こんばんは。学習アドバイザーの佐藤正治です(^^)
以前の記事
で、暗記する場合も事前に覚える事柄を整理することで記憶が楽になるという話をしたことがあります。
少し古い本ですが、「学習と教育の心理学」(市川伸一 著 岩波書店)にそのことについての説明が載っています。
ブランスフォードらの研究によると、二つの事柄を必然性のもったもとして関連づけると飛躍的に記憶が向上することがしめされているそうです。
例えば
・眠い男が水差しを持っていた
・太った男が錠前を買った
というような短い文をいくつも覚えるとします。
これだけでは主語と述語の間に因果関係がありませんから、覚える数が多くなると混乱しやすくなります。
しかし、
・眠い男がコーヒーを入れるために水差しを持っていた
・太った男が食べるのを我慢するために冷蔵庫に付ける錠前を買った
となると主語にあたるものがどうして述語に当たる行動をしようとしたのかの理由が明確になるので記憶しやすくなります。
ここで注目して欲しいのはここで理由が明確になるのは「コーヒーを飲むと眠気が覚める」「冷蔵庫には食べ物がしまってある」という知識を読み手が持っているからです。
何かを学ぶ時にはこの必要な知識が共通であることが多々あります。
覚える事柄を整理することでこの必要な知識を明確にして、覚える事柄の関連性を示すことで覚える量を減らすことができるのです。
西林の研究ではここがさらに詳しく説明されています。
この研究ではネイティブアメリカンの住居の種類についての暗記を例にしています。
以下のようなことを覚えるとします。
・北西海岸のネイティブアメリカン…杉の板材で出来た斜め屋根の家
・カリフォルニアのネイティブアメリカン…日干しレンガの家
・平原のネイティブアメリカン…ティービー(テントの一種)
このままではそれぞれに必然性がありませんから覚えにくく、忘れやすくなります。
そこで「住居は手近な材料によって作られる」「住居は気候や生活様式に左右される」という様々な状況に当てはまる知識(法則知識)を覚えると、それぞれの地域の気候やそこでの生活様式と言った知識(中間知識)挟んでと、個々の地域と住居の種類(個別知識)の間に必然的な関連性が生まれてくるのです。
これを図で表すと以下のようになります。
何かを覚えようとする時、このように覚えるべき知識を系統的に図にすることで覚えなければいけないこと整理することで、覚えることを減らすことが出来ます。
このように整理すると、他で覚えた知識を中間知識として活用することでどんどん記憶のネットワークが出来ていき、記憶を強化することが出来ます。
このネットワークは科目間においても有効です。
例えば、理科の地学分野の川についての知識は、地理の川沿いの地形について覚えるのに役立ちます。
また、英語で書かれていることの背景の知識を知っていれば、その文章に対する理解度が深まり、状況をイメージしやすくなり、記憶の強化に役立ちます。
何かを覚える時にはこのようたことに意識を向けながらやってみると効率が上がります。
是非、試してみてください(^^)