●家族会議(
監督:島津保次郎
主な出演:佐分利信 高田幸吉 及川道子 桑野通子 高杉早苗 立花康子 志賀靖郎 藤野秀夫 水島亮太郎 河村黎吉 坂本武 斎藤達夫 飯田蝶子 鈴木歌子 小林十九二 二葉かほる 大山健二 日守新一 佐野周二?
兜町の重住商店の当主である高之(佐分利)は、同じ株屋の梶原定之助(河村)の娘・清子(桑野)と大阪の大株屋・仁礼文七(志賀)の娘・泰子(及川)の2人から想いを寄せられていた。
高之の気持ちは泰子の方にあるが、かつて仁礼文七の裏切りにより、高之の父が自殺に追い込まれた恨みから、彼女との結婚に踏み切れずにいる。しかもその泰子には、仁礼文七の秘書・京極連太郎(高田)が将来の婿の座の狙っているという噂も引っかかる。
亡き父に代わり重住商店を経営する高之
梶原定之助の娘・清子
仁礼文七の娘・泰子
泰子の婿の座を狙う仁礼文七の秘書・京極
この京極という男、丁稚からの叩き上げの仁礼の子飼いである。
京極は仁礼の命により東京製紙と大阪製紙との合併を企て、大株主の梶原から投資株を買い占めた。そのことを清子から知らされた高之は、株の大暴落を防ぐために、大阪へと急ぎ大株主の1人である父の盟友・池島信助(藤野)から大阪製紙の持株を譲り受けた。
池島の娘・忍(高杉)は泰子の親友であり、高之の来訪を歓迎する。忍は「高之さん、せっかく大阪まで来たのだから泰子に会って行かれたら?」と勧めるが、この騒ぎから高之は、泰子対する不信をさらに募らせていた。そこに偶然にも当の泰子がやって来きた。
高之に会い、心ときめく泰子だが、高之は挨拶もそこそこに宿に戻る。
高之は池島から株を譲り受けることで難を逃れようとするが・・・
池島の娘・忍 「泰子さんに会っていきなさいよ」と高之に勧める
高之の素っ気ない態度に悲しむ泰子
高之が宿に帰ると、そこにはもう1人の求婚者・清子が待っていた。恋のライバルである泰子
高之に率直に「結婚して欲しい」と伝える清子だったが、高之からは、「あなたのことはそれほど深く考えてはいなかった」という素っ気ない言葉が返ってきた。
「来ちゃった〜!」高之を追い大阪まで駆けつけてきた清子
「私と結婚してよ〜!」と積極的な清子
「君のことはそれほど思ってないんだよ」と返す高之
ガ〜ン!何よそれ!
高之の対応にショックを受けた清子は、サイダーが入ったグラスを握り潰してしまう。
自暴自棄になった清子が心斎橋筋を歩いていると、自分の名を呼ぶ声が聞えてきた。それは京極だった。
高之にフラれた清子同様、泰子への狙いが思うように運ばない京極。同類相哀れむ2人は意気投合する。
泰子のことばかりではない。先の株の買い占めの件で、京極も高之に対し敵対心を抱いていた。「こうなったら断然貴女の見方や。胸のすくようにしてあげまっせ」と高之への復讐を誓う京極だった。
「おや清子はん、こんなところで何してまんの?」
「偶然お会いするなんて・・・ お久しぶりね」
失恋同士の清子と京極は意気投合する
さて、そんなことがあった翌日のこと。忍は高之と泰子の間を取り持とうと、自分が運転する車で
忍が気を利かし、2人きりになったところで泰子は「うちのことがどうしてもお嫌いなんですね?」と高之の気持ちを確認する。
高之は仁礼との一件もあり、株屋という商売の危うさから、「僕がどんなに貧しくなっても、物質的な不幸を乗り越えて付いてきてくれますか?」と問い質す。「ええ」と答える泰子。互いの気持ちが1つになったところで泰子は、有馬にある別荘へと高之を招く。
ところがだ。仁礼からの指示で泰子を探しにきた京極が、その別荘に押し掛けてきた。素子のことで面目を潰された京極は、高之を殴りつけ泰子
そんな中、仁礼の企てどおりに東京製紙と大阪製紙との合併は進んでいるようで、仲介役となった京極はまんまと新会社の専務の椅子が約束されていると言う。しかも京極は、清子の父・定之助を動かすなどの画策により、
これは高之だけの問題では済まなかった。仁礼と京極の謀略が東京の株屋と大阪の株屋との戦いにまで発展したからだ。
高之は母親・信江(鈴木)と相談の末、再び池島信助の援助を求め、店や家を担保に資金をかき集めるも、苦労の甲斐なく重住株店はとうとう破産してしまう。
