冬枯れの姿をさらす裸木たち枝にはしかと芽を残しつつ
ポツポツと灯りそう始めた街並みに山影落とし夕日去りゆく
藤原恵美子 作
雪降りて寒さ厳しい今朝の部屋 薔薇のカレンダー温風に揺れる
連日に喪中のハガキ届きたり雪降り続く今日も生きなん
澤田静子 作
スーパーの裏をうろつくキタキツネよ君も独りか雪降りやまず
古傷がひしひし痛むさむき夜は雪降る音に耳そばだてる
吉田千寿子 作
爪切りて沓下はきて何処へ行くと問ふる人の居る部屋の温とさ
肩に積む雪払いつつ歩みゆく寂しさふいに遠のくごとく
横尾良子 作
鍵あける手をことさらに寒くする冬の未明の蒼きひかりぞ
父母もわが頭上にて眺めいむ 冬のオホーツク夕映えの海を
横尾幹男 作