こんばんは。学習アドバイザーの佐藤正治です。
昨日は緊張感をほぐす方法についてお伝えしました。
今回もリラックスするための方法を一つお伝えしたいと思います。
半月ほど前に新聞に載っていたのでご覧になった方もいらっしゃるかもしれませんが、シカゴ大学の心理学者Sian L. Beilock准教授らの行った実験により、試験に関する不安を紙に書き出すことでテストの成績が上がったという研究論文があります。
これは大学生と高校生を対象に以下のような試験を行ったそうです。
1.大学生二十人に対しての試験
一回目:ただ頑張るようにとだけ指示をする
二回目:金銭的な報酬及び罰則というプレッシャーを与えた上で、半数は試験前に十分間「テストに関する不安」を書き綴ってもらい、残り半分はただじっとしていてもらう。
という2回の数学の試験を行って比較しました。
その結果
ただじっとしていたグループ:一回目に比べて正解率が12%低下
不安を書き綴ってもらったグループ:一回目に比べて正解率が5%上昇
と言う結果になりました。
2.9年生(日本の中三に相当。アメリカの高校での新入生)に対しての試験
高校最初の生物の期末テストの際に行った実験です。生徒には事前に心理テストを行い、不安を感じやすいタイプかどうかを判定しておいたそうです。
そしてテスト前に
A:テストについての気持ちを書く
B:テストに関係のないことについて考える
と言う2グループに分けてテストを行いました。
その結果、Aのグループの成績の方がBグループに比べて良く、特に不安を感じやすいタイプの生徒に限ると、Aグループの成績の平均がB+だったのに対し、Bのグループの成績の平均はB-で、この差は有意の差と言えるのだそうです。
これは問題を解くときに使うワーキングメモリという短期の記憶を司る脳の部分が、心配事によって埋まっていて、問題を解くのに使う領域が減ってしまっていたのを心配事を試験前に紙に書き出すことで、問題を解くのに使える領域が増えたことによるものとされています。
不安を紙に書き出すという簡単な方法で不安感が減るというのは以前から知られていて、色々な心理系のワークショップで紹介されてきていますが、それが科学的に証明された形ですね。
先日、週刊少年マガジンに連載されているベイビーステップというテニス漫画でも同じような描写がありました。
観客のほとんどが対戦相手を応援しているというプレッシャーに対して、主人公はノートに自分が不安に思っていることを書き出していき焦りをコントロールするというものです。
こちらでは一旦、明確に不安に思っていることを思い浮かべてから、それが消えるイメージを浮かべてることによってさらに焦りをなくしていました。
心理系のワークでも不安を書き出した紙をちぎって捨てたり、燃やしてしまうというものがあります。
そうすることで不安を消すイメージを明確にするんですね。
入試の前などは試験の始まる直前まで参考書や単語集などを見ていたくなるものですよね。
確かにその直前に見ていた問題が運良く出たという話もたまに聞くことがあります。
ですから、自分がそうすることで安心して試験に臨めるなら、直前まで問題集やノート(特に自作の弱点をまとめたノートやカード、書き込みをして自分のオリジナルになっている問題集や参考書)を見るというのは効果があると思います。
でも、
「あ、これも覚えていなかった。あ、あれはどうだったかな?」
と不安に思う傾向が強いのならば、すっぱりと問題集やノートなどを見るのをやめて、ここで紹介したように、真っ白な紙に試験に対する不安感を書きだして、丸めて捨ててしまった方が逆に実力を発揮できると思います。
また、試験まで、不安で勉強が手につかないという場合は、非常に有効な方法です。
もし、そうなら是非試して、自分の実力を完全に出せるように準備してくださいね。