海老江の地車宮入があって夏が来た | 晴耕雨読 -田野 登-

晴耕雨読 -田野 登-

大阪のマチを歩いてて、空を見上げる。モクモク沸き立つ雲。
そんなとき、空の片隅にみつけた高い空。透けた雲、そっと走る風。
ふとよぎる何かの予感。内なる小宇宙から外なる広い世界に向けて。


海老江の地車宮入があって
今年も夏が来ました。
7月18日は海老江八阪神社の
本祭りでした。
今年は土曜日でした。


今年も町中がお祭りでした。
写真図1 外野酒店付近




祭り見物に同行された阪俗研のお二人から
感想文がメールで届きました。
届きました順で、まずは竹内佳之氏から紹介します。

●海老江八坂神社の宮入り初めてのことで夢の世界でした。
 以前下見で訪れているだけに昼の顔(準備段階)と
 夜のそれの対比が
 この間の地域皆様の熱意が結実した瞬間を楽しめました。
 下見の際にお会いした末廣様が
 「元老」のタスキをかけておられました。
 恐らく江戸時代から続く宮入の継続
 地域の力を目にした夜でした。
 宮入の鉦の音を遠くに聞きながら
 堤防上で飲んだことはこれからの人生の糧になります。
 お誘いいただきありがとうございました。


以下、田野による書き込み。
人生の糧になるかどうか、わかりませんが、
あのひとときは、最高ですね。
川を渡る風の涼しいこと!
竹内佳之氏とは昨春の大阪あそ歩の
下見で5月の日曜、ご一緒していただきました。
あの日はお宮さんで北の町の枕太鼓が稽古中でした。
お宮さんの境内は技術の伝承がで行われる場でもあります。

福島区歴史研究会事務局長・末廣訂氏の

浴衣の着付けの上品なこと。
また、ひとつ、違った顔があるのですね。
地車の「元老」は12月15日の御饗神事の宮座の
座衆でもあります。

写真図2 末廣訂氏との記念写真。
     写真右は山本宣治氏です。
     彼は市岡の21年後輩です。





もうお一人は、その山本宣治氏です。
●海老江の勤務先は移転・更地となり、
 東京から地元の大阪に戻って、
 約10年ぶりとなる感慨深いお祭り見物でした。
 北之町の枕太鼓に始まる宮入は、鳥居を出たり入ったり。
 焦らされた1番手のだんじりは、まだかまだかと、16ビートで
 小気味良く刻む鐘の音でヒートアップ。
 楼上での倒立と踊りに魅了されつつ舞う紙吹雪と
 手打ちは最大の醍醐味でした。
 遠くに聞こえるお囃子を肴に、
 河川敷で飲む酒は、
 どこか異次元の世界に誘われるようでした。」


真図3 北の町の枕太鼓の宮入




以下、田野による書き込み。
焦らすのが露払いの役目なんでしょうか?
あの野太い大太鼓の響きは
大阪の太鼓文化の伝統を実感させます。
大太鼓を遠くに聞こえて来た時、
待ち焦がれていた時の近きを予感します。
まさに催し太鼓です。


見物衆が固唾を飲む中、鳥居をくぐります。
なんと呆気ないことでしょう。
境内では見物衆の声援もあって
あの重い枕太鼓を差します。
なかなか肩を入れても差し上げられません。
甲高い女声が煽り立てる中、
ようやく今年も差せました。


鳥居の外では南の町の地車が
宮入を急き立てています。
囃子がアップテンポに変わりました。
境内では北の町の枕太鼓が
しずしずと蔵に納まりました。
さぁ、南の町の宮入です。

写真図4 南の町地車の宮入




ボクらには此花区から村尾清一郎氏が加わりました。

河原では昨日の台風を忘れて
語り合いました。
何を語り合ったかは覚えていませんが・・・・。
時計を見ればもう午前0時前でした。

海老江の地車囃子を聞いて
今年もボクには夏がやって来ました。
きっと、皆さんにも夏が来たことでしょう。


究会代表 田野 登