とにかく 祐輔さんは

ひっきりなしに
喋り続ける

CoCo壱のカレー皿を
指差して

「これを持って帰る人もいるんだろうな
転売するために」

「持って帰れないですよ
お店の人が見ているのに」

「職場の物を何か持って帰ってます❓」

「持って帰らないです
そんなことしたって使わないし」

なんだか くだらない会話だな
と思いました

そんな話をする時間があるなら
さっさと食べてくれ
この時点で
この人とは"今後はナシ"判定が出ました

だから やっぱり
直接会うのが 手っ取り早い

「アプリで 男の人からのメール
たくさん来ます❓」

「来ますよ」

「どういう基準で選ぶんですか❓」

ちょうど この日
メールをやめた男性がいたので
その例を挙げました

私が「今日はお休みですか❓」
と 送ったら
「はい」とだけ返事をした人

「はい」って言われても困ります
質問返しがないから
会話に疲れる
そんな人とのメールはやめますと

「元ヤンキーですか❓」

「違いますよ、祐輔さんは
元ヤンキーなんですか❓」

「違います、俺のことどう思います❓」

「優しそうですね」

人って 相手に言われた印象の
通りになろうと
努力する生き物らしいので
変な態度を取られないように先手を打って
わざと「優しそう」
という答えを選びました

「恵子さんは 年齢より若いですね
よく言われません❓
それに 色白だね」

そりゃ、化粧してるからだよ
色白じゃないし
化粧して シミを隠しています

「そうですか❓」

「あ、わかった❗️
室内の仕事だから日焼けしないんだね」

「祐輔さんは 外でのお仕事ですか❓」

「まぁそうですね
夏は 帽子かぶってます」

気になることを
ついでに訊いてみました

「すごく優しそうなのに
どうして 独身なんですか❓
ご縁がなかったのですか❓」

祐輔さんは笑いながら
「まぁ、いろいろあって
で、恵子さんは❓
どうして離婚したんですか❓」

「意見の不一致ですね」

真面目に答えない相手に
私も ぼんやりとした答えを
返していると
祐輔さんは やっと食べ終わったので
お店を出ることに

メールに「ご馳走します」と
書いていたので
いつもの
「自分の分を払いましょうか❓」は
省略しました

会計が終わり
「ご馳走さまでした」とお礼を言うと
返事なし (・・;)

駐車場の車まで歩きながら
「連絡先交換します❓」
と 祐輔さん

なんかここで断るのも
角が立つと思い

「LINEですか❓」

「そう、、俺、フルネームなんだよね」

ニックネームではなく
本名なら
プライバシーを守る祐輔さんは
気にするだろうと思い

「アプリのメールでいいですよ」
と 言うと

「いえ、大丈夫です」
と QRコードで交換しました

私のLINEに登場した
フルネームの男性の名前

星野さんとは
何ヶ月経っても 交換しないのに
さっき会ったばかりの人と
交換している

私って 何やってんだろ
と 思いました