東洋経済オンライン

■金相場は、11月のFOMC前後に買いのチャンス到来か  金相場は下値を固めつつあるといえそうだ。FRBの早期利上げの可能性が高まり、米長期金利が上昇するという状況は、金にとって一番の弱気パターンだと言っても過言ではない。ドル高の進行も弱気に作用している。 ただ8月12日付のコラム「急落した金価格は今後も下落するのか」では「1トロイオンス=1600ドル台前半まで値を切り下げる展開になっても、何ら不思議ではない」と予想したが、実際の下値は1700ドル台前半でとどまっている。

 安値圏が継続する局面は、中長期的に見て絶好の買い場となる可能性が高い。8月には7月雇用統計が強気のサプライズとなったことを受け、一時は1日で100ドル超の急落となるなど、金相場はインフレやテーパリング、早期利上げなどに対して、ほかの市場よりも敏感な反応を見せてきた。  だが、その分、こうした材料を相場にすべて織り込むのも、他の市場よりも早くなる可能性は高いと考える。一方で最近は株価の急落局面で金に買いが集まるなど、安全資産としての需要が復活、株式市場からの資金の逃避先としての認識が高まってきていることも見逃せない。

 今後、もし株価が本格的な調整局面に入り、市場がパニック的な状態に陥るようなことになれば、金市場に安全資産としての買いが集まる中で相場が底値圏から本格的に浮上することも、十分に考えられる。現時点ではなお売り優勢の流れに逆らうべきではないだろうが、11月のFOMCでテーパリングの開始が正式決定されるのなら、その前後に当面の売り材料も出尽くしとなり、買いのチャンスが訪れることに期待したい。