天よりの恵みのごとく降り注ぐ地上を覆いて春の雨降る
ひさかたの雨音響く春の夜 芽吹き始めし一粒の種
藤原恵美子 作
今日からは「令和」となり薄紅の桜ひらきて人集いくる
孫たちよ次の世代を頼みます青葉しげりて花満つる地を
藤原三枝 作
葉に残る雨粒光りチューリップ陽を返しいる早朝の庭
雨に打たれ路上へ留まる花びらよ 見向きもせずに通い過ぐる朝
澤田静子 作
ポストには燃料店の請求書とひまはりの種が置かれてありき
日に焼けて明るく笑ふ農青年よ教へてくれぬか髭伸ばすわけを
吉田千寿子 作
ゆさゆさとリラの花房ゆれ惑う越えられぬもの何もあらぬに
桜花あえかに命を水面へと散りて流れてまた夜が来る
横尾良子 作
月光の庭に居座る黒き石しずかに我の揺らぎを支ふ
月の照る静寂・過去から死後まで遥かはるかを歩みつづける
横尾幹男 作