ずい分前からなのだが、シリンダーヘッドとシリンダーのつなぎ目からオイルが滲んでいた。左右シリンダーの両方からだ。
漏れている箇所をパーツクリーナーで洗浄後、スタッドボルトを規定のトルクで締めても数日経つと滲んでおり、下に垂れていることもある。
バイクの下にオイル痕が残るのは不快だから、その場しのぎにしかならないと思いつつも、フィンとフィンの間に小さく折りたたんだウエスを詰めてどうにか誤魔化していた。
なぜこんなところからオイルが漏れるのかというと、BMWエアヘッドのシリンダー壁面には、ロッカーアームやプッシュロッドの周辺にオイルを循環させるオイルラインが通っているからだ。
いずれにしてもシリンダーヘッドとシリンダーの間にあるガスケットの劣化による漏れであることは確かであり、さらに観察すると、スタッド・サポーティング・スリーブの付け根あたりからもオイルが漏れている。
R75/5の前期型は、このスリーブの付け根にオイルシール(ゴム製Oリング)が組み込まれており、シールが劣化するとオイル漏れが発生するようだ。
昨年6月に車検に出した際、BMWのメカニックの人から「オイル漏れ、修理しましょうか?」と提案されたが、「検査に問題なければこのままで結構」と断った。(本音を言うと、高額な工賃がかかりそうだから)
しかし、外にオイルが漏れるということは、燃焼室側にもオイルが回る可能性も考えられるので、これ以上放置しておくとメカ的にヤバい。
そう言えば昨年の春にオイルを交換して100Kmも走行していないのに、オイルに変な濁りが見られたのは、ガスケットの劣化部分を通じ燃焼室からの排ガスがオイルラインのほうに回っていたからとも考えられる。
とにかくこのままではダメだから、思い切ってシリンダーヘッド・ガスケット(11121338716)を交換することにした。これと合わせてスタッド・サポーティング・スリーブのシール(11111460391)のほうも交換する。
そうは言うものの、シリンダーヘッドなんて未だかつて開けたことがない。
ロッカーアームブロックまでなら分解したことがあるから、自力で何とかなるだろうと海外マニアのYouTube動画を参考にヘッドを分解してみた。
修理のために調達した新品のガスケットとOリング。片側分しか写していないが左右共に揃えてある。
オイルラインとなる上のスタッド・サポーティング・チューブ2カ所、プッシュロッド・チューブ2カ所の計4ヶ所に青い〇のシールが設定されている。
ついにシリンダーヘッドを外す。
うわぁ〜、ピストンにカーボンがテンコ盛り!
対面の燃焼室にも同じくらいカーボンが溜まっていた。
シリンダーヘッド・ガスケットがガチガチ、バリバリでオイルの滲みもあり、やはりガスケットが劣化していた。
古いガスケットは簡単に外れたが、アルミのベースにコーティングされたシール材が部分的に張り付いており、除去するのに少し手こずった。
ピストンや燃焼室にこびりついたカーボンをできるだけ取り除き、さらに当り面を平滑にしたうえで、新しいガスケットを取り付けて、ヘッドを組めばシンダー側の作業は完了。
ここまでは簡単にできたが、問題はスタッド・サポーティング・スリーブのシールである。
外観からもその存在を確認できるが、このOリングはどのようにして取り付けられているのだろうか?
分解図を見ると、10番のスタッド・サポーティング・スリーブに対し、8番のスペーサースリーブなる部品で9番のOリングを挟み込み、継ぎ目をシールしているようだが、スペーサースリーブを外さないことにはOリングの交換できないことが分かる。
はて? このスペーサースリーブ、まさか圧入されているなんてことはないだろうな?
素手じゃ簡単に外せないとか?
ロッカーアームブロックを取り外し、スリーブを指先でつまんで引っ張ったらスポっと抜けた!
スリーブの下に押しつぶれたOリングが見えるので、これを先の尖ったニードルでホジリながら取り除く。
新しいOリングを収めた後にスリーブで押さえ込み、ロッカーアームブロックを組んで、タペットクリアランスを調整すれば作業はほぼ終了。
このように指先でつまんでスポっと抜ける
ついでにプッシュロッドのプロテクションチューブのラバーシールも交換したかった。
ここからも少しオイルが滲んでいるからだ。
しかしそこまでやると、シリンダーまで外さなければならないし、プロテクションチューブもステンレス製のピカピカなものに交換したくなるから、今回は見送った。
だが当然、見過ごすわけにはいかない。そこで、BMWのメカニックの人が勧めてくれたワコーズの「Quick FIX」という商品を試してみた。外部からの浸透と密閉で漏れを止めるケミカル品である。
患部をよく脱脂した後、ノズルによるピンポイントでシュッーってスプレーし、これを2、3度重ねて施工した。
結果・・・ オイルは滲んでこなくなった。
BMWの人に教えてもらったワコーズの「Quick FIX」
今回の作業のように、スタッド・サポーティング・チューブのポストにOリングが必要なのはR75/5前期型のみの特徴である。
同じR75/5でも後期型(おそらくロングホイールベースになってから)〜R100RSの過程で段階的に改良される。
その変遷は以下の通り。(海外サイトより引用)
●R75/5前期型
スタッドチューブの露出した部分をOリングで封印。
●R75/5後期型〜/6
スタッドチューブをアルミの栓で完全に密閉することにより、スリーブとOリングは不要になり、15.5mmの内側のポストだけが残った。
●/7〜1984年
スタッド・サポーティング・チューブの頭部に18mmの大きなボタンが押し込まれ封印された。
●1984年以降
ただの穴になった。
≪総論≫
実際にやってみるとそれほど難しい作業ではないが、エキパイやキャブレターなどの周辺パーツを取り外すのがやや面倒くさい。
それとピストンと燃焼室にこびりついたカーボンを除去するのに、パーツクリーナーをふんだんに使いながら真鍮ブラシでゴシゴシやったら手の甲がメチャクチャ荒れた。
これには参った!ゴム手袋は必需品。
修理から1週間経過してもオイルが滲んでこないから、たぶん成功したと思う。
「たぶん・・・」と言う不確かな回答しかできないのは、まだエンジンをかけて走行していないからだ。
きっと、大丈夫・・・ OK、OK!
次週、天気が良ければ試乗してみよう。

































































































































































































