秋華賞(G1)血統的考察
先週の毎日王冠(G2)は後方追走の○シュネルマイスター(1番人気)が直線で鋭く伸び、◎ダノンキングリー(2番人気)をゴール直前でアタマ差とらえた。
現条件で行われるようになった1984年以降、56kgを背負った3歳馬の勝利は、オグリキャップ(88年)、アリゼオ(10年)、カレンブラックヒル(12年)に次いで4頭目。
NHKマイルC(G1)も今回も着差はわずかだが、その分、勝負強さが光った。
次走は距離延長の天皇賞・秋(G1)ではなく、マイルチャンピオンシップ(G1)に向かう模様。
さて、今週は秋華賞(G1・芝2000m)。
ローズS(G2)と本番の間には、かつては強固な関連性が存在した。
春の主力メンバーや夏の上がり馬のほとんどが、ローズSを経由して本番へ向かうという進路を選択し、それが揺ぎなかったことが理由だ。
ごく少数の例外を除いて秋華賞の勝ち馬はローズS組から誕生するのが常だった。
しかし、紫苑S(G3)が重賞に昇格したことに加え、調教技術の進歩によりぶっつけ本番を各陣営が恐れなくなった結果、さまざまなパターンから連対馬が生まれるようになった。
ここ5年は秋華賞連対馬10頭中9頭がローズS以外からの参戦だった。
内訳は、紫苑S組5頭、オークスからの直行組3頭、藻岩山特別が1頭。
ソダシは「クロフネ×キングカメハメハ」という組み合わせ。
本命に推されたオークス(G1)で8着と敗れて株を下げたが、古馬との初対決となった札幌記念(G2)で見事に巻き返した。
1600~2000mでは非凡な能力を持ち合わせている。
母ブチコはユニコーンS(G3)5着馬。
近親にメイケイエール(チューリップ賞、ファンタジーS、小倉2歳S)、ハヤヤッコ(レパードS)、ユキチャン(関東オークスなど重賞3勝)などがいる。
シラユキヒメにさかのぼる白毛のファミリーの活躍ぶりは目覚ましいものがある。
クロフネ産駒は牡と牝とで適正距離に違いが見られ、牡に比べると牝は短めの距離を得意とする。
ソダシも例外ではない。
一線級の古馬を倒した2000mで世代限定戦となれば大崩れすることは考えづらい。
内回りコースも合う。
ファインルージュは「キズナ×ボストンハーバー」という組み合わせ。
2走前のオークスは4番人気に推されながら11着と敗れたが、ソダシと同じく距離が長かったことが敗因。
ひと夏を越して2ハロンの距離短縮となった紫苑S(G3)は力の違いを見せつけて楽勝した。
母パシオンルージュは短距離で3勝を挙げた活躍馬で、その半弟に新潟2歳S(G3)をレコード勝ちしたザラストロがいる。
母方の血の影響で長めの距離よりは1600~2000mがベスト。
中山コースではフラワーC(G3)を含めて2戦2勝といずれも楽に勝っているように、機動力を武器とした小回りコースで最大の力を発揮する。
桜花賞(G1)でソダシの3着と敗れたとはいえ、差はわずか0秒1。
キズナ産駒は3歳夏以降の成長力が優れているので、本番で逆転する可能性もある。
冒頭に記したとおり、ここ数年、秋華賞における紫苑S組の強さは目を瞠るものがある。
アンドヴァラナウトは「キングカメハメハ×ディープインパクト」という組み合わせ。
母グルヴェイグはマーメイドS(G3)の勝ち馬で、その兄弟にはルーラーシップ(クイーンエリザベス二世C)、アドマイヤグルーヴ(エリザベス女王杯2回)、フォゲッタブル(ダイヤモンドS)と3頭の重賞勝ち馬がいる。
2代母エアグルーヴは年度代表馬、3代母ダイナカールはオークス馬。
日本を代表する名牝系だ。
このファミリーとキングカメハメハは相性抜群で、二冠馬ドゥラメンテ、前出のルーラーシップなど多くの活躍馬が出ている。
このファミリーは完成が遅い傾向が見られ、3歳夏以降に本領を発揮する。
前走のローズS(G2)は1勝クラスを勝ったばかりと格下だったが、楽に差し切って豊かな成長力を見せつけた。
今後、さらに力をつけていくと思われる。
ここ数年のローズS優勝馬は秋華賞で分が悪いものの、この馬はハイレベルな素材なので、評価を下げる必要はなさそうだ。
アカイトリノムスメは「ディープインパクト×キングカメハメハ」という組み合わせで、ジナンボー(新潟記念-2着)、ラインベック(東京スポーツ杯2歳S-3着)の全妹。
母アパパネは2010年の牝馬三冠馬。
それに加えて阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)とヴィクトリアマイル(G1)を制している。
