​小倉2歳S(G3)血統的考察

先週の新潟2歳S(G3)は、中団追走の◎セリフォス(3番人気)がインから抜け出し、○アライバル(1番人気)以下を寄せ付けず優勝した。

1分33秒8、上がり32秒8は優秀。

ここ何年か、優勝馬はその後の成績が冴えない傾向が見られるが、今年はメンバー構成、レース内容ともに上々だったので期待できそうだ。


さて、今週は小倉2歳S(G3・芝1200m)。

昨年は台風の影響で重馬場。

一昨年も重馬場。

今年は木曜日に雨の予報が出ているが、週末は晴れる予報なので良馬場で行われる公算が高い。

そうなれば1分07秒後半から08秒台前半の決着となる。


過去10年間で1番人気が6回連対している。

その一方で、10番人気以下の伏兵も3頭連対している(それぞれ15、10、13番人気)ので、毎年平穏に収まっているわけではない。

勝ちっぷりの良さから人気に推された馬は期待通り走る傾向が見られる一方、それまでの戦績からは買いづらい人気薄が激走し、穴馬券の片棒を担ぐシーンも見られる。

一度使っての良化、という部分は見逃せない。

人気薄で連対した3頭は、芝1200mで勝ち上がった際の勝ち時計が1分09秒8、1分10秒1、1分09秒6。

平凡で目立たないものだった。

そして、その後の競走生活で1勝も挙げていない。

つまり、小倉2歳Sが最初で最後の激走だった。




ショウナンマッハは「ショウナンカンプ×ダイワメジャー」という組み合わせ。

母は未勝利馬だが、アミカブルナンバー(京王杯SC-5着)の全妹にあたる。

3代母ヒシアマゾンはエリザベス女王杯(G1)、阪神3歳牝馬S(G1)など重賞を9勝した名牝。

父ショウナンカンプはサクラバクシンオーの息子で、現役時代に高松宮記念(G1)を勝った。

種牡馬としてもショウナンアチーヴ(ニュージーランドT)、ラブカンプー(CBC賞)などを出している。


7月4日の新馬戦(芝1200m)は、稽古の良さから単勝1.7倍の断然人気に推され、余力十分に3馬身差で逃げ切った。

勝ちタイムは1分08秒6。

この日はメインレースにCBC賞(G3・芝1200m)が行われ、ファストフォースが1分06秒0というJRAレコードを樹立した。

かなりの高速馬場だったので、とくに優秀な時計だったというわけではない。

488kgの恵まれた身体で、父ショウナンカンプ、母の父ダイワメジャーともに2歳戦に強いタイプ。

使っての上積みが鍵。





スリースパーダは「ミッキーアイル×シングスピール」という組み合わせで、398kgの小柄な牝馬だが、兄弟にシンハライト(オークス)、リラヴァティ(マーメイドS)、アダムスピーク(ラジオNIKKEI杯2歳S)と3頭の重賞勝ち馬がいる良血。

シンハライトとアダムスピークは父がディープインパクトなので、本馬とは4分の3兄弟の関係となる(父ミッキーアイルはディープインパクト産駒)。


7月17日の新馬戦(芝1200m)は単勝1.5倍の人気に応えて1馬身半差で快勝。

小雨だったとはいえ1分09秒9は平凡で、2着以下の馬のなかで次走以降勝ち上がった馬はいない。

とはいえ、上記のとおり素晴らしい良血であるのは評価できる。

父ミッキーアイルは昨年の優勝馬メイケイエールと同じ。

同産駒は小倉芝1200mで33戦し[8-2ー2-20]という成績。

勝率24.2%、連対率30.3%は素晴らしい。

2011年以降、当コースで産駒が20走以上した149頭の種牡馬のなかで、連対率第2位という優秀な成績だ。

1位(33.3%)はアメリカで繋養されているメダーリアドーロなので、国内繋養種牡馬では第1位だ。

勝ち時計は平凡ながらコース適性は高い。




ナムラクレアは「ミッキーアイル×ストームキャット」という組み合わせ。

8月1日の新潟新馬戦(芝1600m)は3着と敗れたが、未勝利戦ではなく小倉のフェニックス賞(2歳OP・芝1200m)に矛先を向けると、好位追走から抜け出して1分10秒8で快勝した。

不良馬場だったのでタイムが遅いのは致し方ない。


3勝クラスのナムラムツゴロー(父ディープブリランテ)の4分の3妹。

3代母クードジェニーは名種牡馬マキアヴァエリアンの全妹で、近親に本邦輸入種牡馬バゴがいる。

スリースパーダの項で説明したように、父ミッキーアイルは小倉芝1200mの適性が抜群。

「ミッキーアイル×ストームキャット」という組み合わせは「ディープ×ストームキャット」のニックスに近く、道悪専用という血統ではない。

良馬場でも問題なく走れるタイプだ。




ソリッドグロウは「ダイワメジャー×ネイエフ」という組み合わせ。

京王杯2歳S(G3)を勝ったモントライゼの全妹で、同馬は昨年のこのレースで2着と健闘している。

母ムーングロウはメディチアン(英G1エクリプスSなど重賞4勝)の半妹で、兄妹はいずれも父がミスタープロスペクター系。

「ダイワメジャー×メディチアン」の組み合わせから父の代表産駒アドマイヤマーズ(香港マイル、NHKマイルC、朝日杯FS)が出ており、それと血統構成がよく似た本馬は評価できる。

父ダイワメジャーは2歳戦に強い種牡馬として知られており、先週の新潟2歳Sをセリフォスが勝ったばかり。

2歳戦のなかでも序盤のローカル戦(6~9月)でとくに強い。

小倉2歳Sは11年にエピセアローム、16年にレーヌミノルが勝ち、前述のとおり全兄モントライゼが昨年2着となっている。

レース適性は高い。


7月31日の函館新馬戦(芝1200m)を7馬身差で圧勝してここに臨む。

このレースはグランパドゥシャと逃げ争いを演じ、3コーナーでリードを奪うと、直線は後続を突き放して楽勝した。

ラスト3ハロン、11秒3-11秒9-12秒8とラップが落ちているが、序盤に後続を大きく引き離して競り合った結果なので致し方ない。

タイムの1分09秒8は函館であることを考慮すると標準レベル。

ここで勝ち負けに持ち込む資格はある。



調教の動きや枠順などを総合的に判断し、週末に最終結論を出したい。