3864 三菱製紙

2023/05/15 15:01 / [現在値] 470円 [前日比] -25円 [出来高] 873,300株

印刷・情報用紙を主軸に、写真感光材や水処理膜など機能材料も展開。5/11発表の23年3月期決算で売上高は209,542百万円(前期比15.2%増)、営業利益968百万円の黒字転換(前期は248百万円の赤字)です。

機能商品事業では、機能材関連製品は、バッテリーセパレータや電子工業材料のエレクトロニクス関連製品、化粧板原紙、テープ原紙などの販売金額が前年を上回ったほか、イメージングメディア関連製品もインクジェット用紙の海外向け拡販や販売価格改定及び為替の影響で増収です。紙素材事業は、国内市場は、需要減少が続く印刷用紙を中心に販売数量は減少したものの、価格改定効果もあり販売金額は増加しております。

全体としては機能商品事業の営業利益が前期比40%増と大きく伸びたことで、紙素材事業の営業赤字を吸収し、黒字化を達成。23年3月期予想は、売上高220,000百万円(前期比5.0%増)、営業利益6,000百万円(同519.%増)です。

前期から「新しい三菱製紙グループの創造」のスローガンを掲げて「中期経営計画」(23年3月期~25年3月期)を開始。基本方針として、①「選択と集中」「新事業拡大」による収益力の強化、②グリーン社会への貢献、③サステナビリティ向上のための組織変革、に取り組んでおります。

「選択と集中」では、1月にドイツ事業フレンスブルク工場の事業売却を決定。また、4月にグループ組織再編を行い、販売体制の効率化に向け、グループの販売代理店を1社に統合するなど、収益性向上施策として選択と集中、グループの組織変革を進めております。

事業ポートフォリオ転換では、紙需要減少の状況下、成長事業である『機能商品事業』に集中投資。売上・利益を着実に伸長し、主力事業(売上高営業利益率目標:10%)へ育成する方針です。『紙素材事業』を中心とした既存事業は選択と集中による構造改革で、安定した収益を生み出す基盤事業(売上高営業利益率目標:5%)を目指します。加えて25年3月期までに収益改善効果10億円の組織合理化等を実施する方針。

機能商品事業では、水処理膜支持体の新規ユーザー獲得や食品・飲料・医療など特殊膜分野への展開に加え、耐熱不織布、メルトブロー不織布などの拡販、エレクトロニクス関連製品では、需要拡大が見込まれる自動車向け蓄電用セパレータや特殊ドライフィルムレジストを起点とした電子工業材料の拡販に注力する方針です。経営目標としては、売上高195,000百万円(前期比7%減)、営業利益7,500百万円(同7.7倍増)を計画。

同社は製紙大手「3861 王子ホールディングス」の持分会社ですが、紙需要減少が続くなか、将来的な子会社化を含めたM&A面からも注目です。

また指標面では予想PER5.41倍、PBR0.30倍と、5/12時点のプライム全銘柄の予想PER15.00倍、PBR1.23倍と比較して割安ですので、水準訂正余地は十分です。

テクニカル面では、日足・週足で短・中・長期線が揃って上昇基調となるパーフェクトオーダーを形成しております。月足では60月線を突破したほか、一目均衡表の雲上限突破も迫っており、中長期でトレンド転換機運が高まっていると判断。