「ディープ×キンカメ」の組み合わせは成功しており、ワグネリアン(日本ダービー)、デニムアンドルビー(フローラS、ローズS)などの重賞勝ち馬が出ている。
デビュー4戦目のクイーンC(G3)で初の重賞勝ちを果たし、続く桜花賞(G1)は4着と敗れたものの、距離延長となったオークス(G1)では2着と健闘。
馬券圏内に入れなかった桜花賞は関西圏への輸送と、右回りの競馬だった。
このふたつが敗因と決めつけることはできないが、今回は同じ阪神コースでの競馬となる。
父ディープインパクトは過去10年間の秋華賞で4勝、2着5回と相性がいい。
ユーバーレーベンは「ゴールドシップ×ロージズインメイ」という組み合わせで、マイネルファンロン(新潟記念)の4分の3妹にあたる。
「ゴールドシップ×ロージズ」の組み合わせはJRAで10頭走って6頭が勝ち上がり、連対率22.7%と好成績を挙げている。
長めの距離で良さを発揮する仔が多い。
したがって、前走から2ハロンの距離短縮はプラス材料とはいえない。
ただ、ゴールドシップ産駒は阪神芝2000mで連対率25.0%と好成績を挙げている。
ゴールドシップ自身は京都よりも阪神でより強さを発揮したが、産駒も阪神コースを得意としている。
したがって、秋華賞が阪神コースで行われる今年はチャンスだ。
あとはぶっつけ本番で体調面がどうかだけ。
ステラリアは「キズナ×モティヴェイター」という組み合わせで、母ポリネイターは現役時代にメイヒルS(英G2・芝8ハロン)を勝った。
母の父モティヴェイターは英ダービー馬で、女傑トレヴ(凱旋門賞2回、仏オークスなどG1を6勝)の父として知られている。
気難しさを伝えるが、ブルードメアサイアーとしては成功しており、ヴァンドギャルド(富士S、ドバイターフ-2着)や、姉弟で活躍しているメロディーレーン(菊花賞-5着)とタイトルホルダー(弥生賞ディープインパクト記念、皐月賞-2着)などを出している。
オークスは距離延長がプラス材料だったが、18頭立ての大外18番枠は大きなマイナス材料で、前崩れの流れで2番手を追走したことも厳しかった。
今回の阪神芝2000mは前々走の忘れな草賞(L)で好タイム勝ちしており、条件的には申し分ない。
仕上がり具合と展開次第で一発があっても不思議ではない。
現条件で行われるようになった1984年以降、56kgを背負った3歳馬の勝利は、オグリキャップ(88年)、アリゼオ(10年)、カレンブラックヒル(12年)に次いで4頭目。
NHKマイルC(G1)も今回も着差はわずかだが、その分、勝負強さが光った。
次走は距離延長の天皇賞・秋(G1)ではなく、マイルチャンピオンシップ(G1)に向かう模様。
さて、今週は秋華賞(G1・芝2000m)。
ローズS(G2)と本番の間には、かつては強固な関連性が存在した。
春の主力メンバーや夏の上がり馬のほとんどが、ローズSを経由して本番へ向かうという進路を選択し、それが揺ぎなかったことが理由だ。
ごく少数の例外を除いて秋華賞の勝ち馬はローズS組から誕生するのが常だった。
しかし、紫苑S(G3)が重賞に昇格したことに加え、調教技術の進歩によりぶっつけ本番を各陣営が恐れなくなった結果、さまざまなパターンから連対馬が生まれるようになった。
ここ5年は秋華賞連対馬10頭中9頭がローズS以外からの参戦だった。
内訳は、紫苑S組5頭、オークスからの直行組3頭、藻岩山特別が1頭。
ソダシは「クロフネ×キングカメハメハ」という組み合わせ。
本命に推されたオークス(G1)で8着と敗れて株を下げたが、古馬との初対決となった札幌記念(G2)で見事に巻き返した。
1600~2000mでは非凡な能力を持ち合わせている。
母ブチコはユニコーンS(G3)5着馬。
近親にメイケイエール(チューリップ賞、ファンタジーS、小倉2歳S)、ハヤヤッコ(レパードS)、ユキチャン(関東オークスなど重賞3勝)などがいる。
シラユキヒメにさかのぼる白毛のファミリーの活躍ぶりは目覚ましいものがある。
クロフネ産駒は牡と牝とで適正距離に違いが見られ、牡に比べると牝は短めの距離を得意とする。
ソダシも例外ではない。
一線級の古馬を倒した2000mで世代限定戦となれば大崩れすることは考えづらい。
内回りコースも合う。
ファインルージュは「キズナ×ボストンハーバー」という組み合わせ。
2走前のオークスは4番人気に推されながら11着と敗れたが、ソダシと同じく距離が長かったことが敗因。
