栗山求のコラム

2021-09-15​ローズS(G2)血統的考察

先週のセントウルS(G2)は、
2番手追走の
▲レシステンシア(1番人気)
早めに抜け出し、
◎ピクシーナイト(2番人気)
追撃をクビ差抑えて快勝。

通算重賞勝利数を「4」とした。


2歳時に阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)
勝った実績はあるものの、
3歳夏を越すとマイル戦では苦しく、
得意条件が短距離にシフトしている。

スプリンターズS(G1)は
差し馬が勝ちやすいレースなので、
展開面がカギとなる。



さて、今週はローズS(G2・芝1800m)

G1レースとトライアルの関係のなかで、
かつては秋華賞とローズS
結びつきはきわめて深く、
秋華賞好走馬はそのほとんどが
ローズS出走組だった。


しかし、紫苑S(G3)が重賞に昇格し、
調教技術の進歩
久々でも力を発揮できる馬が増えた影響か、
ここ5年は秋華賞連対馬
10頭中9頭がローズS以外からの参戦だった。



その間、紫苑S組は5頭、
オークスからの直行組が
3頭連対している
(残る1頭は藻岩山特別)。

本番で好走できないということは、
要するにメンバー構成が
小粒になっているということ。



そのせいか過去5年間の
ローズSは少々荒れ模様。


16年は1番人気と11番人気、
17年は8番人気と6番人気、
17年は5番人気と2番人気、
19年は1番人気と6番人気、
20年は3番人気と14番人気での決着だった。

今年は昨年と同じく
中京芝2000mで行われる。


昨年は2番手を追走した
リアアメリア(3番人気)が勝ち、
4コーナー11番手のムジカ(14番人気)が
直線で差を詰めて2着。

ちなみに、3着オーマイダーリンは
11番人気だったので、
3連単は113万9000円の大波乱となった。


【アールドヴィーヴル】

「キングカメハメハ
×ディープインパクト」
という組み合わせ。

母イサベルは
アドミラブル
(青葉賞、日本ダービー-3着)の全姉、
エスポワール
(ターコイズS-2着、
中山牝馬S-3着)の半姉で、
自身は4勝を挙げた。

2代母スカーレットは不出走馬だが、
その半兄にリンカーン
(阪神大賞典など重賞3勝)、
ヴィクトリー(皐月賞)がいるほか、
同じ一族に
フサイチコンコルド(日本ダービー)、
アンライバルド(皐月賞)がいる。

バレークイーンは
サドラーズウェルズを抱えているため、
大レース向きの底力があり、
クラシックにおける強さに定評がある。


2戦目のクイーンS(G3)で
アカイトリノムスメに
わずかクビ差及ばず2着。

桜花賞(G1)とオークス(G1)では
いずれも5着と、距離や展開を問わず
上位を確保できる地力は、
世代のなかで上位と評価できる。


デビュー時の馬体重は446kgで、
前走のオークスは422kgと、
24kgも減っているので、
今回はまず馬体重を大きく増やしてくることが
好走の前提条件となる。


ほとんど増えていなかったり、
あるいは逆に減っていたら危ない。


キングカメハメハ産駒は
中京芝2000mで連対率21.0%。


2012年以降、
当コースで産駒が20走以上した
57頭の種牡馬のなかで
第6位と上々の成績だ。

ヤマカツエースが
金鯱賞(G2)を連覇するなど

重賞を4勝しており、内容も伴っている。


【クールキャット】

「スクリーンヒーロー
×ダンスインザダーク」
という組み合わせで、
トリオンフ
(中山金杯など重賞3勝
/父タートルボウル)の半妹です。

母メジロトンキニーズは
ダイヤモンドS(G3)2着馬。

生産牧場のレイクヴィラファームが
メジロ牧場時代から
受け継いだ古い牝系に属しています。


2走前のフローラS(G2)は、
スタートからゴールまで
スムーズにレースを運ぶことが
できたことが功を奏した。

前走のオークスは
意表をついた逃げで14着。

勝つために攻めた乗り方をしたが、
G1を勝つだけの地力はなく、
前潰れの展開になったのもキツかった。



初戦でソングラインに
完勝しているように能力は高いものの、
2戦目のアルテミスS(G3)は
序盤に力んで折り合いを欠き、
3戦目のフェアリーS(G3)は
向正面から一気にスパートして
先頭を奪うという
無理な競馬がたたって直線で失速、
4戦目のフラワーC(G3)は
出遅れて位置取りが悪くなるという不利があった。

負けたレースにはそれぞれ敗因があり、
勝ったレースは
いずれもルメール騎乗で
うまく乗ったという共通点がある。


今回はルメール騎手が手綱を取る予定で、
フローラSと同じく左回りの芝2000m。


好走する可能性は十分ある。


【タガノパッション】

「キングカメハメハ
×シンボリクリスエス」
という組み合わせ。

近親にショウナンパンドラ、
カラテ、フロンティア、
ベルーフなどがいる。

デビューは3月と遅く、
初戦は経験馬相手に3着と敗れたが、
4月の未勝利戦と
5月のスイートピーS(L)を連勝し、
4戦目のオークス(G1)では
10番人気ながら4着と健闘した。


「キングカメハメハ
×シンボリクリスエス」
といえばレイデオロ
(日本ダービー、天皇賞・秋)と
レイエンダ
(エプソムC)の兄弟が出ている。

この組み合わせは
芝2000mで連対率41.2%
(17戦7連対)と走っている。


条件的には向いていると思われるので、
あとは仕上がり具合だけ。


【アンドヴァラナウト】

「キングカメハメハ
×ディープインパクト」
という組み合わせ。

母グルヴェイグは
マーメイドS(G3)の勝ち馬で、
その兄弟にはルーラーシップ
(クイーンエリザベス二世C)、
アドマイヤグルーヴ
(エリザベス女王杯2回)、
フォゲッタブル
(ダイヤモンドS)と
3頭の重賞勝ち馬がいる。

2代母エアグルーヴは年度代表馬、
3代母ダイナカールはオークス馬。

日本を代表する名牝系だ。

このファミリーと
キングカメハメハは相性抜群で、
ドゥラメンテ、ルーラーシップなど
多くの活躍馬が出ている。


まだ1勝クラスを勝ったばかりとはいえ、
このファミリーは完成が遅い傾向があるので、
伸びしろは十分見込める。


前走の出雲崎特別(1勝クラス)は
芝2000m1分58秒2。

高速馬場だったとはいえ
上々の勝ちタイムだった。


2着に負かした
ダノンドリーマーも弱い馬ではない。

侮れない1頭だ。


2012年以降、
中京芝2000mで産駒が
20走以上した57頭の種牡馬を
連対率順に並べると以下のようになる。

1位ディープインパクト(25.2%)
2位エピファネイア(25.0%)
2位ジャスタウェイ(25.0%)
4位フジキセキ(23.3%)
5位ロードカナロア(21.3%)



ディープインパクト産駒は
エンスージアズム、オヌール、
ハッピーオーサム、
エピファネイア産駒は
コーディアル、スパークル、
ミヤビハイディ、
ジャスタウェイ産駒は
メイショウオニユリが登録している。



枠順と脚質、
調教の動きなどを加味しつつ、
週末に最終結論を出したい。