1日を泣いて過ごすか笑おうか友と語らう午後となりたり
安倍良香 作
桜咲き君の瞳を思い出すもう会えないと空を見上げる
花びらが君の魂ならば今 そっと手に受け口付けるのに
梨木いずみ 作
朝の陽がうすくれないに丘染める我には届かぬ景色の如く
地下鉄の人波にのまれ見覚えのある背が消へる 改札出でたり
吉田千寿子 作
其処此処に球根の花々華やぎてさまよう我を風が笑いぬ
早春の光あつめて溢れ咲く桜花を映す風の野の川
横尾良子 作
朝茜する街見下ろしともかくも一年ことなくあれと合掌す
膨らめる花芽うるほし降る雨のしめやかにして街に灯の入る
横尾幹男 作