3863 日本製紙
2024/09/17 15:00 / [現在値] 900円 [前日比] 16円 [出来高] 824,700株
製紙業界2位で、家庭紙は「スコティ」「クリネックス」ブランドで展開。
8/7発表の25年3月期第1四半期決算の売上高は、287,014百万円(前年同期比0.1%減)、営業利益は4,137百万円(同409.3%増)でした。売上高は、紙・板紙事業の需要減少影響があるものの、輸出の拡販によって前年同期並みです。営業利益は、製品の価格修正や原価改善の効果が発現し大幅増益となりました。通期予想に対する進捗率は、売上高23.9%(前年同期23.3%)、営業利益17.9%(同3.3%)です。
同社グループは、中期経営計画2025(2021年度~2025年度)において、「事業構造転換の加速」を基本戦略に、「生活関連事業の収益力強化」「グラフィック用紙事業の競争力強化」「GHG排出量削減の加速」「財務体質の改善」を重点課題として取り組んでいます。
国内事業では、円安による原燃料価格の上昇や人件費・物流費の上昇はあるものの、原価改善や固定費削減などのコストダウンを実施しており、各種重点課題につきましても着実に推し進めております。海外事業では、豪州Opal社でグラフィック用紙事業から撤退したメアリーベール工場の生産体制の大幅見直しと大規模な人員合理化を進めております。24年度ではOpal社の立て直しを最重要課題と認識し、さらなる全社的な人員合理化やパッケージ事業の構造改革を進めるなどグループを挙げて再建の取り組みを強化しています。
今後は「円高メリット」関連としても注目。同社の業態である、紙パルプセクターは、円高メリットセクターですが、日銀が7/31まで開いた金融政策決定会合では、政策金利を0.25%程度に引き上げる追加の利上げを決めております。ドル・円相場は7月に1ドル162円を超えていたものが、直近では142円割れと円高が加速しております。同社の為替感応度は米ドル1円円高で+7億円/年となっております。
今週は17-18に米FOMC、19-20に日銀金融政策決定会合が予定されている中銀ウィークですが、金融政策の方向性では、米国が「利上げ」、国内が「利上げ」となっておりますので、中長期で円高の流れは続く可能性があり、同社業績の押し上げ要因となりそうです。
また、同社のPBRは0.21倍と1倍を割れておりますが、東証が求めている「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」について、開示しておりますので、今後投資家からの評価につながりそうです。
テクニカル面では、日足一目均衡表雲が薄くなり、シコリが解消してきています。週足では8/5に年初来安値820円をつけたところからMACDがゴールデンクロスしておりますが、月足でRCI9月線が売られすぎ水準-80%割れにあり、自律反発機運が高まってきていると判断。