​ユニコーンS(G3)血統的考察

先週のエプソムC(G3)
中団追走の▲ザダル(3番人気)
直線で外から抜け出し、
サトノフラッグ(6番人気)をクビ差抑えた。

前に行った馬に厳しいペースとなり、
差し馬向きの展開となったのは確かだが、
直線の伸びは力強く、
直線の長いコースへの
高い適性を感じさせた。

天皇賞・秋(G1)でも侮れない存在だろう。


さて、今週はユニコーンS(G3・ダ1600m)。


【ルーチェドーロ】

「マクフィ×クロフネ」
という組み合わせ。


母アラフネは
新馬-すずらん賞
(2歳OP)を連勝した活躍馬。

母の「クロフネ
×サンデーサイレンス
+ミスタープロスペクター」という構成は、
フサイチリシャール(朝日杯FS)、
セイコーライコウ(アイビスSD)、
マイネルクロップ(マーチS)、
ブラボーデイジー(エンプレス杯)
など多くの活躍馬を出している。

父マクフィはヨーロッパを代表する
名種牡馬の1頭ドバウィの仔で、
現役時代に英2000ギニー(G1・芝8f)と
ジャックルマロワ賞
(仏G1・芝1600m)を制覇した。

日本で種付けをした初年度産駒から
2頭のユニコーンS出走馬
出したのは素晴らしい。

芝とダート、双方とも
連対率13.0%という成績だが、
通算25勝の内訳は芝9勝、ダート16勝。

現時点では芝よりも
ダートの勝ち星が上回っている。



前走、端午S(OP・ダ1400m)を快勝。

7番人気だったが、
昨年暮れの全日本2歳優駿
(Jpn1・ダ1600m)で
勝ち馬からちぎられたとはいえ3着と健闘し、
昨年夏の函館新馬戦(ダ1000m)では
後続を7馬身差をつけて
レコード勝ちを果たしている。

マクフィ産駒はダート1400mよりも
1600~1700mで良績を残しており、
本馬は母方の血からも
1ハロンの距離延長は問題ない。


東京ダ1600mでは連対率18.8%と
上々の成績を残している。


中央の軽いダートのほうが
合うタイプだと思われるので
東京替わりはプラスだろう。

休み明け2戦目だった前走を勝ち、
今回はさらに上昇が見込める。

余裕をもったローテーションは好感が持てる。

争覇圏内の1頭だろう。


【ラペルーズ】

「ペルーサ
×エンパイアメーカー」
という組み合わせ。


父ペルーサは
ゼンノロブロイの代表産駒の1頭で、
現役時代に青葉賞(G2)を勝ち、
天皇賞・秋(G1)で2着と好走した。

種牡馬としてはこの世代が初年度産駒で、
JRAで出走した4頭のなかで
勝ち上がったのは本馬しかいない。


母の半弟ハリケーンバローズ
(父アンクルモー)は
通算7戦4勝の素質馬だった。

2代母ノーティーマンボの半妹には
米G1勝ち馬ネグリジェがいる。


2走前のヒヤシンスS
(L・ダ1600m)を勝って
世代トップクラスの実力を証明したが、
前走の青竜S(OP・ダ1600m)は
単勝1.8倍の断然人気を背負って11着大敗。

イレ込んで本来の実力を発揮できなかった。


母の父エンパイアメーカーは
気性的に難しいタイプで、
高い能力に恵まれた子や孫が、
それを常時発揮できなかったり、
突如スランプに陥ってしまったり、
というケースが時折ある。


落ち着いて走ることができれば
このメンバーのなかでは力上位だが、
前走のようにイレ込んでしまうと厳しくなる。


陣営もそのあたりを考えて
調整してくるはずだが、
パドックの気配を見ながら
取捨の判断をしたいところ。


【ゲンパチフォルツァ】

「ヘニーヒューズ
×ストラヴィンスキー」
という組み合わせ。

父ヘニーヒューズは
中央と地方のダート戦のみの
賞金を合算した
種牡馬ランキングで現在第1位。

ダート界のナンバーワン種牡馬、
といっていいだろう。



このレースには他にケイアイロベージ、
サンライズウルスが登録している。

ラペルーズが惨敗した
青竜S(OP・ダ1600m)を勝ち、
ここに臨む。


ヘニーヒューズ産駒は
東京ダ1600mで連対率23.4%と
好成績を挙げており、
2年前のこのレースで
ワイドファラオが優勝を果たしている。

過去10年間、青竜Sの勝ち馬は
ユニコーンSで[1-2-2-1]。


連対率50.0%、複勝率83.3%
きわめて高い信頼性を誇る。

前走はうまく行った面が多々あるが、
有力候補であるのは間違いない。


【レディバグ】

「ホッコータルマエ
×ダンスインザダーク」
という組み合わせ。


勝ち星は新馬戦のみだが、
兵庫ジュニアグランプリ(Jpn2)2着、
ヒヤシンスS(L)3着、
端午S(OP)2着、
青竜S(OP)2着と、
コース、相手を問わず
好走を続けている。


唯一馬券圏内を外した伏竜S(8着)は
4コーナーで前が詰まる不利があった。



ホッコータルマエ産駒は
母方にサンデーサイレンスと
Nijinskyを併せ持つ配合が成功している。

2勝を挙げた馬は現時点で2頭いるが、
その両方
(ホッコーハナミチ、
ホッコーカリュウ)と、
1勝馬のなかで本賞金が
最も多いレディバグの3頭は、
いずれもこのパターンから誕生している。


また、産駒の東京ダートの成績は
連対率23.5%と優れており、
東京ダ1600mに限ると27.8%とさらにいい。


強い相手と戦って
常に上位に来る実力、
配合の完成度、
コース適性の高さは評価でき、
紅一点でも侮れない。


調教の動きや枠順などを総合的に判断し、
週末に最終結論を出したい。