鉱物の顕微鏡写真222 ―グラウト鉱―
顕微鏡写真
鉱物の顕微鏡写真222
―グラウト鉱―
産地:北海道瀬棚郡今金町美利加 美利加鉱山(非売品)
Locality:Pirika Mn mine, Pirika, Imakane town, Setana district, Oshima peninsula, Hokkaido, Japan.
サイズ:83㎜×68㎜×41㎜. 重量:366g.
Groutite グラウト鉱
[分類] 水酸化鉱物.ダイアスポアグループ.
[組成] α-Mn3+OOH
[結晶・形態] 直方晶系.完面像.自形結晶および形態は
菱型に近い断面を持つ錐面と柱面からなる
角柱状・平板状・長板状・爪状など.柱面の
伸長方向に並行に条線が発達する.双晶が
知られている.結晶は脆い.束状・亜平行状
繊維状・葉片状・ロゼット状・薔薇状・短冊状
・放射状・球状・ブドウ状・腎臓状・レンズ状・
層状・塊状集合などになる.
[色] 鋼灰色・明るい鋼灰色・鉄黒色など.錆びる
と表面が虹色を帯びることがある.
[光沢] 結晶は亜金剛光沢~金属光沢.水マンガン
鉱よりかなり光沢は強い印象.繊維状集合
は金属光沢~油脂光沢.塊状は脂っこい
土状光沢.不透明.
[モース硬度] 3.5~4
[比重] 4.144~4.172
[劈開] {010}に完全.{100}に不完全.
[条痕] 黒色・褐黒色・黒褐色など.
[原産地] ・Mahnomen pit, Ironton, Cuyuna North
range,Crow Wing county, Minnesota,
USA(TL).
・Sagamore Mangan No.2 pit, Riverton,
Cuyuna North range,Crow Wing county,
Minnesota, USA(TL).
[名称] アメリカ,ミネソタ大学の岩石学の教授だ
ったフランク・フィッチ・グラウト
(Frank Fitch Grout1880-1958)
に因む.
[そのほかの性質] 空気中で200度の温度で加熱すると水分
を分離する.用途:マンガン鉱石.
ひさびさの顕微鏡写真シリーズです.
以前に放射状に集合したものを掲載しかかったのですが,変化に乏しい標本でしたので差し替えました.
上の標本は「グラウト鉱・水マンガン鉱」の2種の名称が記載された標本で,交換で入手したと当時の野帳には書いていましたが,全く覚えていませんでした.10年くらい前に分析したらしく,「孔の中に脳状集合をしているのがグラウト鉱でその周囲にある水に濡らした感じのキラキラした微細な角柱状が水マンガン鉱,微細な角柱状で多少のギラついて見える部分が水マンガン鉱からパイロリュース鉱に変質した部分」とラベルに記入していました.
母岩が100㎜前後で重量が1㎏近くあったので,90㎜×75㎜×20㎜の箱に入るように成形をかけました.
母岩の部分.
母岩は茶褐色~橙色の玉髄質で石質はしっかりしているものの,思いもしないところに裂罅があって難儀した.二酸化マンガンからなる黒色の部分は丹波で見られるようなボソボソのものではなく,かなりしっかりしているので,この部分の成形は楽でした.
90㎜×75㎜×20㎜の箱に入るくらいの大きさに成形して,母岩の表面のゴミを飛ばすために,炭酸で炊いた.二酸化マンガンの汚れなら過酸化水素で洗うことが多いのですが,酸化剤なため表面の光沢が木っ端で試すと,錆びてしまうのか,光沢が鈍くなってしまうため,今回は炭酸で処理しました.
標本のメインとなる塊状二酸化マンガン中の空隙は,母岩の一部が粘土化しいていて,それが庇のようになって内部が,うかがい辛い感じになってました.
ハンマーの突部で擦りつけるとこの粘土の庇の部分は取れてくれました.水洗いし軽く束子で擦りつけて洗い流しました.
標本の周囲を見て,不要な角や鋭いエッジが出ていないかを確認して,標本箱に収めました.そしてラベルを新調しました.
空隙の内部に爪状結晶が集合して脳状,あるいは球状になった部分がグラウト鉱で顕微鏡でさらに拡大すると爪状の結晶が確認できました.
拡大したグラウト鉱.
同質異像鉱物に水マンガン鉱とファイトクネヒト鉱があって,ファイトクネヒト鉱はパイロクロアイトを含む鉱石の分解物として産するため産状が異なり,産状からだいたいの判断はつくのですが,水マンガン鉱との区別が厄介でした.
水マンガン鉱を改めて手持ちの標本を観察すると,結晶は角柱状のことが多いらしく,その結晶は太く短い傾向があるようだ.光沢はパイロリュース鉱に変質したギラギラしたものより鈍い感じがして,水に濡れたような質感のある光沢でした.脈状にもなるものの光沢はやはり鈍い傾向があって,微細な結晶の頭の面が反射してキラキラしている以外は水に沈んでいるような感じがする光沢でした.
グラウト鉱はこれらより全体的に光沢が強く,角柱になることも無いわけではないようですが,多くが断面が菱型に近い形状の板状で,これらが集合して球状や繊維状・脈状集合をなす傾向にあるようです.
上の標本も脈状の部分が少しあって繊維が水マンガン鉱より長いものが多い感じがした.表面が酸化して虹色や青色・黄色の錆びのできている部分も見られました.
母岩は前出のとおり茶褐色~橙色を呈する玉髄質(あるいは珪化した角礫岩?)でグラウト鉱・水マンガン鉱を含む二酸化マンガン鉱はそれを鉱染するような形で共存しています.空隙に黄白色―灰白色でやや脂っぽい粘土を伴っています.ほかに脈石鉱物は白色板状の重晶石がちょこちょこついていました.
菱沸石(Chabazite) 宮崎県西臼杵郡高千穂町上岩戸惚見「安珍山」
沸石類
菱沸石(Chabazite)
宮崎県西臼杵郡高千穂町上岩戸惚見「安珍山」
Locality:Anchin mountains, Sômi, Kami-Iwato, Takachiho town, Nishi-Usuki district, Miyazki prefecture, Kyûshû region, Japan.
(非売品)
Chabazite
菱沸石
(Ca2+,K2,Na2)2[Al2Si4O12]・12H2O
三斜晶系.
テクト珪酸塩鉱物.沸石グループ.菱沸石―レヴィ沸石サブグループ.菱沸石グループ.
20年以上前に購入した石です.購入後に現場近くに行きましたが,上のような石は見ませんでした.母岩は蛇紋岩で,その割れ目を充填したような形で脈状に切った微細な菱沸石です.
標本全体の画像.
蛇紋岩の割れ目のような石で,こういう石はほかに方解石などを伴っていそうですが,そのいうものは無く,単一の菱沸石だけからなるようでした.外見はザラメをまぶしたような感じですが,ルーペで観察すると冒頭のようなしっかりとした結晶をしています.
産地名の「安珍山」ですが,明治のころにこの付近でアンチモンが出たという話を地元で聞いた.土呂久から尾平越に至る林道のうち,「肉ダキ」に至る南側あたりを指すそうで,学生時代に何度かアンチモンを探しに入りましたが,そういう兆候は見つけられませんでした.その先の肉ダキで鉄斧石とダトー石を伴ったものを見ています.













