天然鉱石専門店 ミネラルショップ たんくらのブログ -2ページ目

鉄橄欖石(Fayalite) 岡山県総社市清音三因小屋 幸山石切場

造岩鉱物

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 顕微鏡写真シリーズにはまず出てこない鉱物に焦点を当てました.カテゴリーばかり増えていっていますが,新しく造岩鉱物のカテゴリーを設けました.

 

 鉱物趣味を永い間やっているとどうしても岩石が判らないと,判別に時間がかかったり,話に着いていけないことがあって,造岩鉱物から始まって岩石へと移行しました.その間に採集したり,購入したりした標本がいくつかあって,それらがたまってきました.ずっと置いていても死蔵してしまうので,少しずつ公開していこうと思っています.

 

(当ブログ全般に云えることですが,筆者が所有している標本の一部を紹介しています.筆者の学習用および判定用標本のため,販売用商品ではありません.)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鉄橄欖石(Fayalite)

岡山県総社市清音三因小屋 幸山石切場

Locality:Sachiyama granite quarry, Koya, Kiyone-Miyori, Soh-zya city, Okayama prefecture, San-yo region, Japan.

 

(非売品)

 

Fayalite 鉄橄欖石

(Fe2+,Mn2+)2[SiO4]

直方晶系.

 

 造岩鉱物は初めは鉄橄欖石にしました.造岩鉱物として橄欖石類で出てくる鉱物のうち,最も見栄えがせず蒐集意欲の湧かない鉱物で,販売会などでほとんど見かけない鉱物です.塊状のことが多く黒くて光沢も鈍く,諸所に分解して磁鉄鉱と角閃石に変質していたり,風化で溶け去って角閃石類と磁鉄鉱の集合になっていて元の鉱物が何変わらないような状態になっていることの多いように感じます.

 

 

 橄欖石類の鉱物は,同一標本内に共存することはありますが,直接接して石英とな共存しない傾向があるのですが,この鉱物は石英と接して共存しています.

 副成分にマンガンを含有するらしく,掃除するときに過酸化水素水で処理するのですが,表面に二酸化マンガンの被膜があるらしく激しく泡が出ます.

 

 

 

 上の標本は5年~6年くらい前に販売会で購入した標本です.花崗岩の石切場に出たという鉄橄欖石で,一部にペグマタイトがあるような話でした.こういう場ではほとんど見かけない標本なので,すぐ購入しました.

 標本の側面に新鮮な部分が出ていて拡大画像を撮影しました.

 

 色は暗赤褐色~暗茶褐色で,光沢はガラス光沢~油脂光沢の間.劈開は無く,いわゆる貝殻状断口で,近くに黒色鱗片状の黒雲母や鉄分で黄ばんだ石英などを伴っています.全体的に磁石が強く引き寄せられ,磁鉄鉱を多く含んでいるようです.

 

 

 主な産状は流紋岩~デイサイト,花崗岩質ペグマタイト.など.前者の空隙に産するものは自形結晶のことが多いですが,ライフン石に変質していることがあるようです.ペグマタイトから出るものは上の画像のように塊状のことが多い鉱物です.

 

 

 

国見山 奈良県宇陀郡曽爾村小長尾・長野および宇陀市室生下田口

やまのぼり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

国見山.南に隣接する住塚山山頂より.

 

 

国  見  山

奈良県宇陀郡曽爾村小長尾・長野および宇陀市室生下田口

―若宮峠からゼニヤタワを経て国見山へ―

 

 

 昨日の天気予報で火曜日は晴れるというので,昨年登り残した国見山へ行くことにしました.高速利用でも朝は上狛四丁町の交差点まで1時間半を要した.

 木津川沿いの国道163号を月ヶ瀬口まで東進して,高山ダム方面に採った.

 田山の在所から月ヶ瀬石打に抜け,名阪国道を潜って国道368号のバイパスに抜けた.

