​関屋記念(G3)血統的考察

先週のレパードS(G3)は
好位を追走したメイショウムラクモ(1番人気)が
直線で危なげなく抜け出し、
横綱相撲で重賞初制覇を成し遂げた。

ユニコーンS(G3)やジャパンダートダービー(Jpn1)の
上位組が出走しなかったので、
2勝クラスを好内容で勝った本馬が1番人気に推され、
実力どおりに3馬身差をつけて2着以下を問題にしなかった。

「ネオユニヴァース×キングヘイロー×アンバーシャダイ」
という血統なので中距離がベスト。

小回り向きの器用さがあり、
いずれはダートグレード競走の常連となって
賞金を荒稼ぎしそうだ。


さて、今週は関屋記念(G3・芝1600m)。

過去10年間の成績を見ると、
連対馬20頭は1~8番人気の馬で収まっており、
極端な人気薄は連対していない。

連対数は1~2番人気が7回、
3~4番人気が6回、5~8番人気が7回。

3連単の最低配当は2013年の1万7110円なので、
極端な人気薄は連対しないとはいえ、
コンスタントに中荒れとなっているレースだ。

たとえば昨年は、1着が4番人気、
2着が8番人気、3着が1番人気で、
3連単8万3420円だった。

上記のように1~4番人気が計13回と、
全体の連対数の約3分の2を占めているが、
5~8番人気が残りの3分の1(7回)を占めているので、
ここをしっかり見極めて狙いを絞れば高配当をモノにできる。


直線の長いコースで行われる別定重賞なので、
能力の高い馬にとって有利な舞台設定。

直線が長いわりに逃げ馬が3頭連対しており、
好位組も強い。

その一方で4コーナー10番手以下だった馬が6頭連対している。

このあたりは展開という要素が絡んでくるので、
脚質による有利不利はないと考えたい。


血統的にはディープインパクト産駒が
[4-2-1-18]という成績を挙げており目立っている。

直近3年間の勝ち馬はいずれも同産駒
(プリモシーン、ミッキーグローリー、サトノアーサー)で、
18年は1~3着を独占した。

真夏の競馬だけあって牝馬が強く、
過去に馬券に絡んだ7頭の同産駒のうち4頭は牝馬だった。


【ソングライン】

NHKマイルC(G1)2着以来の実戦。

「キズナ×シンボリクリスエス」という組み合わせで、
母はジューヌエコール(デイリー杯2歳S、函館スプリントS)
の半姉にあたる。

ソニンクの一族はダービー馬ロジユニヴァース、
秋華賞と英G1ナッソーSを勝ったディアドラをはじめ、
ノーザンリバー、ランフォルセなど多くの活躍馬を出している。

母の父シンボリクリスエスはロベルト系で、
母方にロベルトを持つキズナ産駒は、
クリスタルブラック、クリスティ、ショウナンハレルヤなど
よく走っている。

ロベルトはスピードの持続力を強化する血で、
それがNHKマイルCや紅梅S(L)のような速いラップが
連続するレースで活きた。

15着と敗れた桜花賞(G1)は向正面で外に弾かれる不利があったので
参考外の一戦だ。

関屋記念は速いラップが続く傾向があるので、
この馬向きのレースといえる。

キズナ産駒は道悪を苦にしない傾向があるので、
天候が崩れても基本的に問題ないタイプ。

ただ、大量の降雨により馬場が
極端に悪化するようだと何とも言えない。

3歳牝馬は過去10年間に3頭出走して2頭が馬券圏内に入り、
2018年にプリモシーンが勝っている。


【シャドウディーヴァ】

シャドウディーヴァは「ハーツクライ×ダンシリ」で、
ハウメア(OP)の半妹。

母方にデインヒルを持つハーツクライ産駒は
1600~2000mあたりに適性が高い。

東京新聞杯(G3)で2、3着となっているように、
長い直線の左回りコースは合っている。

牝馬限定戦ではなく牡馬相手に好走している点は評価できる。

昨年秋、重馬場の府中牝馬S(G2)で
6番人気ながら2着と好走したように、
道悪は上手いほう。

ハーツクライ産駒はこのレースに過去7頭出走して
3頭が馬券圏内に入っている
(ジャスタウェイ2着、マジェスティハーツ2着、マジックタイム3着)。流れが向けばこのメンバー相手でもおもしろい。


【アンドラステ】

昨年の3着馬で、
前走の中京記念(G3)で初めて重賞を勝った。

「オルフェーヴル×ダイナフォーマー」
という組み合わせで、
半弟にヴァリアメンテ(若駒S-2着)がいる。

血統的に晩成傾向が見られるので
5歳夏でも衰えはまったく見られない。

前年比1kg増の斤量も問題ないだろう。

高速決着や上がりの速い決着に向いたタイプではなく、
少し時計が掛かる馬場のほうが合っている。

したがって、週末の雨はプラスに働きそうだ。


【カラテ】

「トゥザグローリー×フレンチデピュティ」
という組み合わせ。

2代母レイサッシュはステイゴールドの半妹で、
3代母ゴールデンサッシュはサッカーボーイの全妹。

ロイヤルサッシュにさかのぼるこのファミリーは、
馬体を小さく出すという特徴があるが、
カラテ自身は530kg前後の大型馬。

フレンチデピュティ、トゥザグローリーと、
雄大な馬格を伝える種牡馬を2代連続で交配した影響が出ている。

父トゥザグローリーはキングカメハメハ産駒で、
現役時代に京都記念(G2)など5つの重賞を制覇。

有馬記念(G1)では3着と好走している。

昨年6月に不良馬場の八丈島特別(1勝クラス)を楽勝しているので、
道悪は問題ない。

左回りのマイル戦も実績があるので、
あとは仕上がり具合だけ。


【ロータスランド】

「ポイントオブエントリー×スキャットダディ」
という組み合わせの外国産馬。

父はロベルト系で、
自身はパワフルな血を抱えており、
ロベルト3×4を持っている。

いかにも道悪が上手そうな血統構成で、
じっさい、2走前の米子特別(L)は重馬場をものともせず快勝し、
2歳時のもみじS(OP)は不良馬場で2着だった。

雨は大歓迎。