高之は再び池島の助けを得ることができたのだが・・・
「東京の男ならしっかりしなさいよ!」と高之に噛みつく春子。春子の父親は重住商店の番頭であり、今回の倒産騒動で破産に追い込まれたから恨み言の1つも言いたくなるのは無理もない。これが直ぐ後に大きな事件を招くことに・・・
もはや絶望の淵にある高之が憂さ晴らしに立ち寄ったトンカツ屋に偶然にも京極がいた。京極は「俺が資金を貸すから挽回してみないか」と言う。この言葉に逆上した高之は、京極の申し出を突っぱねる。
高之が家に戻るとそこに忍がいた。抵当として池島のものとなった重住商店を忍が譲り受けたことを彼に知らせに来たのだ。そして忍は会社の経営を自分が引き継ぐから、高之に番頭になってほしいと言う。重住商店の再建と共同経営の提案である。高之は池島と忍の好意に深く感激した。
「資金を出すから立ち上がってみなはれ」という京極の言葉に怒り心頭の高之
「重住商店は私のものになったのよ。一緒に経営しない?」と高之に提案する忍
全てが上手くまとまりそうな兆し・・・
重住商店の倒産で泰子は高之に嫌われたと嘆きながらも、忍の勇気づけを励みに東京まで彼に会いに行く。
列車での長旅の末、高之にようやく会えたものの、高之の気持ちは変わっていた。泰子への愛に変わりはないが、株の勝負で負かされたことで、自分よりも京極のほうが相応しいと言うのだ。
しかし、「貴方から愛されていないと1日もいられない」と泰子からの熱烈な求愛にほだされた高之は、ついに泰子の愛を受け入れつつある。
這う這うの体で東京の高之の元へやって来た泰子は、着くなり気絶してしまう。
ついに高之は泰子の気持ちを受け入れる
そこに1本の電話が入った。忍からである。何と!泰子の父親・仁礼文七が殺されたとの知らせだった。
重住商店の破産を苦に自殺した高之の右腕・尾上惣八(水島)の娘・春子(立花)に刺されたのである。
仁礼文七の死亡を契機に、会社の経営は京極が引き継ぐことに。さらに京極は清子と、高之は泰子とそれぞれ結ばれた。
2組の幸福の陰には、密かに高之を慕っていた忍の采配と犠牲があったことを忘れてはならない。高之と泰子に対し、心からの祝福と気丈な態度で振る舞うも、涙をこらえる忍であった。
涙を隠すために独り自動車を運転する忍。
顔で笑って心で泣いて・・・ できる女はつらいね~!
(見どころ)
かいつまんで言えば、株屋間のマネーウォーズに5人の男女の恋愛模様が複雑に絡み合うストーリー。
設定としては面白いが、誰が誰とどうなのか、最初の20分くらいは登場人物の関係が掴みづらい。
高之が大阪の池島を頼り、協力を得るあたりからだんだん面白くなってくる。
『家族会議』というタイトルだが、この題名から内容を想像するにはかなり厳しいと言うか、全くマッチしていない。同じことが清水宏監督の『家庭日記』(1938年)にも言える。
とは言え、この作品の一番の見どころは、忍を演じる高杉早苗さんだろう。積極的に車を運転すれば、重住商店再建の立役者になるし、洋装のファッションも素晴らしく、当時の最先端の女性を見事に演じている。
それとは正反対に、か弱く、引っ込み思案な女性を演じた及川道子さん。ご本人は元々病弱だったのだろう、2年後に結核で亡くなったため、この『家族会議』が彼女の遺作となった。
一方、佐分利信さんには悪いが、『男の償ひ』といい、『母と子』や『花は偽らず』にしても、女性に対してはっきりしない中途半端な姿勢が目立つ。何となくモヤモヤ感が残る。
最初の観劇の場面にて、観客役のエキストラとして松竹三羽カラスの佐野周二さんと思しき人物が映される。こういう洒落っ気のあるサービスは嬉しい。
その他にも松竹俳優がちらほら出てくるので、探しながら観るとなかなか楽しめる。





























































































































































