 名張市街まで来たところですでに10:00を過ぎていました.道なりに行くとひなちダムで,本来なら青蓮寺ダム沿いを南下しないといけないところを,ひなちダム沿いを南下してしまいました.

 御杖村の道の駅付近で気づき,伊勢街道沿いを西進しました.屏風岩公苑の駐車場に着いた時は昼前でした.

 

 

駐車場からの屏風岩.

 

今回は屏風岩の南肩の若宮峠から国見山を目指しました.

 

駐車地より一旦戻る.

 

分岐で若宮神社方面へ(左へ).

 

神社の横のこの地点より山に入りました.

 

ときおりすうーっと涼しい風が吹き抜けていきました.左手に駐車場が見えていました.

 

峠道の上部で倒木があり,向かって左手に巻道ができていました.雨上がりの後でしたので,足元が黒ボクなためにズルズルになっていて注意を要しました.

 

峠の直下も雨上がりのため足元が泥濘んでいて,滑らないように慎重に登りました.

 

若宮峠

 

 ここから西の川沿いの林道へ下る.道標にある道を採って下っていったのですが,林道との出合の少し手前が沢の水と一緒になっていて,林道に下る手前の急坂が足元ズルズルで下れなかった.旧道らしき径がササヤブの中に続いていたので,少し辿ると沢に出て50mはあろうかというナメ滝に出くわしました.

 その先にも径は続いていましたが,滝の手前が抉れていて通れず,仕方なく峠まで引き返しました.

 若宮峠の道は峠から北西に延びていて,進む方向とは別でしたが林道に降りられなくては山頂も踏めないので,この径を辿りました.

 以前は使用されていたようで道幅があって足元の枯れ枝と転石がころごろしている以外は歩きやすい道でした.

 沢を2つほど越えた先で再び沢に出て下っていくと林道に出ました.

 

峠の西口.林道に2つ橋が続く地点の中間あたりに地籍の杭と思われる頭が赤い杭が目印で,入口の沢に小さなナメ滝があった.

 

 ここからは源流を目指して林道をひたすら辿った.

 

林道.歩いていると,水音の大きなところが何箇所かあって,小さなナメ滝や斜瀑があった.ヤブで道から見えづらい.

 

本来の登山コースとの合流地点.

 

 林道をだらだら歩いていると,道が二股になっている地点まで来ました.

林道分岐.道標通りに進みました.

 

 途中,やや急なところはコンクリになっているので,滑ることはなさそうだ.正面が明るくなってくると林道が終点になりました.

 

林道終点.正面右に径が続く.少し登るとゼニヤタワに着きました.

 

 

ゼニヤタワ

 

 標高は870mくらいでここから山頂を往復しました.道標に距離500mとあって,距離500mで標高差146mの道ってどんな急坂だろうと思っていました.

 

 

 峠からはしばらくこんな感じのやや緩い道でしたが,少し先で岩が出てきたところから急坂でした.

 

行く手は阻む大岩.

 

 正面に大岩が出てきて,径が向かって左側に見えたので,これを辿りました.少し登ると岩の上に出て,そこからしばらく岩の上を登るといった感じになりました.

 

岩の上.

 

 

 次に見えてきたのは,標高差40mくらいの急坂で,東面にロープが設置してありました.雨上がりでしたので,足元がけっこうズルズルで,慎重に登りました.

 

944mのコブ.

 

 急坂を上りきると,上のような清々しい樹林帯になって,ここが山頂かな~と思っていたらまだ先でした.

 

944mのコブの上.西側(左手)が植林で東面(右手)が混合林でした.

 

 

尾根は狭いですが,快適な尾根歩きでした.

 

 

痩せ尾根.

 

 944mのコブからいったん下ると痩せ尾根になって,わずか1m内外の幅で両側が切れ落ちていました.諸所に東面のみ展望が利いて,古光山方面から三峰山の尾根が見えていました.

