前回のボクからの質問に
エミリさんからの回答がありました。
1 フランス語では、虫の鳴き声は "chant" と言います。
例えば、"le chant des cigales" は「蝉の鳴き声」ということです。
"Chant" は歌のことなんですが、
動詞の "chanter" (歌う)もよく使います。
"cri" 「叫び」も言えますけど、
虫の鳴き声より、動物の鳴き声についてよく使います。
または、"crissement"「きしむ音」か
"bourdonnement" 「ぶんぶんいう音/羽音」も
よく使えます( セミ、コガネ、蜂の場合等)。
2 「音」を書く時に、「おと」を自然に書いてます。
「ね」と言う読み方があったのは、知りませんでした。
実は電子辞書で探すとも、ニュアンスがあまり分かりません。
もし今度先生が「おと」と「ね」の違いについて
説明して頂ければ、嬉しいです。
エミリさんからの回答に
ボクは満足して感謝しております。
ボクがエミリさんにお願いしましたことは
研究者として肩肘を張ってというよりも、
フランスの人々の日常的な意識を知ることでした。
だから、これで良いのです。
仏和辞典の裏付けを得られました。
"chanter"は鳥だけではなく虫にも及ぶのですね。
漢和辞典には「鳥歌」という熟語が挙げられていますが、
英語の“song”と同様の発想をするのですね。
改めて自文化としての日本語の世界を調べてみたくなります。
どこからが擬人化なのか、
人間中心に鳥獣や虫などの行動を見立てて
動詞表現しますから
線引きが困難な場合があります。
それに"cri"もおもしろいですね。
前回、記しましたところの
「欧米人は虫の声を騒音と捉えている」といった言説には
気を付けなければならない、
無意識の目論見が潜んでいるのかもしれません。
ボクが懸念します無意識の目論見とは、
「日本人の感性は優れている」といった
自民族中心主義に通底する思潮です。
人間誰しも、
鳥や虫の羽音や群舞に
恐怖を感じることはあります。
*アルフレッド・ヒチコックの『鳥』は
1963年のアメリカ合衆国の映画は
その心理を描いたものでした。
*アルフレッド・ヒチコック:ウィキペディア「鳥 (映画)」
最終更新 2013年9月3日 (火) 13:28
「季節感」についての
エミリさんの見解も興味があります。
エミリさんの云われる季節を感じるものとして
セミを挙げていました。
↓ここをクリック
http://ameblo.jp/tanonoboru/entry-11767628615.html
フランスの南東の方で住んでいる人びとにとって、:⑤
夏の音はやっぱりセミだと思います。:⑥
虫の鳴き声と季節の関係は、:⑦
あまり知りませんが、:⑧
普遍的なことではないのですか。:⑨
温帯にあって四季の変化に応じて
野良仕事をしたりして
暮らしを立てている人々ならば
その指標として
歳時習俗が成立してくるわけで
ユーラシア大陸の
西と東に共通する文化の仕組みを
探究するのも興味深いものですね。
ところで
エミリさんから所望のありました
「音」を「ね」と読むのにつきましては、
『万葉集』における
「オト」「コヱ」「ネ」の用例162例をもとに、
分析した結果を4枚の表にまとめました。
はたして「虫の声」が見つかるやら?
次回、「万葉集の音の世界」(仮題)をブログアップします。
漢和辞典で確認したいことが
発生しましたので
今から、大阪市内の図書館まで出かけます。
大阪民俗学研究会代表 田野 登