2024.4.17 あの手この手(1952年)  |

あの手この手(1952年) 監督:市川崑

主な出演:森雅之 水戸光子 久我美子 伊藤雄之助 望月優子 堀雄二

 

森雅之さんと久我美子さんの競演だが、シリアスな恋愛ドラマではなくドタバタのホームコメディ。久我美子さんが演じるアコちゃんは妻(水戸)の姪っ子。この頃の水戸光子さんは33歳で、きれいなお姉さん女優からいく分貫禄が出てきた3。翌年の『雨月物語』でも森雅之さんと水戸光子さんは出演する。そんな水戸光子さんが演じる妻を夫(森)は「奥さん」と呼ぶ。名前でも愛称でもお母さんでもなく、ただの「奥さん」だ。たまにそんな人があるようだが、誰の奥さん?自分の妻に「奥さん」と言うのはおかしい。

志摩から家出してきたアコちゃんのことを、水戸光子さんが「狐が馬に乗って走っているお嬢さん」と言う場面がある。そんな表現があるのかな?と思ったら、あるんだ。「落ち着きのないこと、いい加減で信用できないこと」の比喩だそうだ。この比喩の通り、夫妻はアコちゃんにことごとく振り回される。

それにしても森雅之さんのコメディはなかなか良い。これに伊藤雄之助さんが絡むと面白さが倍増する。

『はてしなき情熱』でパッとしなかった堀雄二さんも出てくるが、この人はやはりさえない。

「アコのアの字はアホウのアの字」・・・自身の哄笑とともに夫妻の元を去るアコちゃんだった。