 

 痩せ尾根を越えると,本峰への登りで尾根の幅は変わらないが大岩が出てきました.鞍部から正面に見えている岩峰は向かって左側より巻道が付いていてこれを辿りました.岩峰を巻いて尾根に出るところがまたズルズルになっていて慎重に通過しました.

 この先も痩せ尾根に岩場が連続してロープが設置されていました.

 

岩の多い尾根.

 

 尾根の幅が狭いので,巻道も無く無理やり通過するような感じでした.ロープに掴まって慎重に進みました.

 

 

 

 岩場を通過すると少し勾配が緩くなってきました.

 

山頂らしい道標がようやく見えて,少し登ると山頂でした.

 

 

 

国見山.標高は1016m.ひさびさの1000m峰になりました.尖った山容の山なので展望が利くと思っていましたが,一部でした.狭い山頂で5~6人程度で一杯になりそう.展望は東面と南面に利きました.

 

 

 

曽爾高原方面.

 

岳の洞―三峰山方面.

 

大普賢岳―山上ヶ岳―稲村ヶ岳方面.

 

 

 山頂で小休止して,往路を戻りました.ロープの設置してある岩場は,ロープに掴まりながら滑り下りました.ゼニヤタワ手前のロープある急坂もロープに掴まって慎重に下りました.下りは早くて17分でゼニヤタワに着きました.

 本当はここから住塚山を経て屏風岩公苑に下りたかったのですが,時間切れで往路を戻りました.

 

 若宮峠の西の入口を忘れないようにケータイで撮っておいて良かった.間違わずに径に入って峠に着きました.ここから駐車場まで10分程度でした.

 

 これで今回の山行を終了としました.

 

 

 

 

 

 

 

以下はゼニヤタワから国見山までのルートマップです.屏風岩公苑から住塚山までのルートマップ等は先行者の記録で細かく記述がありましたが,国見山へのマップはあまり詳細なのは無いようでしたので,手書きの図ですが,掲載します.手書きのマップのため縮尺等は無視しています.参考程度に.

<コースタイム>

(往路)

屏風岩公苑駐車場――若宮峠東口――若宮峠――若宮峠西口――

            2分        13分    30分       21分

ゼニヤタワ――国見山山頂.

       26分

往路歩行時間 1時間32分.

 

(復路)

国見山山頂――ゼニヤタワ――若宮峠西口――若宮峠――東口――駐車場

        17分      11分        17分    10分   5分

 

復路歩行時間 59分.

総歩行時間  2時間31分.

 

 

 

クトナホラ石(Kutnohorite) 兵庫県豊岡市日高町羽尻 但馬三方鉱山

マンガン鉱物

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Kutnohorite クトナホラ石

兵庫県豊岡市日高町羽尻金谷 但馬三方鉱山

Locality:Tazima-Mikata Au-Ag mine, Kanatani, Haziri, Hidaka-cho, Toyo-oka city, Hyogo prefecture, Kinki region, Japan.

 

(非売品)

Kutnohorite クトナホラ石(クトナホル石)

CaMn2+[CO3]2

三方晶系.

 

 兵庫県北部の熱水鉱床で脈石にマンガンを伴う鉱床は少ないですがあって,この標本もその一つです.鉱床は安山岩および安山岩質凝灰岩の裂罅を充填する熱水鉱床で,石英や方解石,菱マンガン鉱のほかにクトナホラ石もありました.この標本は知人に指摘されるまで菱マンガン鉱のラベルを付けていました.のちに知人より,クトナホラ石が現地に大量にあるとの情報を伺って,検討したところクトナホラ石でした.

 金属鉱物はおもに硫砒鉄鉱や方鉛鉱などで,この標本の裏面に少量ついていました.

 

 クトナホラ石はこの標本で灰白色―淡灰色で脈のようになった部分です.俄かにピンク色を帯びた白色不定形塊状部は菱マンガン鉱です.黒色部はマンガンの酸化被膜です.