スピリッツの株を初めて購入しました。
実際に優待品が届いたのは初夏のこと。箱を開けると、ルタオのロゴ入りのラング・ド・シャ(クッキー)や、抹茶ガレット「奏でるざくり」、おしゃれなパッケージの焼菓子が並んでいます。普段自分では買わないようなご当地スイーツの詰め合わせに奈緒美は大喜びです。夕方、彼氏と紅茶を淹れ、優待でもらったお菓子を頬張りながら「株主になってよかったね」と笑い合いました。(この寿スピリッツからの優待お菓子詰め合わせは毎年3月末の株主に贈呈されますameblo.jp。)
憧れのコスメ優待にも挑戦
次に奈緒美が目を付けたのは化粧品の優待です。仕事柄オフィスでもプライベートでもコスメにはこだわりがあり、「どうせ投資するなら自分の美容にも役立つ企業がいいな」と考えました。そこで選んだのが老舗コスメメーカーのポーラ・オルビスホールディングス(4927)です。高級スキンケアで有名なPOLAや、通販コスメで人気のORBISを傘下に持つ同社は、毎年株主に優待ポイントを進呈してくれますir.po-holdings.co.jp。例えば100株保有で1年目は1,500円相当、長期保有でポイントが増え、好きな自社製品と交換できる仕組みです。奈緒美は「いつかPOLAの高級クリームを優待でゲットしたい!」と夢見つつ、とりあえず手頃な100株を購入しました。
初めての権利確定日を迎えた2024年末、奈緒美は株主優待カタログを受け取りました。そこにはPOLAの美容液やORBISの基礎化粧品セットなど魅力的なラインナップが並びます。彼女は獲得した優待ポイントを使い、ORBISの人気保湿ジェルを申し込みました。後日届いたコスメを試しながら、「これは自分へのご褒美だね」とほほ笑みます。株を持っているだけでお気に入りの化粧品が手に入るなんて、まるでビューティー雑誌の懸賞に当たったような気分です。
生活必需品の優待で家計にゆとり
スイーツもコスメも楽しめるようになった奈緒美ですが、ふと我に返ります。お得も大事だけれど、日用品の出費を抑えることも節約には欠かせません。そこで彼女は生活必需品関連の優待銘柄も物色しました。
まず目に留まったのが、家庭用品・医薬品でおなじみの小林製薬(4967)です。トイレ芳香剤「サワデー」や冷えピタ、のどぬ~るスプレーなど、誰もが一度は見たことのある商品を多数展開する企業です。小林製薬の株を100株保有すると、半年ごとに5,000円相当の自社製品詰め合わせセットが届きますameblo.jp。日用品から医薬品まで幅広いアイテムが入っており、中身は選択制で何種類かのセットから好みのものを選べるとのこと。奈緒美は「これは日用品の買い物代が浮いて助かるわ」と感じ、小林製薬にも投資することにしました。
迎えた株主優待品到着の日。届いた段ボールを開けると、テーブルいっぱいに小林製薬の製品がずらり!消臭剤や入浴剤、絆創膏やサプリメントまで入った詰め合わせセットはまさに家庭の常備品フル装備です。奈緒美は「こんなに色々もらっちゃっていいの?」と驚きながらも、その実用性の高さににんまり。これで当分ドラッグストアで買い物しなくても済みそうです。彼氏も「鼻炎の薬まで入ってるじゃん、助かる~」と大喜び。日々の暮らしに直結する優待品に、奈緒美は改めて優待投資のありがたみを実感しました。
さらに奈緒美はイオン(8267)の株も手に入れました。イオンといえば全国展開する大型スーパーですが、実は株主向けにオーナーズカード(株主優待カード)というものを発行しています。このカードをお会計時に提示すると、イオン系列店での買い物代金が後日3%キャッシュバックされるのです(100株保有時。保有株数が増えると5%や7%までアップ)yutai.net-ir.ne.jp。食料品や日用品の買い出しでよくイオンを利用する奈緒美にとって、3%の返金は塵も積もれば山となる嬉しい特典でした。早速届いたオーナーズカードを財布に忍ばせ、日々のスーパー通いがますます楽しくなりました。「今日は優待カード持ったし、お肉も野菜もいつもより多めに買っちゃおうかな」なんて、心に少し余裕が生まれる奈緒美です。
外食も優待でニコニコ