ひと夏を越して2ハロンの距離短縮となった紫苑S(G3)は力の違いを見せつけて楽勝した。
母パシオンルージュは短距離で3勝を挙げた活躍馬で、その半弟に新潟2歳S(G3)をレコード勝ちしたザラストロがいる。
母方の血の影響で長めの距離よりは1600~2000mがベスト。
中山コースではフラワーC(G3)を含めて2戦2勝といずれも楽に勝っているように、機動力を武器とした小回りコースで最大の力を発揮する。
桜花賞(G1)でソダシの3着と敗れたとはいえ、差はわずか0秒1。
キズナ産駒は3歳夏以降の成長力が優れているので、本番で逆転する可能性もある。
冒頭に記したとおり、ここ数年、秋華賞における紫苑S組の強さは目を瞠るものがある。
アンドヴァラナウトは「キングカメハメハ×ディープインパクト」という組み合わせ。
母グルヴェイグはマーメイドS(G3)の勝ち馬で、その兄弟にはルーラーシップ(クイーンエリザベス二世C)、アドマイヤグルーヴ(エリザベス女王杯2回)、フォゲッタブル(ダイヤモンドS)と3頭の重賞勝ち馬がいる。
2代母エアグルーヴは年度代表馬、3代母ダイナカールはオークス馬。
日本を代表する名牝系だ。
このファミリーとキングカメハメハは相性抜群で、二冠馬ドゥラメンテ、前出のルーラーシップなど多くの活躍馬が出ている。
このファミリーは完成が遅い傾向が見られ、3歳夏以降に本領を発揮する。
前走のローズS(G2)は1勝クラスを勝ったばかりと格下だったが、楽に差し切って豊かな成長力を見せつけた。
今後、さらに力をつけていくと思われる。
ここ数年のローズS優勝馬は秋華賞で分が悪いものの、この馬はハイレベルな素材なので、評価を下げる必要はなさそうだ。
アカイトリノムスメは「ディープインパクト×キングカメハメハ」という組み合わせで、ジナンボー(新潟記念-2着)、ラインベック(東京スポーツ杯2歳S-3着)の全妹。
母アパパネは2010年の牝馬三冠馬。
それに加えて阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)とヴィクトリアマイル(G1)を制している。
「ディープ×キンカメ」の組み合わせは成功しており、ワグネリアン(日本ダービー)、デニムアンドルビー(フローラS、ローズS)などの重賞勝ち馬が出ている。
デビュー4戦目のクイーンC(G3)で初の重賞勝ちを果たし、続く桜花賞(G1)は4着と敗れたものの、距離延長となったオークス(G1)では2着と健闘。
馬券圏内に入れなかった桜花賞は関西圏への輸送と、右回りの競馬だった。
このふたつが敗因と決めつけることはできないが、今回は同じ阪神コースでの競馬となる。
父ディープインパクトは過去10年間の秋華賞で4勝、2着5回と相性がいい。
ユーバーレーベンは「ゴールドシップ×ロージズインメイ」という組み合わせで、マイネルファンロン(新潟記念)の4分の3妹にあたる。
「ゴールドシップ×ロージズ」の組み合わせはJRAで10頭走って6頭が勝ち上がり、連対率22.7%と好成績を挙げている。
長めの距離で良さを発揮する仔が多い。
したがって、前走から2ハロンの距離短縮はプラス材料とはいえない。
ただ、ゴールドシップ産駒は阪神芝2000mで連対率25.0%と好成績を挙げている。
ゴールドシップ自身は京都よりも阪神でより強さを発揮したが、産駒も阪神コースを得意としている。
したがって、秋華賞が阪神コースで行われる今年はチャンスだ。
あとはぶっつけ本番で体調面がどうかだけ。
ステラリアは「キズナ×モティヴェイター」という組み合わせで、母ポリネイターは現役時代にメイヒルS(英G2・芝8ハロン)を勝った。
母の父モティヴェイターは英ダービー馬で、女傑トレヴ(凱旋門賞2回、仏オークスなどG1を6勝)の父として知られている。
気難しさを伝えるが、ブルードメアサイアーとしては成功しており、ヴァンドギャルド(富士S、ドバイターフ-2着)や、姉弟で活躍しているメロディーレーン(菊花賞-5着)とタイトルホルダー(弥生賞ディープインパクト記念、皐月賞-2着)などを出している。
オークスは距離延長がプラス材料だったが、18頭立ての大外18番枠は大きなマイナス材料で、前崩れの流れで2番手を追走したことも厳しかった。
今回の阪神芝2000mは前々走の忘れな草賞(L)で好タイム勝ちしており、条件的には申し分ない。
仕上がり具合と展開次第で一発があっても不思議ではない。