自宅での食事や買い物がお得になってきた奈緒美ですが、たまには外食も楽しみたいもの。そこで彼女は**日本マクドナルドホールディングス(2702)**の株主にもなりました。実はマクドナルドの株主優待はとても人気が高く、100株保有すると年2回、無料で食事ができる優待券がもらえるのですyutai.net-ir.ne.jp。優待券1冊にはハンバーガー類・サイドメニュー・ドリンクの無料引換券がセットになったシートが6枚つづりで入っており、好きな組み合わせで6回分の食事が楽しめますyutai.net-ir.ne.jp。ファストフードとはいえ、毎年2冊(計12食分)も無料券が届くのはかなり太っ腹ですよね。
彼氏と暮らす奈緒美にとってマクドナルドは身近な存在です。仕事で帰りが遅くなった日に「今日はご飯作るのしんどいね…」という時でも、優待券があれば二人でビッグマックセットをタダで頬張ることができます。休日のお昼に近所のマックへ行き、スマホの優待クーポンを見せる代わりに優待券を差し出すと、お会計は0円。「なんだかVIPになった気分だね!」と彼氏と顔を見合わせて笑いました。外食の出費を気にせず楽しめる優待券のおかげで、二人の週末の選択肢も広がったのです。
2025年4月、関税ショック襲来
こうして奈緒美は、自分の興味に合った5つの優待銘柄(スイーツの寿スピリッツ、コスメのポーラ・オルビス、日用品の小林製薬とイオン、外食のマクドナルド)を手に入れ、投資生活を楽しんでいました。株を持つ喜びと優待品のお得感で日々の生活は潤い、大きな含み益はなくとも満足度の高い「優待ライフ」です。ところが──2025年の春、思わぬニュースが世界を駆け巡りました。
**「トランプ関税ショック」の到来です。2025年4月初旬、アメリカのトランプ大統領(当時)が「全ての輸入品に一律10%の関税を課す」**という衝撃的な貿易政策を発表bloomo.co.jpし、翌日にかけて米国株は急落。連鎖的に日本を含む世界の株式市場が大荒れとなりました。テレビやネットでも「日経平均大幅安」「関税戦争で景気懸念」など不吉な見出しが躍っています。投資初心者の奈緒美は急な相場の乱高下に不安を覚え、「私の持ち株、大丈夫かな…」と居ても立っても居られません。
出社前の朝、奈緒美はスマートフォンで自分のポートフォリオを慌ててチェックしました。するとどうでしょう。一時的に多少の下落はあったものの、保有している5銘柄の株価はどれも驚くほど下げ幅が小さいのです。寿スピリッツはお菓子需要の安定感からかほとんど値動きがなく、ポーラ・オルビスも内需中心のビジネスであるためか下げてもわずか。小林製薬やイオンのような生活必需品関連株はむしろ「不況に強いディフェンシブ銘柄」として買われる場面もあり、下落は限定的でした。マクドナルドに至っては「巣ごもり需要で業績堅調」との見方もあってか、株価はほぼ横ばいで推移しました。「他のハイテク株や輸出株は真っ青なのに、私の優待株たちは落ち着いたものね…」ーー奈緒美はホッと胸を撫で下ろしました。
実際、今回の関税ショックでは米中貿易摩擦の影響が大きいハイテク・自動車といった輸出産業の株が売られましたが、一方で影響の少ないサービス業や内需株は比較的堅調だったという市場解説もありましたgo.sbisec.co.jp。奈緒美の持つ銘柄はまさに国内需要に根ざした企業ばかり。世界情勢による逆風を受けにくいポートフォリオになっていたのです。これは偶然とはいえ、「優待目当てで買った株たちがこんなに安心感をくれるなんて!」と奈緒美は思わず笑みがこぼれました。
優待生活とともに…そして思わぬオチ
関税ショックによる株価急落の不安も杞憂に終わり、奈緒美の優待生活はこれまで通り平穏に続きました。スイーツを楽しみ、コスメで美を磨き、日用品や外食費を節約できる日々。株主優待のおかげで生活がちょっぴり豊かになった彼女は、「これからも長くホールドして優待を満喫しよう」と心に決めます。
ところが、物語の最後にひとつだけ想定外のオチが待っていました。ある朝、奈緒美が何気なく体重計に乗ると…昨年より2kg増加していたのです!思い当たる節はもちろんあります。そう、寿スピリッツの優待スイーツを彼氏と夜な夜な食べ過ぎてしまったのです。「関税ショックよりも手強いのは、株主優待太りのショックだったりして…」と奈緒美。嬉しい悲鳴を上げつつも、鏡に映る自分のお腹を見つめ、「優待もいいけど、ダイエットもしなくちゃ」と苦笑いするのでした。
(この物語はフィクションですが、登場した企業の優待内容や2025年の市場動向は現実に基づいて構成しています。)